26. 逆U字プロット
損失係数測定データを、横軸にヤング率、縦軸に損失係数を取ってプロットすると、アルファベットの“U”の字をさかさまにしたようにデータが並ぶ。このプロット位置は基準温度 T0 の如何に関わらず同じで、損失係数の測定精度が良い程、逆U字上にプロット点が並ぶ。 ここで逆U字曲線は、ヤング率のカーブフィット結果をもとに描くため、カーブフィットがうまくいっていないと測定データ(プロット)との相関が悪くなる。したがって、データの読み取りは逆U字プロットからではなく、換算周波数ノモグラムを使用しなければならない。逆U字プロットはヤング率のカーブフットの精度検証や、試験片の損失係数と共振周波数の測定精度の検証に有用である。
図9 逆U字プロット |
27. 損失係数の近似式
損失係数-換算周波数の近似式特性として、下図10に示すような曲線にカーブフィットさせる。近似式としては次式を使用する。
13式 |
ここで、 k は、
14式 |
○損失係数パラメータ(8個) |
|
:損失係数ピークの左側の傾き | |
:損失係数ピークの右側の傾き | |
:損失係数の最大値の常用対数 | |
:損失係数が最大となる換算周波数の常用対数 | |
c | :曲率 |
Qh | :損失係数の右側の折れ曲がり強度 |
η h | :最大換算周波数時の損失係数 |
:損失係数の右側の折れ曲がり換算周波数 |
図10 損失係数 - 換算周波数 近似式の特性 |
28. ヤング率の近似式
ヤング率 - 換算周波数の近似式特性として、下図11に示すような曲線にカーブフィットさせる。
近似式としては次式を使用する。
15式 |
○ヤング率パラメータ(4個) |
|
Q | : 弾性係数の中央部の傾き |
Em | : 弾性係数の中央値 |
fm | : 弾性係数の中央部の換算周波数 |
El | : 最小換算周波数における弾性係数 |
図11 ヤング率 - 換算周波数 近似式特性 |
このように、損失係数(8個)、ヤング率(4個)のカーブフィットパラメータを求めることにより、損失係数、ヤング率が温度を含まない周波数のみの式で表せることになり、有限要素法等のシミュレーションソフトへの適応が期待できる。