FT-7200 アドバンストハンディタコメータは、 使い易く高機能な、小型ハンディタイプの高性能デジタル回転計です。モーターや各種回転機などから発生する騒音や振動または磁束の変化などの様々な信号から、FFT(高速フーリエ変換)演算により、回転速度を測定します。騒音計や振動センサーからの複雑な波形信号でも、5種類の計測モードで、回転速度に相当する周波数成分を確実に抽出し、正確な回転速度を演算表示します。
既に製品に組み込まれたモーター等、回転軸が隠れていて従来方法では測定が困難であった回転速度測定も、音や振動から、簡単に行うことができます。今までのように測定対象物に反射マークを貼付したり、回転軸に特殊な加工を施す必要もありません。また、FT-7200 は、新アルゴリズムの搭載により、今までは難しかったモーターの立ち上がり/立ち下がり等の回転速度の急激な変化やエンジン回転の急加減速にも、高い追従応答性能で回転速度を演算・表示します。 電池駆動のハンディタイプなので、測定現場への持ち運びが便利で、簡単に計測できます。
組み合わせ可能なセンサー(別売)として、音検出器としてのマイクロホンや騒音計をはじめ、振動検出器としての加速度検出器やエンジン振動検出器、磁束検出器としてのイグニッションパルス検出器に加え、車の Power Outlet(シガーライターソケット) から出力される電圧のイグニッションノイズから検出するシガーライターソケットセンサー(FT-0801)等、用途に合わせて豊富な検出器群からお選びいただけます。
※誠に恐縮ではございますが、乾電池はお客様にてご用意くださいますようお願い申し上げます。
扇風機の回転速度計測(HT-5500と比較)
シガーライターソケットセンサーによるエンジン回転速度計測(HT-6100と比較)
計測内容によって、下記5種類のモードから測定アルゴリズムを選択可能です。
C、D、E
モードは、内部処理を高速で処理することにより、加減速に追従。Cモードは、最大ピークを見失ったときでも、あるべきピークを予測し、回転速度を演算します。Dモードは最大ピークに追従、Eモードは最大
8個の周波数ピークから最適な回転速度を選択できます。
測定モード | MODE | 測定アルゴリズム |
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定常回転測定(Constant) (測定対象物の回転速度が一定している場合に有効なモード) |
A | 最大ピーク周波数法 |
B | 周波数間隔法 | |
回転加減速度測定(Active) (測定対象物が加減速する回転速度を計測する場合に有効なモード) |
C | 最大ピーク周波数法(複数次数ピーク追従) |
D | 最大ピーク周波数法(ピーク追従) | |
E | 最大ピーク周波数法(回転速度候補選択) |
最大ピーク周波数法
パワースペクトルの最大ピークの周波数で演算します。通常、このモードで測定します。
周波数間隔法
回転の各次数成分の周波数間隔を順次求めていき、その中で最も多くあらわれた周波数間隔を回転速度の1次成分と判断し回転速度を決定する方法です。1次ピークが不安定な場合に有効です。
回転速度候補選択
最大8個までのパワースペクトルのピーク周波数の内、任意の1つのパワースペクトルに着目して測定します。
FT-7200 の新しいモード C と従来機種との比較 - 従来機種では計測できなかった回転体も、モードC にて計測可能です(左図)。また、急加減速に対する追従性も向上しています(右図)。
(アナログ出力をオシロスコープで比較)
マイクロホンや振動センサーを使用したエンジン回転計測例
エンジンのピストンの動きに起因した音や振動から、エンジンの回転速度を計測できます。エンジンルームにカバーがかかっていて、エンジン回転センサーの取り付けができない場合に有効です。
パルス数は、クランクシャフト1回転あたりの点火・爆発回数を設定します。
(例)4 サイクル 4 気筒の場合パルス数は2P/R
家庭電化製品に組み込まれたDCモーターの回転計測例
家庭用電化製品に組み込まれた DCモーターの回転速度を計測します。例えば電動歯ブラシ等、内部に DCモーターを組み込んだものでも、モーターからの漏洩磁束から回転速度が得られます。DCモーターのロータの極数を入力するだけで、回転速度測定ができます。
エンジン回転センサーを使用した回転計測例
自動車の一次側低圧、二次側高圧導線にセンサーをクランプすることにより、エンジンの回転速度が得られます。1回転あたりの点火回数を入力するだけで計測できます。
パルス数は1回転あたりの点火・爆発回数を設定します。
(例)4 サイクルエンジンの場合: 一次側で計測する場合、気筒数の半分の値を設定。二次側で計測する場合、2回転で1パルスのため 0.5 P/R と設定
加速度ピックアップを使用した小型ファンの回転計測例
小型ファンなどの回転体の回転速度を計測します。回転体の振動は、回転運動に依存します。振動の周波数を計測することにより、回転体の回転速度が得られます。
