9-5 時間重み付きサウンドレベルの最大値(Lmax)と時間重み付きサウンドレベルの最小値(Lmin)
ある測定時間内における最大の時間重み付きサウンドレベルを Lmax として、また時間重み付きサウンドレベル Lmin として表します。
Lmax は JIS C 1509-1 によって定義されております。
図 9-4 変動するサウンドレベルと最大値/最小値 |
9-6 ピークサウンドレベル(Lpeak)
ピークレベル値は、ある時間内での瞬時音圧(AC 出力波形)の絶対値の最大値をレベル化して求めた値です。 単発バースト信号の場合は、図 9-11 に示したように LPeakと騒音レベルの最大値(Lmax)との差がかなりあることが解ります。 定常信号の正弦波の場合、LPeak は正弦波の振幅値(ピーク値)を示し、Lmax はその実効値を示すので、差が約 3 dB になります。
LPeak は、次の式で求めています。
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式 9-7 |
ただし、f0 は基準となる音圧(Pa)= 2 × 10-5 の時の AC 出力の値であり、fA (t) max は AC 出力(瞬時音圧)の波形の最大値です。
図 9-5 入力信号に対するA特性後の波形の変化 |
図 9-6 入力信号に対するピーク値「Lmax
と Lpeak の違い」 |
(注意)
最大値とピーク値との違い
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今までは、9.5 の時間重み付きレベルの最大値(Lmax)を騒音レベルのピーク値と呼んでいました。
改めて、その違いを意識してまとめます。
(1)時間重み付きレベルの最大値(Lmax) |
ある時間内での瞬時騒音レベル最大値で、図 1-1 の最下段のグラフ(レベルの時間トレンド)の最大値になります。周波数重みと時間重みに依存します。
DC 出力値の最大値です。
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(2)ピークサウンドレベル(Lpeak) |
瞬時音圧(AC 信号)の最大値をレベル化したもので、図 1-1 の 2 段目のグラフ(瞬時音圧)の絶対値を取り、その最大ピーク値をレベル化したものです。
周波数重みだけに依存して、時間重みは関係ありません。AC 出力の最大値のレベル化したものです。
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もちろん、Lpeak > Lmax となります。定常正弦波の信号であれば、約 3 dB の違いとなりますが、 通常の衝撃騒音であれば、10 dB 以上の差となります。ピークサウンドレベル(Lpeak)は、時間重み I(インパルス)にかわり、 騒音の衝撃性の評価に使われつつあります(JIS Z 8737-1 附属書 A <参考>をご参照ください)。
- 上記の例では、周波数重み A 特性のフィルタ後の波形の変化を記してありますが、C 特性など他の周波数重みでも同様に考えることができます。
- 欧州の CE マーキング規制のため、周波数重み“C”での C 特性ピークサウンドレベル LCpeak を求めることが多いです。
- 機械騒音の測定方法である JIS Z 8737 シリーズ「作業位置および他の指定位置における機械騒音の放射音圧レベルの測定方法」には、用語としてピーク放射音圧レベル Lp, peak が規定されています。 さらに、基本測定量として、C 特性ピーク音圧レベル LpCpeakが規定されています。