計測機器システム構成例・活用事例
環境・インフラ
風力発電機の騒音・振動解析
風力発電機から発生する騒音は、一般的に発電機(機械装置)特有の周波数成分と回転羽根(ブレード)の風きり音から構成されます。通常、製造の段階で、これら機械装置から発生する騒音を対象に各部位(ユニット)の周波数分析を行い、システム全体に占める寄与度を推定して、寄与度の高い要因から優先して対策が取られています。
本例では、騒音の元となる振動源および騒音源の測定解析を多チャンネル計測システムを使用して、多くの振動源に加速度センサーをそれぞれ配置するとともに、発生音の解析も同時に行っています。また、結果として得られたデータから SoundPLAN 環境騒音予測ソフトウェアを使用して騒音伝播をシミュレーションすることが出来ます。
測定システム

機器構成
型名 | 品名 | 備考 | |
---|---|---|---|
1 | DS-3000シリーズ | マルチチャンネルデータステーション | Max. 32ch同時解析、110dBの高ダイナミックレンジ、最大16384点のFFT演算処理 |
2 | DS-0321 | 汎用FFT解析ソフトウェア | |
3 | DS-0323 | 1/1・1/3リアルタイムオクターブソフトウェア | |
4 | LA-7500 | 精密騒音計 | Leq、LAE、LN 同時測定、測定範囲:24〜138 dB(A)、周波数範囲:10 Hz〜20 kHz |
5 | MI-1235 | 1/2インチ計測用マイクロホン | 広帯域マイクロホン、周波数範囲:20 Hz〜20 kHz、最大音圧レベル:140 dB |
6 | MI-3111 | 同上用マイクロホンプリアンプ | 周波数範囲:20 Hz〜20 kHz、 自己雑音:-22.3 μVrms以下(FLATにて) |
7 | NP-3578N20 | プリアンプ内蔵型加速度センサー(3 軸) | 感度:10 mV/(m/s2)、周波数範囲:0.8 Hz〜10 kHz±3dB(Y、Z軸)、0.8 Hz〜8 kHz± 3 dB(X軸) |
8 | NP-0232 | 同上用信号ケーブル(3 m) | (NP-3578N20用) |
9 | NP-3120 | プリアンプ内蔵型加速度センサー(1 軸) | 感度:10 mV/(m/s2)、 周波数範囲:5 Hz〜5 kHz±0.5 dB |
10 | MX-100シリーズ | 信号ケーブル | (NP-3120用) |
11 | SoundPLANnoise | 環境騒音予測ソフトウェア | 各種騒音予測手法に対応した音響シミュレーションソフトウェア |
測定データ例
風力発電機の下で測定した騒音をFFT解析し、カラースペクトルで時系列的に表現すると、回転羽根(ブレード)が測定位置に近づく度に、騒音レベルが増大する様子が分かり、回転羽根(ブレード)により発生する風きり音を把握できます。また、定常的に発生している騒音は、機械装置特有の回転次数成分の振動と考えられ、それぞれを分離することが出来ます。

顕著な周波数スペクトルは、各部のユニット(装置)の機械・構造的な特徴を反映しています。
例えば、回転装置の1次成分、2次成分・・・です。
これらの情報を元に、振動加速度度信号と発生音との両側面から、
- 発生源の特定
- 騒音全体に対するそれぞれの装置の騒音寄与度の推定
騒音対策の優先順位を明らかにします。

また、実測された音圧レベルから算出された音響パワーレベルデータを環境騒音予測ソフトウェア「SoundPLAN」に取り込み処理することで、風力発電機から発生する騒音の伝搬をシミュレーションすることが可能です。
(本計算で作成した三次元地形は、北海道地図株式会社様「GISMAP Terrain(標高データ)」の DXF データ<GISMAP 標高データ3Dポリゴン化サービス>を基としております。)

※上記 O-Chart のコンター図は透明度を 40 % に設定しています。
コンターの透明度設定は O-Chart の Ver1.10 より実装されます。
ポイント
地形の起伏を定義するため、どのようなデータが入手可能か。
風車音の音響パワーレベルの設定
地形による遮蔽、および風況による騒音伝搬への影響を考慮するため、適切な騒音予測手法を選択する。
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最終更新日:2025/06/07