計測機器システム構成例・活用事例
家電・製造業
携帯電話や小型スピーカの周波数特性(f特)を簡易的に測定する方法
携帯電話や音響機器に使われているスピーカの音響特性を簡易的に評価するため、一般的には次のような測定が行われています。
- スピーカの出力音圧レベルの測定
- スピーカの周波数特性確認
- バイブレーション機能の確認(振動測定では騒音計の代わりに振動センサーを使用します)
- 測定結果によるOK/NG判定
ある決められた周波数のときの音圧レベルを測定する場合は、騒音計だけで測定可能ですが、周波数を変化させて周波数特性を測定する場合は、騒音計等とFFTアナライザーの組み合わせで測定を行います。ここでは、その測定方法を 5 例ご紹介します。
例1:リアルタイムでの周波数特性測定
DS-3202データステーション(FFT解析システム)の信号出力機能でサインスイープ信号を出力し、スピーカから発する音を騒音計で測定します。
サインスイープ信号と騒音計のACout信号をDS-0321汎用FFT解析ソフトウェアで周波数応答関数を測定し、スピーカの周波数特性(f特)を求めます。
パワースペクトルのピークアベレージ機能を使用して解析すると、X軸:周波数、Y軸:音圧レベルの表示を行うこともできます。 下の図は、パワースペクトルの測定と周波数応答を同時測定した例を示します。

機器構成
型名 | 品名 | 備考 | |
---|---|---|---|
1 |
LA-7500 | 精密騒音計 | 測定周波数範囲:10 Hz~20.0 kHz |
2 |
AG-3401 | マイクロホン延長ケーブル | 5m |
3 |
DS-3000シリーズ | ESUFEEL(4ch FFTセット) | ◆DS-3204 4chメインユニット ◆DS-0321 FFT解析機能 ◆DS-0350 レコーディング機能 ◆USB3.0 ケーブル(2 m) |
4 |
DS-0371 | 信号出力ユニット | 1ch、40 kHz(メインユニット内に内蔵) |
例2:発信器 を使用したリアルタイムでの周波数特性測定
信号発信器を用意することで、CF-9200A ポータブル2チャンネルFFTアナライザーを使った次のような構成も考えられます。 信号発信器からサインスイープ信号を出力します。 騒音計の ACout 信号をパワースペクトルのピークアベレージ機能で解析すると、X軸:周波数、Y軸:音圧レベルの表示を行うことができます。 信号発信器からのサインスイープ信号をCF-9200A の CH1に、騒音計からの信号を ch2 に入力することで、例1と同様に周波数応答関数の測定も可能となります。

機器構成
型名 | 品名 | 備考 | |
---|---|---|---|
1 |
LA-7500 | 精密騒音計 | 測定周波数範囲:10 Hz~20.0 kHz |
2 |
AG-3401 | マイクロホン延長ケーブル | 5m |
3 |
CF-9200A | ポータブル2ch FFTアナライザー | 2ch、100 kHz |
例3:騒音計でデータ保存後、FFT解析ソフトで解析する
信号発信器でサインスイープ信号を出力し、LA-0704サウンドレコーディング機能で高速SDカードにWAVファイル形式で録音(64 kHz、16 bitAD変換)します。
Oscope2 時系列データ解析ソフト(OS-2720 FFT解析パック)を使いパソコン側でWAVデータを再生し 例2と同様にパワースペクトルのピークアベレージ機能で解析すると、X軸:周波数、Y軸:音圧レベルの表示ができます。
(注意)Oscope で読込む場合は、2 GBまで(LA収録データ)となります。
以下の時間内で、収録ください。 収録時間:16 bit使用時(2 GB 4.5時間) 24 bit使用時(2 GB 3時間)

機器構成
例4:製造ラインで、OK/NG判定
信号発信器でサインスイープ信号を出力し、スピーカから発生する音を騒音計で測定します。
騒音計の ACout 信号を CF-4700A FFTコンパレーターに入力し、パワースペクトルのピークアベレージ機能で解析すると、
X軸:周波数、Y軸:音圧レベルの表示を行うことができます。
Y軸のレベルに対し OK/NG の判定を行います。判定結果や測定スタート、ストップ信号はシーケンサなどから制御が可能です。
なお、LA-7500 騒音計の代わりに MIシリーズマイクロホン+ MI-3111 プリアンプと SC-2500A 音響校正器でも可能です。

機器構成
型名 | 品名 | 備考 | |
---|---|---|---|
1 |
MI-1235 | 計測用マイクロホン | 測定周波数範囲:20Hz~20.0kHz |
2 |
MI-3111 | プリアンプ | 20 Hz ~ 20 kHz |
3 |
MX-105 | 信号ケーブル | 5m |
4 |
MX-101 | 信号ケーブル | 1.5m |
5 |
SR-2210 | 2chセンサーアンプ | 1 Hz ~ 20 kHz (±0.5 dB) |
6 |
CF-4700A | FFTコンパレーター | 1ch、1 Hz~40 kHz ダイナミックレンジ : 110 dB |
7 |
SC-2500A | 音響校正器 | 基準音圧(SPL):114dB、1000Hz |
例5:携帯電話のスピーカ 音圧レベルの判定
測定を始める前にSC-2500A 音響校正器を使い、CF-4700A FFTコンパレーター側の音圧単位校正を行います。
携帯電話の着信音を鳴らし、その音をMIシリーズマイクロホンで検出します。
例4と同様にCF-4700Aでピークアベレージ機能またはスペクトル加算平均機能を使ってパワースペクトルを測定すると、
X軸:周波数、Y軸:音圧レベルの表示を行うことができます。
分析結果の音圧レベルからOK/NG判定を行い接点で出力します。シーケンサなど外部機器から計測スタート・ストップの制御が可能です。

機器構成
型名 | 品名 | 備考 | |
---|---|---|---|
1 |
LA-7500 | 精密騒音計 | 測定周波数範囲:10 Hz~20.0 kHz |
2 |
AG-3401 | マイクロホン延長ケーブル | 5 m |
3 |
CF-4700A | FFTコンパレーター | 1ch、1 Hz~40 kHz ダイナミックレンジ: 110 dB以上 |
ポイント
周囲の音が測定に影響する場合は、無響箱などを用意します。
信号発信器のスイープ時間は、早すぎると測定データに影響があります。試し試験を行い最適なスイープ時間を実機で確認ください。
リアルタイムでの解析の場合、信号発生器の代わりにFFTアナライザーの信号出力機能(オプション)を使用すると、FFT解析と連動してサインスイープを行いますので、より測定しやすくなります。
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最終更新日:2017/10/03
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