周波数分解能はどのように決めるのか?
周波数分解能を Δf とすると、FFTアナライザー基本FAQ「時間窓長とサンプリング点数との関係は?」の中の式から;
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(1) |
の関係となります。
これより、周波数分解能を高くする(Δf を小さくする)ためには、時間窓長を大きくする必要があります。そのためには、サンプリング周波数 fs を低くするか、サンプリング点数 N を大きくするかのどちらかとなります。通常は、分析周波数レンジを決めると必然的にサンプリング周波数が自動的に決定されますので、現実的には、周波数分解能は主としてサンプリング点数 N に依存することとなります。
サンプリング点数 N 点の FFT では、N/2 点の周波数スペクトルが得られ、分析周波数レンジまではそのうちの N/2.56(分析ライン数 L)の周波数スペクトルが得られることとなります。すなわち、分析ライン数 L と N との関係は、FFTアナライザー基本FAQ「周波数レンジとサンプリング周波数との関係は? 」での式と同様に;
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(2) |
となります。
周波数分解能に関して留意すべき点は、以下です。
スペクトルの瞬時時間変動を見たい場合には時間分解能を上げる(そのためには時間窓長を小さくする)必要があり、(1)式から周波数分解能が悪くなる。これより、通常の FFT分析ではスペクトルの時間分解能と周波数分解能とは逆数の関係となる。
限られた時間信号データからランダム信号を分析して PSD(パワースペクトル密度)を計算して推定したい場合、時間窓長を大きくしても統計的精度は改善されず周波数分解能が上がるだけである。限られた時間データしかない場合は、多少周波数分解能を落としても時間窓長を短く取り、平均回数をなるべく多くして PSD 推定する方が望ましい。
これまでの時間軸、周波数軸、サンプリング点数などの関係をまとめると;
分析周波数レンジは、サンプリング周波数で決まり、frange = fs/2.56
分析ライン数は、サンプリング点数で決まり、L = N/2.56
時間窓長は、サンプリング周波数とサンプリング点数で決まり、T = N/fs
周波数分解能は、時間窓長で決まり、Δf = 1/T
となります。
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(注)周波数レンジ毎の具体的な数値例は、上記ページの表1、2、3をご参照ください。 |