システム構成例
BF-3100 4chビームフォーミングソフトウェアは、小野測器が開発した独自のビームフォーミング演算法により、4本のマイクロホンでも従来の 36chのマイクロホン(自社比較)と、同等の音源の位置分解能を有する音源可視化ソフトウェアです。
使用するマイクロホンを少なくすることにより、マイクロホンプローブが小型軽量となり、従来のビームフォーミングの装置では難しい狭い空間でもマイクロホンプローブを手に持ち、移動させながら音源を捜すことができます。
新開発の音源可視化マイクロホンプローブ MI-5420は、高周波用と低周波用プローブヘッドを用途に応じ、付けかえて計測します。高周波用はマイクロホン間隔が 60 mmで 1000 Hz~8000 Hz に対応しています。低周波用はマイクロホン間隔が 120 mmで 500 Hz~4000 Hz に対応しています。音源可視化の際に御要望が多い 1000 Hz 以下、および 5000 Hz 以上の帯域に対応しました。
4chビームフォーミングソフトウェア は、リアルタイムモニタソフトウェアとオフライン解析ソフトウェアから構成されています。リアルタイムモニタソフトウェアは、音源可視化処理を1秒間に5回の速さで行い、取り付けられたカメラの動画と重ね合わせて、解析結果を表示します。
また、リアルタイムモニタソフトウェアは録音、録画機能を有しています。Oscope にプラグインされているビームフォーミングオフライン解析ソフトウエアでは、1秒間あたり25回の表示が可能です。周波数解析機能やフィルタ処理機能を用いて、録音・録画したデータの解析を行うことで、突発的な音がいつ、どこで発生しているかを探査することができます。
紹介動画 「このおとどこから?」 (YouTube)
特長
ビームフォーミングの演算に、新しい手法を用いることにより、 少ないマイクでも音源位置を精度よく捉えます。
発生する音を聞きながら音源を、目で確認でき、その場で音源位置を認識することができます。
変化の早い音については、録画、録音してオフライン機能で時間分解能を高めて解析することができます。
推奨解析周波数 500 Hz~8 kHz での音源探査が可能になりました。
新設計マイクロホンプローブの小型化により、狭い空間での音源探査も可能になりました。
システム構成
測定ユニットには、データステーション DS-3200 をベースに、音源可視化マイクロホンプローブ MI-5420 を組み合わせてシステムを構成しています。測定および解析には、4ch ビームフォーミングソフトウェア BF-3100 と 時系列データ解析ツール Oscope を使用します。
ソフトウェア構成
音源可視化システムを構成する2つのソフトウェア
リアルタイムモニタ
このソフトウエアは測定対象が発する音の音源可視化処理をリアルタイム(5回/秒)で実施、表示します。マイクロホンプローブの場所を移動させ、解析する周波数帯域を切り替えながら、音源を見つけることができます。録画のフレーム数は25回/秒です。8chまで接続が可能で、そのうち4chはビームフォーミングのマイクロホンと接続します。他4chには加速度検出器などを接続し、振動波形をモニタリングが可能です。さらに回転センサーで対象物の回転数を確認しながらの、モニタリングも可能です。
オフライン解析ソフトウェア
再現性の難しい音や変化の早い音に関しては、録音、録画した結果を繰り返し解析することができます。オフライン解析では、データの欠落がないので、一瞬の音でも確実に音源位置を可視化できます。時系列データ解析ソフトOscope* にプラグインされたソフトウェアで、異音
の特徴抽出ができます。オフライン解析処理は、25回/秒で解析を実施できます。
→ * 詳しい製品紹介は、こちら
他センサーと組み合わせた計測
音源可視化マイクロホンプローブ(4ch使用)に加え他センサーの入力(最大 8ch)が可能ですので、多角的な解析が実現します。
計測事例
自動車のドアの閉まり音
[ 解析の流れ ]
ドアが閉まる際に発生する音は、中心となる低い周波数のほかにラッチ音などの高い周波 数の音が混ざっています。それぞれの音がどこで発生したのかを、時系列解析ソフト Oscopeを用いて解析し、4chビームフォーミングで可視化します。解析時間を適切に設定することで、時間分解能を向上させることが可能です。
