4ch ビームフォーミング 音源可視化システム

システム構成例

日本音響学会 第25回 技術開発賞受賞 

4chビームフォーミング音源可視化システムは、音源からマイクロホンまでの位相差情報から音圧分布を得てカラーマップで可視化する方法です。ビームフォーミングではより広帯域の音に適応するために、数十、百を超えるマイクロホンを使用することが多く、サイズは大きくなりがちでした。当社の「4chビームフォーミング」は4本という少ないマイクロホンで音の可視化をリアルタイムで実現したシステムです。

BF-3200 BFモニタのリアルタイムモニタ画面

MI-5420 3次元SIプローブ

音源可視化マイクロホンプローブ MI-5420A
60 mm / 120 mm

紹介動画 「このおとどこから?」 (YouTube)

ビームフォーミング画面事例

特長

  • 広い解析周波数での計測を実現
    解析周波数 500 Hz~8 kHz の音源探査が可能です。
    ※推奨解析周波数

  • 4本のマイクロホンで音源探査が可能
    ビームフォーミングの演算に、新しい手法を用いることにより、少ないマイクでも音源位置を精度よく捉えます。

  • 音源の状況をリアルタイムでモニタ(20 回以上/秒)
    音源位置の追従性が良いので、定常音・過渡音に関わらず可視化が可能です。

  • 広画角化で近距離測定が可能
    近距離測定で反射波や環境影響を低減し、S/Nを確保しやすくなります。
    これまで音源可視化が難しかった環境でも音源位置の把握が可能になります。

システム構成

MI-5420 /BF-3100システム構成 DS-3000 Oscope

測定ユニットには、データステーション DS-3200をベースに、音源可視化マイクロホンプローブ MI-5420Aを組み合わせたシステムを構成で、解析周波数に応じて120 mmと60 mmの2種類のマイクロホンを付け替えて使用します。データステーションの 4chは音源可視化マイクロホンプローブを接続します。さらに 4chを追加すると加速度センサーや、回転センサーなどを接続して、振動波形や回転速度を確認しながらのモニタリングが可能です。 測定および解析には、4chビームフォーミングソフトウェア(BF-3200/BF-0310)および時系列データ解析ツール Oscopeを使用します。

他センサーと組み合わせた計測(増設例)

音源可視化マイクロホンプローブ(4ch使用)に加え他センサーの入力(最大 8ch)が可能ですので、多角的な解析が実現します。

ソフトウェア構成

音源可視化システムを構成する2つのソフトウェア

ソフトウェアは目的に合わせて選ぶことが可能です。現場でのスピーディーな問題解決に最適なのは BF-3200(BFモニタ)で基本パッケージです。さらにオプションで BF-0310(BFオフライン解析)を追加するとカラーマップ表示分割数変更、ナローバンドでの可視化、スムージングなど便利な機能があり、詳細解析が可能になります。(別途 Oscope が必要です。)

BF-3200 BFモニタ

BF-0310 BFオフライン解析

計測事例

自動車のドアの閉まり音

ドアが閉まる際に発生する音は 500 Hz 以下の低い周波数帯域の音の他にラッチ音などの 1 kHz 以上音が 10 ms単位でタイミングをずらしながら混ざって聴こえます。それぞれの音がどこで発生したのかを 4 ch ビームフォーミング音源可視化システムで可視化します。

BF-3200でリアルタイムに音源位置をモニタリングすることができます。描画速度が 20 fps 以上なので過渡音にも追従します。ドア閉め音の場合、ラッチ→ドア周囲⇒地面という順番を確認することができます。

Oscope を利用して収録データのオフライン解析を行います。BF-0310 は Oscope にプラグインされたソフトウェアなので、他の解析結果と合わせながら音源位置を把握することが可能です。下図の時間波形と周波数解析の結果から、AとBタイミングで 1 kHz~2.5 kHzの帯域で音圧が大きくなっています。このタイミングと帯域に注目して音源可視化をすると、Aはラッチ音、Bはドア当たり音ということがわかります。

