3.電磁加振器の加振力レスポンスおよび直線性
測定ブロック図を図8に示す。
図8 |
あらかじめ加振器で付加マスをマスキャンセルしておき、図のように機械系を構成。
電磁検出器と同じものを使用。インピーダンスヘッドの出力、電磁検出器に流れる電流を測定。MP-910、MP-912のギャップが異なるため発生「力」が異なる。このため加えた電圧最大値で横軸を正規化。
インピーダンスヘッドの出力最大値で正規化してある。
- 周波数特性
2種の加振器の力レスポンスを図9、電流レスポンスを図10、電流/力の周波数応答関数を図11に示す。
直流抵抗 1 kΩ の MP-910 は自身のインピーダンスの影響を受け、力レスポンスに約8kHzの谷を持つ。このため電流/力の周波数応答関数はこの周波数に山を持つ。 これと比較して直流抵抗 100 Ω の MP-912 は10 kHz の範囲では、比較的素直な特性を持つ。 この事から従来行われてきた、電磁加振器への入力電圧対応答電圧よりも電磁加振器電流対応答電圧の方が共振周波数の左右対称性が得られることがわかった。(図12)
加振力については図からは正規化しているので読みとれないが、その加振力はいずれも0.05N/W(att1mmGAP,1kHz)程度であるが、実用的な0.5Nの力を得るためには、MP-910では約100V、MP-912では約38Vの電圧が必要である。
図9 |
図10 |
図11 |
図12 |
- 加振直線性
電磁加振器に加える電圧を徐々に変えてゆき、加振直線性を測定測定した。 その特性を図13〜図16に示す。かなりの直線性であることがわかる。
図13 |
図14 |
図15 |
図16 |
4.結論
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電磁検出器・加振器の特性は従来からあまり測定例が無く、片持ち梁法では頻繁に使用されるが、電磁加振器への入力を商にして本当に力を測っているのか、との疑問から本測定を行った。その結果電磁加振器への入力電流を測定する方が、電圧を測定するよりもより「力」に近いことがわかった。
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速度検出精度・速度発生精度については思ったよりも高精度であることがわかった。
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当社製の2種類の電磁検出器・加振器を測定したが、他社製のものも今後測定する予定である。
- 電磁加振器としては、コイルをたくさん巻くと大きな加振力が得られそうなものであるが、これはインピーダンスを上げてしまって、逆効果である。太い線を適量巻き(1000回程度)直流抵抗を数十Ωにすれば良いことがわかった。