はじめに、 4chビームフォーミングで収録を行い、オフラインでFFT解析を行います。その結果をカラー マップで表示することで、視覚で音の発生しているタイミングと周波数を知ることができま す。また、パラメトリックイコライザで周波数フィルタをかけ、特長を捉えた音を視聴すること で、聴覚で確認を行うことも可能です。カラーマップが表示する周波数特性とパラメトリック イコライザ機能の視聴結果を参考に、4ch ビームフォーミングオフライン解析を行います。
設定条件
● 計測面までの距離: 2.2 m
● 分割数: 161×121
● 解析周波数 A:8000-12000 Hz B:8000-12000 Hz C:300-800 Hz
図1 FFT解析カラーマップ画面
FFT解析しカラーマップで表示したドア閉め音です。赤色に近づくにつれて音圧が大きくなっていることを示しています。左のY軸が周波数を示しており、X軸は時間を表しています。色が付いている部分に特長が現れています。○で示した周波数帯域と時間を参考に 4chビームフォーミングを行います。
図2 パラメトリックイコライザ画面
パラメトリックイコライザ機能で音の視聴を行います。画像では、8 ~12 kHzの音のみを抽出し、どのような音が発生しているか、確認を行います。
図
[ 解析結果 ]
ドア閉め音の流れは以下の様になりました。
(A)ドア後方中央から高音域のラッチ音→(B)ドア下部からドア当たり音→(C)低音域のドア中央からの放射音
[ 解析背景 ]
図1のカラーマップによると、1~ 3 kHzの帯域(赤色部分)に高い音圧が集中しています。この帯域を中心にオフライン解析を行うと、(A)のラッチ音や(B)のドア当たり音は反射音などに埋もれてしまい、ビームフォーミングオフライン解析では、確認することができません。(A)と(B)ではより高い周波数で解析することにより、ラッチ音、ドア閉め音を可視化することができました。
(A)(B)(C)それぞれ特長のあった周波数帯域を、4ch ビームフォーミングオフラインソフトで解析を行いました。人の耳では一つに聞こえる音も、解析時間と周波数を変えることで、時系列とともにいくつかの音が発生していることを可視化し、確認することができます。
仕様
MI-5420 音源可視化マイクロホンプローブ
マイク間隔 | 120 mm | 60 mm |
---|---|---|
重量(プローブ+カメラ)* |
600 g以下 | 500 g以下 |
周波数範囲 | 500 Hz ~ 4 kHz | 1 kHz ~ 8 kHz |
使用温度範囲 | 0 ~+50 °C | |
保存温度範囲 | -10 ~+60 °C |
* ケーブル含まず
収録機能(FFTアナライザー・カメラ画像)
FFTアナライザー | |
サンプリング周波数 | 51.2 kHz |
---|---|
収録周波数レンジ | 20 kHz |
A/D変換 | 24 bit |
チャンネル数 | input 4 ch(最小)~ 8 ch(最大) 外部サンプル入力を使用した回転速度の収録も可能 |
収録ファイル | ORFファイル(小野測器独自フォーマット) |
カメラ画像 | |
画素数 | VGA(640 x 480) 固定 |
ファイルフォーマット | AVI Motion Jpeg形式 |
フレームレート | 25 fps(収録)/ 5 fps(モニタリング) |
カメラ画角 | 水平:42 ° 垂直:26 ° |
画像分解能 | 640 x 480 |
共通 | |
最大収録時間 | 20 min |
ソフトウェア仕様(BF-3100/Oscope)
ビームフォーミング計算 | |
カラーマップ表示分割数 | 33 x 25(固定) |
---|---|
FFTサンプリング点数 | 2048 点(固定) |
窓関数 | Rectangular |
バンドパスフィルタ設定帯域 | 1/3オクターブバンド毎 |
FFTモニタ | |
FFTサンプリング点数 | 2048 点(固定) |
窓関数 | Rectangular |
表示周波数帯域 | 250 Hz ~ 20 kHz |
オフライン解析(Oscope 2 プラグイン機能) | |