人の耳では1つに聴こえる音も、時間と周波数をより詳細解析することによって、それぞれのタイミングでどこの部位からどの帯域で音が発生しているかを把握することができます。これによって、例えば音質改善する際にどこの部品を設計変更すれば良いかというヒントを得ることができ、改善プロセスの時間短縮に貢献することができます。

音源可視化システム 計測事例集 

仕様

MI-5420A 音源可視化マイクロホンプローブ

音圧感度 -38 dB ±3 dB (0 dB = 1 V/Pa、1 kHz)
最大音圧レベル 110 dB(1 kHz、THD = 3 %)
自己雑音レベル 39 dB(A特性)
使用温度範囲 0 ℃~50 ℃
使用湿度範囲 80 %RH以下 (結露しないこと)
保存温度範囲 -10 ℃~60 ℃
保存湿度範囲 90 %RH以下 (結露しないこと)
質量※1 120 mmプローブヘッド有 約785 g
60 mmプローブヘッド有 約655 g
適合規格(CEマーキング) EMC指令 2014/30/EU 規格 EN61326-1
RoHS指令 2011/65/EU 規格 EN IEC 63000
電源 供給方式 CCLD
電圧 DC 24 V
電流 4 mA/ch
メインボディ カメラ※2 CMOS USBカメラ
インターフェイス:USB3.0
電源:USBバスパワー
複合ケーブル グリップ取り付け用ネジ穴 1/4-20UNC 6 mm( 下面,後面2箇所)
アクセサリ取り付用ネジ穴※3 1/4-20UNC 6 mm( 上面2箇所)
長さ 全長約3 m
太さ 約φ20 mm※4
最小曲げ半径 約70 mm
被覆 樹脂メッシュスリーブ※5
付属品 マイク音響補正ファイルCD×1
マイク位置確認プレート×1
メインボディ置き台※6×1
BNCケーブル(0.2 m)×1
BNC-JPJアダプタ×1
取扱説明書×1
キャリングケース×1

※1 プローブヘッド、メインボディ、グリップを含めた場合(ケーブルを含みません)。
※2 カメラ・レンズの交換はできません。
※3 社外品グリップや照明を使用された場合、測定結果に影響を及ぼす可能性があります。
※4 貫通穴など通線をする場合は、コネクタ部がありますので、φ30 mm以上の穴としてください。
※5 ポリエステルとナイロンにて複数のケーブルを束ねています。
※6 マイクロホンプローブを置く際に使用します。

ソフトウェア仕様(BF-3200 / BF-0310)

BF-3200 BFモニタ

ビーム フォーミング 計算
対応マイクロホンプローブ MI-5420A / MI-5420 / MI-6420
カラーマップ表示分割数 41×31(固定)
可視化周波数帯域※7 120 mmプローブヘッド
500 Hz~4 kHz
60 mmプローブヘッド
1 kHz~8 kHz
可視化周波数設定帯域 315 Hz~16 kHz(1/3オクターブバンド毎)
フレームレート※8 20 fps以上
演算使用画角 水平78 °×垂直63 (° TYP値)
演算使用画素数 1024×768
窓関数 レクタンギュラ(固定)
FFTモニタ
フレーム長 40 ms(2048点 固定)
表示周波数帯域※9 250 Hz~20 kHz
収録機能※10
サンプリング周波数 51.2 kHz
収録周波数レンジ 20 kHz(固定)
A/D変換 24 bit(固定)
入力チャンネル数 最大 8 ch
音源可視化マイクロホン 1~4 ch
汎用入力 5~8 ch
内部トリガ スロープおよびレベル設定
プレトリガ2秒まで
外部サンプリング 回転速度の表示および収録
最大収録時間 600 秒
動画収録フレームレート 25 fps
収録ファイルフォーマット bfmファイル(小野測器独自フォーマット)

