HEV車、EV車、FC車次世代技術の開発を支えるシミュレーション技術
中澤 満 (2004年入社)
入社動機
元々、能動的音響制御の研究をしていたので小野測器の計測器には慣れ親しんでいました。
制限のない自由な社風に魅かれ入社しました。
一瀬 大輔 (1992年入社)
入社動機
知人からの紹介もあって小野測器に出会いました。
取引先に名だたる自動車、電機、航空といった各業種のメーカーが名を連ねており、先行開発技術の中枢を担うことができると思い入社しました。
前岨(まえそま) 康祐 (2001年入社)
入社動機
機械工学科出身で、主に自動車工学を座学と実技(実験、整備)を通して、学びました。
大学時代は、車をサーキット等で速く走らせるにはどうすれば良いかを考えて、車いじりに没頭していました。 大学の授業のエンジンベンチやシャーシダイナモの実験を通して、試験装置に興味を持ち、様々なことに挑戦させてくれる自由な社風に魅かれて小野測器に入社しました。
自動車のシミュレーションテストを可能にする自動計測制御システム「FAMS-R5」。98年にシミュレーションシステムを確立して以来、ハイブリッド(HEV)車をはじめとした自動車の開発に寄与してきた。5年後、10年後を見据えた開発を進める自動車業界において、自動計測制御システムの開発も同様に進化を遂げねばならない。この自動計測制御システムが納入されるまでのプロセスを追ってみた。
自動車の開発現場において、シミュレーションベンチを制御する「FAMS-R5」は、完成までに膨大な時間とコストを要する自動車テストを、単体の試験から集合シミュレーションまでを手軽にするものだ。
次世代の自動車を開発するために、自動車メーカーと二人三脚で開発し、その機能性の向上に対する要望はまさに毎日のように小野測器にもたらされる。
中澤 シミュレーションベンチというのは、実車による走行試験を試験機による試験に置き換えるものです。
ですから、まずは、お客様がどんな試験をしたいのか、それを把握するところから始まります。
一瀬 試験の内容がエンジンなのか、ミッションなのか、パワートレインなのかといった部位はもちろん、どんな条件下での試験を必要としているかによって、その制御の中身は変わってきます。
前岨 自動車の様々な部品の中で、お客様が試験したい部分以外をモデル化し、ベンチ上でテストコース等と同様の試験を実施できるようにするのが私たちの役割です。
例えば、エンジンが試験対象の場合、エンジンのみ実物で、それ以外のミッション、タイヤ、車体をモデル化したベンチ構成になります。
自動車全体が完成する前に、そのベンチを使用して、走行性能(燃費、排ガス含む)を先行して確認することができるのです。
一瀬 通常は、お客様から試験の内容に合わせ、既存システムの機能追加や性能向上の要望がもたらされます。その要望をかみくだいて、「FAMS-R5」を使ってどんな自動計測制御システムを構築するのかを考えることがスタートですね。
中澤 お客様の要望をただ聞いているだけではダメですよね。単にその要求を満たすだけなら容易かもしれませんが、試験の目的を考えたときに果たしてその要求を満たすだけでよいのか?もう少し高いレベルに応えることが必要なのかもしれません。
前岨 そうしてまとめられた要求仕様を、設計部署が協力して、制作仕様書に落とし込み、制作仕様がお客様の要求を満たしているかを確認してから、制作がスタートします。
この部分が一番重要かつ難しく、新しい装置の場合は、知見を持っているお客様や先輩にアドバイスをいただきながら進めています。
一瀬 シミュレーションで得られたデータと実際の走行データが一致しないこともありますよね。それはシミュレーションなんだから当たり前なのですが、そのデータの違いが実車データとの相関関係で、ソフトの中身に起因するのか車両のメカニズムに起因するのかを明確にしなければならない。
前岨 そこは重要なところですよね。
シミュレーションですが、実物と同等の精度がないと自動車の先行開発には使えませんし、実物とシミュレーション運転結果に相違がある場合は、その要因を解析し、実車データに近づけなければなりません。
そのためにも、営業、技術、実際の製作現場と連携を密にとっていかなければならないと思います。
これまで、先人が積み上げてきた、シミュレーション技術をお客様のニーズに合わせて発展させ、新たな提案をしていくこが重要と考えています。
中澤 私たちの自動計測制御システムに求められることは、やはり精度の高さ。シミュレーション試験と実車走行試験のデータが近づいてこそ、初めてシステムの信頼性が生まれる。
一瀬 そういう意味では、システムを納入してからの調整が非常に重要になってきます。私たちの自動計測制御システムがお客様の要求どおりに動くことによって、当初の目的である、試験期間の短縮、コストの抑制、安全性の向上、試験手順の簡素化といったものがもたらされるのですから。
前岨 シミュレーションベンチの制作は、自動車の実験室を各メーカーと協力して組み上げていく必要があります。
イメージとしては家を建てるようなもの。様々な課題はありますが、お客様が満足する試験環境を提案・提供していくことが設備メーカーとして必要だと思っています。
中澤 私たちはHEV車や電気自動車(EV)、燃料電池自動車(FC)の開発に貢献してきました。これからも10年先に世に出るであろう新しい技術を先行して支えていけることを誇りに思っています。
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