カラーマップ表示分割数 | 33 x 25 ~ 161 x 121 |
フレーム長 | 2048 点(固定) |
窓関数 | Rectangular/Hanning/Force |
バンドパスフィルタ設定帯域 | 3/1オクターブバンド毎/カスタム |
その他 | |
出力機能 | AVI/BMP/CSV/O-Chart |
データ表示 | データリスト/タイムトレンドデータ |
ハードウェア | DS-3200 | DS-3100 | DS-2100 |
---|---|---|---|
ソフトウェア | DS-2000A、DS-3000 | ||
入力チャンネル数 | 4 ch以上 最大8 ch | ||
必須インターフェース | - DS-0371(信号出力)* |
DS-0399(USB) DS-0371(信号出力)* |
DS-0299(USB) DS-0271A(信号出力)* |
仕 様 | |
---|---|
インターフェース | USB3.0 x 1(カメラ)、 USB3.0 x 1(DS-3200)または USB2.0 x 1(DS-0299/0399)、 USB2.0以上 x 1(ライセンスキー) |
OS | Microsoft® Windows® 7 Professional (64 bit 版)、Microsoft® Windows® 10 Pro(64 bit 版) .NET Framework3.5 Servie Pack1がインストールされていること |
CPU | Intel® Core TM i5 2.7 GHz 以上 (推奨はIntel® Core TM i7) |
DirectX | DirectX 9.0c以降 (OS-0281を使用する場合) |
メモリ | 4 GB 以上 |
ハードディスク | 空き 容量 16 GB 以上 |
ディスプレイ | 1280×768以上表示可能なもの |
光学ドライブ | インストールおよびアップデート時に DVD-R、および CD-Rの読込みが可能な光学ドライブ |
価格
ソフトウエア | 品名 | 価格 (税込) |
---|---|---|
BF-3100 | 4ch ビームフォーミング音源可視化ソフトウェア | (税込 ) |
OS-2720 | Oscope FFT解析パック | (税込 ) |
OS-0281*1 | Oscope 動画再生 オプション |
(税込 ) |
OS-0261*2 | IIRフィルタ オプション |
(税込 ) |
MI-6420との組合せ
4ch ビームフォーミングソフトウェアは、MI-6420 三次元SIプローブ との組合せで使用することも可能です。
MI-6420は、BF/EI/SI の3種類の音源可視化方法に対応可能 という、MI-5420 音源可視化マイクロホンプローブにはない特長があります。
MI-5420と同様に、8chまで対応しており、回転センサーや加速度検出器の波形を確認しながらの測定が可能です。
MI-6420 三次元SIプローブ
マイク間隔 | 60 mm (正四面体) |
---|---|
寸法 | 全長 559 mm |
重量 | 約300 g |
録音周波数 | 51.2 kHz |
モニタ機能の解析間隔 | 5 回/秒 |
推奨解析周波数 | 1 kHz~5 kHz (1 kHz以下、5 kHz以上の周波数ではビームフォーミング演算しますが、 精度保証外です。) |
価格
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■ DS-3000 データステーション
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(詳細は左図をクリック)
■ Oscope 時系列データ解析ツール
Oscope は、エクセルで扱えない長い時系列データを自由自在に編集、解析するソフトウェアです。
BF-3100で録画したデータに加え、各社レコーダの独自データや汎用フォーマットの CSV、WAVE ファイルなどが扱えます。動画再生機能、FFT解析機能、変動音解析機能、様々なフィルタ機能に加え、音質評価機能もあります。
(詳細は左図をクリック)
最終更新日:2017/06/06