BF-0310 BFオフライン解析(オプション)※11

解析設定
カラーマップ表示分割数 33×25~161×121
フレーム長 40 ms(2048点 固定)
窓関数 レクタンギュラ / ハニング /フォース※13
可視化周波数帯域設定 1/3オクターブバンド毎
カスタム(任意周波数区間)
出力機能 AVI / BMP / CSV / O-Chart※12
付属品
インストールマニュアル インストール手順と説明書
BF-3200 / BF-0310
インストールCD
BF-3200 / BF-0310ソフトウェアと カメラドライバのインストールCD
DS-3200 インストールCD DSシリーズのDSPを アップデートするためのCD

※7 可視化周波数帯域の定義
・定義1 自由音場にて、音源とマイクロホンの距離が1 mのとき、音源中心から-6 dB減衰するまでの空間分解能が波長内か30 cm以内であること。
・定義2 ターゲットスコープサイズが、カメラ画角の1/3以上を確保できること。
・可視化周波数帯域範囲外でも、1/3オクターブバンドの中心周波数が315 Hz~16 kHzまでの解析は可能です。
※8 可視化周波数帯域内の場合です。
※9 ビームフォーミング可視化周波数帯域とは異なります。
※10 プレイモードにより、Ver1.3以降で収録されたbfmファイルの再生が可能です。
※11 Oscope Basic以上、および動画オプションが必要です。
※12 O-Chartへ出力する場合は別売のO-ChartVer3.6が必要です。
※13 フォースウインドウを利用してフレーム長を調整します。

動作環境

ハードウェア
メインユニット DS-3200※14, ※15
インターフェイス USB3.0
信号出力 DS-0371 / DS-0372
リモコン DS-0395
PC
OS Microsoft® Windows® 7 Proffesional(64 bit版)
Microsoft® Windows® 10 Pro(64 bit版)
(.NET Framework3.5 Servie Pack1が インストールされていること)
バージョンの詳細についてはソフトウェア環境【Windows】を参照ください
CPU Intel® CoreTM i7 同等以上
メモリ 8 GB以上
ハードディスク 空き容量16 GB以上
DirectX DirectX 9.0c以降(BF-0310, OS-0281を使用する場合)
CD or DVD-ROMドライブ ソフトウェアインストール用
ディスプレイ 1280×768以上表示可能なもの
USBポート※16 USB 3.0×2(カメラ、DS-3200)
USB 2.0以上×1(ライセンスキー)※17
ソフトウェア BF-0310を使用する場合、
Oscope ver 2.10以上がインストール済みであること

※14 BF-3200は最大8chの対応です。10ch以上のユニットでも8chまでを使用して動作可能です。
   ただし、100 kHzユニット、フレームリンク機能には対応していません。
※15 BF-3200はDS-2000シリーズ、DS-3100には対応していません。(BF-3100は対応していました)
※16 USBハブは使用不可です。
※17 BF-3200はライセンスキー不要で起動します。BF-0310はOscopeを使用するのでライセンスキーが 必要です。

*Windows® XP, Windows® 7 は、米国Microsoft Corporationの米国およびその他の国における登録商標または商標です。
*Intel、インテル、Intel ロゴ、Intel Core、Core Inside は、アメリカ合衆国および/またはその他の国における Intel Corporation の商標です。

価格

構成例(フルシステム)

型名 品名 価格
MI-5420A 音源可視化マイクロホンプローブ*1
(税込
BF-3200 BFモニタ
(税込
BF-0310 BFオフライン解析
(税込
DS-3204、DS-0371 データステーション(4 ch)、信号出力オプション
(税込
OS-2720 Oscope FFT解析パック
(税込
OS-0281*2 Oscope 動画再生 オプション

(税込
OS-0261*3 IIRフィルタ オプション

(税込

構成例 BFモニタのみ

型名 品名 価格
MI-5420A 音源可視化マイクロホンプローブ*1
(税込
BF-3200 BFモニタ
(税込
DS-3204、DS-0371 データステーション(4 ch)、信号出力オプション
(税込

※1 マイクロホンプローブヘッド2種(120 mm, 60 mm)、カメラ、カメラ・マイクロホン専用集合ケーブル3 mを含みます
※2 動画再生オプションは必須です
※3 BFモニタのBPF機能と同等の機能をオフライン解析で実施する場合は必要です

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最終更新日:2024/02/20