加速度ピックアップを使用したコンプレッサの回転計測例
エアコンなどで使用されているコンプレッサの回転速度を計測します。回転軸が出ていないコンプレッサの回転速度も、FT-7200 と加速度ピックアップの組み合わせで測定できます。
マイクロホンを使用した、マフラー音からのエンジン回転計測例
自動車のマフラー音からエンジンの回転速度を計測します。マフラー音には、エンジンの回転に起因した脈動成分が含まれています。その脈動の周波数成分から、エンジンの回転速度計測が可能です。パルス数は、クランクシャフト1回転あたりの点火・爆発回数を設定します。
マフラーの性能によっては、計測できない場合があります。
シガーライターソケットセンサー FT-0801 によるエンジン計測
自動車や建機に搭載されている Power Outlet に接続します。Power Outlet から出力される電圧のイグニッションノイズを検出し FT-7200 でエンジン回転速度を計測できます。
バッテリー電圧 12 V、24 Vに対応しています。
EV車の DCモーター回転速度測定
DCモーターは、様々な分野で使用されており、特に近年では電気自動車での利用にともない、より正確なモーター回転速度計測が重要となってきています。ここでは、OM-1200電磁誘導方式検出器を使用し、DCモーターの回転軸と直交に取り付け、DCモーターからの漏洩磁束を検出して、FT-7200 で回転速度を表示します。アナログ出力は回転速度変化の様子をペンレコーダ等で記録するために、またモニター用アナログ出力は波形確認信号としてお使いいただけます。
遠心分離機の回転計測例
遠心分離機は、回転軸が内部に隠れているため反射テープを用いた回転計測ができません。
しかし、FT-7200と加速度ピックアップを用いる事によって、回転計測が可能となります。遠心分離機の蓋に加速度ピックアップを取り付け、回転に寄与する振動成分検出します。
FT-7200はFFT演算方式により、安定的な回転計測ができます。
計測部 | |||||||||||||||||||
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被測定体 | DCモーター、コンプレッサ、エンジンまたは一般回転体 | ||||||||||||||||||
演算方式 | FFT演算方式 | ||||||||||||||||||
測定時間 | 250 ms 以内 | ||||||||||||||||||
入力周波数範囲 |
ただし、1 P/R の場合 |
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測定単位 | r/min(回転速度) | ||||||||||||||||||
測定精度(r/min) | ±2 × 回転速度分解能(r/min)± 1カウント
※回転速度の精度は周波数レンジに依存 |
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最小回転速度分解能(r/min) | 周波数レンジ(Hz)÷ 6400 × 60 ÷ 設定パルス数(P/R)
※回転速度が加速・減速していると時は分解能は粗くなります。 |
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フィルタ機能 | 選択された周波数レンジの範囲の中で、測定したい周波数範囲(回転速度)を限定 | ||||||||||||||||||
平均化処理 | 移動平均処理 平均回数:OFF、2、4、8、16 |
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センサーアンプ感度調整ボリューム | センサーアンプ感度を本体右側のロータリ式ボリュームにて調節可能 | ||||||||||||||||||
検出部 | |||||||||||||||||||
適合センサー |
※エンジンおよび測定対象物のタイプによっては正常に検出できない場合があります。 |
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電圧レベル |
5 V:Max ± 5 V 0.5 V:Max ± 0.5 V 0.05 V:Max ± 0.05 V |
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入力結合 | AC 結合 | ||||||||||||||||||
NPセンサー用電源 | 定電流電源(2.4 ± 0.5 mA) | ||||||||||||||||||
表示部 | |||||||||||||||||||
表示桁数 | 5 桁 | ||||||||||||||||||
文字高さ | 10.2 mm | ||||||||||||||||||
