技術レポート一覧



制振材料とその性能測定について
(page8)

22. 損失係数測定の際使用する窓関数について

窓関数によって損失係数測定の際に、周波数応答関数が変形すると予想される。 下図は各窓関数をかけたときの損失係数の測定下限値を示す。

データ画面(各ウィンドウ関数の損失係数計測可能下限値<同期・非同期信号入力>)

 

データ画面(各ウィンドウ関数の損失係数計測可能下限値<信号同期・ズーム無し>)

 

前図から次のことがいえる

  1. FLAT-TOP ウインドウは損失係数測定には向いていない。

  2. 方形波ウインドウがワーストケースの分解能と分解能の中央位置に信号が入力された場合を除いて、損失係数測定には最適である。

  3. 従来「信号が非同期の場合には、ウィンドウ関数はハニングを使え」と言われてきたが、損失係数測定時(ピークから -13 dB よりも大きな値で η を求める場合)に限り、方形波ウインドウが最も小さな損失係数まで精度良く測定できる。ただし、矩形窓を使用してコヒレンスが低下する場合は、テーパー窓を使用する。

  4. 共振点が FFT 画面の左側に近づけば近づくほど、ウインドウ関数の影響が大きい。例として、ズームを使用しないでハニングウインドウ使用の場合の、FFT 10ライン目の測定下限は η= 0.15 である。

  5. 周波数応答関数波形の山が画面の左側にあるということは、低い周波数の共振・反共振を 高い周波数レンジで測定したことであり、山を右側に移動するということは(1)周波数レンジを下げる。(2)周波数ズームを行うことであるから、ここでもズーム分析の必要性が確認された。

  6. ズーム分析の別の効用として、ズーム分析は時間フレームを長くすることなので、インパルスレスポンスのはみ出し変形も減少する。さらに、ズーム分析は周波数分解能を上げることになるため、この部分での誤差の減少も期待できる。また、FFT 点数を増やすことによっても同様の効果があると考えられる。 最近では 65,536 点の FFT で 25,600 ラインのスペクトルを計算するものまで出現して、ある程度損失係数が大きい(η:0.01 程度)場合にはズーム分析が不要なものが使いやすい。

 

 

23. ヤング率等の計算

無垢材料の測定からヤング率を求める計算式、及び RKU (Ross, Kerwin, Unger)方程式を用いた複合型(2層型・3層型)で測定した損失係数・ヤング率から制振材単品の損失係数・ヤング率を求める計算式を示す。

 

■ 無垢材料

 共振周波数を fn (Hz)、半値幅を Δ fn (Hz)、試料片の長さを (m)、試料片の厚さ h (m)、試料片の平均密度を ρ (kg/m3) とすると。

 

 ダンピングが小さい場合は 1/8 Δ fn2 を無視し

 

 また、損失係数 η は

ここで

  1. 片持ち梁法と中央加振法反共振使用の場合

次数 n θn θn4
1 1.87510 12.36
2 4.69409 485.5
3 7.85476 3806.6
4 10.99554 14617.3
5 14.13717 39943.8
6 17.27876 89135.4
7 20.42035 173881.2
8 23.56194 308208.2
 

以下 + π

 
ただし、片持ち梁法の場合は(1)式の に全長からつかみしろを除いた長さを入力。中央加振反共振を使用する場合は(1)式の /2を入力する。

 

  • 中央加振で共振を使用する場合は共振周波数を求めて、θ n に下記値を使用する。

  • 次数 n θn θn4
    1 4.73004 500.56
    2 10.99561 14617.6
    3 17.27876 89135.4
    4 23.56194 308208.2
    5 29.84513 793403.1
    6 36.12831 1703690.0
    7 42.41150 3235448.8
    8 48.69468 5622456.0
     

    以下 + π

     
    は、全長を入力

     

  • 両端自由で2点吊り(支持)法の場合

  • 次数 n θn θn4
    1 4.73004 500.56
    2 7.85320 3803.5
    3 10.99561 14617.6
    4 14.13717 33943.8
    5 17.27876 89135.4
    6 20.42035 173881.2
    7 23.56194 308208.2
     

    以下 + π

     
    は、全長を入力

    また高次では θn+1 と θn の差はほとんど π と一致することから

    となり次数のファクター θn 及び密度 ρ が消去されたこの式が、次数がわからない場合に有用な式である。

     

    ■ 2層型複合板の場合

     

    複合試験片の損失係数: η c

    共振周波数:fc[Hz]

    自由長の長さ:[m]

    基材の損失係数: η1 = 0 と置く

    共振周波数:fi[Hz]

    厚み:d1[m]

    密度:ρ 1[kg/m3

    ヤング率:E1[N/m2

    制振材単品の損失係数: η 2

    厚み:d2[m]

    密度:ρ 2[kg/m3

    ヤング率:E2 [N/m2

    イラスト(2層型複合板)

     

     さらにヤング率比 E2 / E1 = M、厚み比 d2 / d1 = T、密度比 ρ2 / ρ 1 = D と置くと、制振材単品の損失係数及びヤング率は、基材自身のデータと複合試験片のデータから次式により計算できる。

    ただし、ここで

    である。

    ただし、α ≧ 1.1 の時に成り立つ。

    ■ 両面貼り複合板(上下同一制振材使用)

     

    複合試験片の損失係数: η c

    共振周波数:fc[Hz]

    自由長の長さ:[m]

    基材の損失係数: η1 = 0 と置く

    共振周波数:fi[Hz]

    厚み:d1[m]

    密度:ρ 1[kg/m3

    ヤング率:E1[N/m2

    制振材単品の損失係数: η 2

    厚み:d2[m]

    密度:ρ 2[kg/m3

    ヤング率:E2 [N/m2

    イラスト(両面貼り複合板)

     

     さらに厚み比 d2 / d1 = T、密度比 ρ2 / ρ1 = D と置くと、制振材単品の損失係数及びヤング率は、基材自身のデータと複合試験片のデータから次式により計算できる。

    ここで、と書いて

    ただし、ここで

    の時に成り立つ。

    ■ サンドイッチ型複合板(制振鋼板)の剪断弾性率と損失係数

     

    複合試験片の損失係数: η c

    共振周波数:fc[Hz]

    自由長の長さ:[m]

    基材の損失係数: η1 = 0 と置く

    共振周波数:fi[Hz]

    厚み:d1[m]

    密度:ρ 1[kg/m3

    ヤング率:E1[N/m2

    制振材単品の損失係数: η 2

    厚み:d2[m]

    密度:ρ 2[kg/m3

    剪断弾性率: G[N/m2

    イラスト(サンドイッチ型複合板)

     

     さらに厚み比 d2 / d1 = T、密度比 ρ2 / ρ1  = D と置くと、制振材単品の損失係数及び剪弾性率は、基材自身のデータと複合試験片のデータから次式により計算できる。

    ここで

    ただし

    の時に限る。

     

     

    << 前ページ    目次    次ページ >>


    eー見積もり
    アプリケーション(用途例)

    Copyright © ONO SOKKI CO.,LTD All Rights Reserved. | 当サイトのご利用にあたって| 個人情報保護方針