表示器 | LCD 7 セグメント、バックライト付 | ||||||||||||||||||
表示更新時間 | 0.5 ± 0.2 秒 | ||||||||||||||||||
表示分解能 | 1 r/min | ||||||||||||||||||
測定モード部 | |||||||||||||||||||
CNS(Constant) | Mode A、B:測定対象物の回転速度の変動が少ない場合(定格回転速度を測定する場合など)に使用 | ||||||||||||||||||
ACT(Active) | Mode C、D、E: 測定対象物の回転速度が加減速する場合に使用(ただし、急激に変化したときは正しく測定できない場合があります) | ||||||||||||||||||
アナログ出力部 | |||||||||||||||||||
【REVO】アナログ出力 |
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【SIG】モニター用アナログ出力 |
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パルス出力部 | |||||||||||||||||||
信号内容 | FFT処理で抽出したパワースペクトルの周波数パルス | ||||||||||||||||||
出力電圧 | Lo:0.5 V以下、Hi:4.5 V 以上(無負荷時) | ||||||||||||||||||
出力更新時間 | 定常回転モード(Constant):500 ms 以内 回転加減速モード(Active):250 ms 以内 |
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負荷抵抗 | 100 kΩ 以上 | ||||||||||||||||||
出力コネクタ | ミニミニジャック(φ2.5/REVO出力と共用) | ||||||||||||||||||
一般仕様 | |||||||||||||||||||
電源 | 単4形乾電池※ 4本、もしくは PB-7090 専用ACアダプタ(オプション) | ||||||||||||||||||
連続使用時間 | 約6時間(バックライト OFF 時) 約5時間(バックライト ON 時) (アルカリ乾電池使用、20 ℃にて、NP センサー使用時を除く(*1)) (*1) NP センサーを使用する場合は定電流電源の駆動により消費電流が多くなるため専用 AC アダプタを使用することをお奨めいたします |
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バッテリ LOW 表示 | 約 4.2 V で点灯 | ||||||||||||||||||
使用温度範囲 | 0~+40 ℃ | ||||||||||||||||||
保存温度範囲 | −10℃~+50 ℃ | ||||||||||||||||||
使用湿度範囲 | +35~+85 % RH(結露不可) | ||||||||||||||||||
保存湿度範囲 | +35~+85 % RH(結露不可) | ||||||||||||||||||
外形寸法 | 180.5(L)× 66(W)× 47.5(D)mm(本体のみ) | ||||||||||||||||||
質量 | 約 280 g | ||||||||||||||||||
付属品 | キャリングケース、取扱説明書3種 | ||||||||||||||||||
価格 | (税込 ) |
※乾電池はお客様にてご用意ください
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イグニッション検出器 (1次側用) IP-292 (税込 ) ![]() |
イグニッション検出器 (2次側用) IP-296 (税込 ) ![]() |
エンジン回転検出器 IP-3000A (税込 ) |
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エンジン回転検出器 VP-202 (税込 ) ![]() |
エンジン回転検出器 (高感度タイプ) VP-1220 (税込 ) |
シガーライターソケットセンサー FT-0801 (税込 ) ![]() 入力電圧:12 V、24 V ケーブル長:2 m コネクタ:BNC |
マイクロホン +プリアンプ MIシリーズ ![]() |
マグネットスタンド +スタンド治具 HT-0522 (税込 ) +HT-0521B (税込 ) |
ACアダプタ PB-7090 (税込 ) ![]() 入力:AC100~240V 出力:DC5.9 V / 3.5 A (付属ACケーブルは AC100~120V 用) |
信号ケーブル(2m) AX-501 (税込 ) ![]() アナログ・パルス出力兼用 Φ2.5ピンプラグ~CO2形(BNC) |
最終更新日:2024/08/05