システム構成例
4chビームフォーミング音源可視化システムは、音源からマイクロホンまでの位相差情報から音圧分布を得てカラーマップで可視化する方法です。ビームフォーミングではより広帯域の音に適応するために、数十、百を超えるマイクロホンを使用することが多く、サイズは大きくなりがちでした。当社の「4chビームフォーミング」は4本という少ないマイクロホンで音の可視化をリアルタイムで実現したシステムです。
BF-3200 BFモニタのリアルタイムモニタ画面
音源可視化マイクロホンプローブ MI-5420A
60 mm / 120 mm
測定ユニットには、データステーション DS-3200をベースに、音源可視化マイクロホンプローブ MI-5420Aを組み合わせたシステムを構成で、解析周波数に応じて120 mmと60 mmの2種類のマイクロホンを付け替えて使用します。データステーションの 4chは音源可視化マイクロホンプローブを接続します。さらに 4chを追加すると加速度センサーや、回転センサーなどを接続して、振動波形や回転速度を確認しながらのモニタリングが可能です。 測定および解析には、4chビームフォーミングソフトウェア(BF-3200/BF-0310)および時系列データ解析ツール Oscopeを使用します。
音源可視化マイクロホンプローブ(4ch使用)に加え他センサーの入力(最大 8ch)が可能ですので、多角的な解析が実現します。
音源可視化システムを構成する2つのソフトウェア
ソフトウェアは目的に合わせて選ぶことが可能です。現場でのスピーディーな問題解決に最適なのは BF-3200(BFモニタ)で基本パッケージです。さらにオプションで BF-0310(BFオフライン解析)を追加するとカラーマップ表示分割数変更、ナローバンドでの可視化、スムージングなど便利な機能があり、詳細解析が可能になります。(別途 Oscope が必要です。)
BF-3200 BFモニタ
BF-0310 BFオフライン解析
ドアが閉まる際に発生する音は 500 Hz 以下の低い周波数帯域の音の他にラッチ音などの 1 kHz 以上音が 10 ms単位でタイミングをずらしながら混ざって聴こえます。それぞれの音がどこで発生したのかを 4 ch ビームフォーミング音源可視化システムで可視化します。
BF-3200でリアルタイムに音源位置をモニタリングすることができます。描画速度が 20 fps 以上なので過渡音にも追従します。ドア閉め音の場合、ラッチ→ドア周囲⇒地面という順番を確認することができます。
Oscope を利用して収録データのオフライン解析を行います。BF-0310 は Oscope にプラグインされたソフトウェアなので、他の解析結果と合わせながら音源位置を把握することが可能です。下図の時間波形と周波数解析の結果から、AとBタイミングで 1 kHz~2.5 kHzの帯域で音圧が大きくなっています。このタイミングと帯域に注目して音源可視化をすると、Aはラッチ音、Bはドア当たり音ということがわかります。
人の耳では1つに聴こえる音も、時間と周波数をより詳細解析することによって、それぞれのタイミングでどこの部位からどの帯域で音が発生しているかを把握することができます。これによって、例えば音質改善する際にどこの部品を設計変更すれば良いかというヒントを得ることができ、改善プロセスの時間短縮に貢献することができます。
音圧感度 | -38 dB ±3 dB (0 dB = 1 V/Pa、1 kHz) | |
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最大音圧レベル | 110 dB(1 kHz、THD = 3 %) | |
自己雑音レベル | 39 dB(A特性) | |
使用温度範囲 | 0 ℃~50 ℃ | |
使用湿度範囲 | 80 %RH以下 (結露しないこと) | |
保存温度範囲 | -10 ℃~60 ℃ | |
保存湿度範囲 | 90 %RH以下 (結露しないこと) | |
質量※1 | 120 mmプローブヘッド有 | 約785 g |
60 mmプローブヘッド有 | 約655 g | |
適合規格(CEマーキング) | EMC指令 2014/30/EU 規格 EN61326-1 RoHS指令 2011/65/EU 規格 EN IEC 63000 |
|
電源 | 供給方式 | CCLD |
電圧 | DC 24 V | |
電流 | 4 mA/ch | |
メインボディ | カメラ※2 | CMOS USBカメラ インターフェイス:USB3.0 電源:USBバスパワー |
複合ケーブル | グリップ取り付け用ネジ穴 | 1/4-20UNC 6 mm( 下面,後面2箇所) |
アクセサリ取り付用ネジ穴※3 | 1/4-20UNC 6 mm( 上面2箇所) | |
長さ | 全長約3 m | |
太さ | 約φ20 mm※4 | |
最小曲げ半径 | 約70 mm | |
被覆 | 樹脂メッシュスリーブ※5 | |
付属品 | マイク音響補正ファイルCD×1 マイク位置確認プレート×1 メインボディ置き台※6×1 BNCケーブル(0.2 m)×1 BNC-JPJアダプタ×1 取扱説明書×1 キャリングケース×1 |
※1 プローブヘッド、メインボディ、グリップを含めた場合(ケーブルを含みません)。
※2 カメラ・レンズの交換はできません。
※3 社外品グリップや照明を使用された場合、測定結果に影響を及ぼす可能性があります。
※4 貫通穴など通線をする場合は、コネクタ部がありますので、φ30 mm以上の穴としてください。
※5 ポリエステルとナイロンにて複数のケーブルを束ねています。
※6 マイクロホンプローブを置く際に使用します。
BF-3200 BFモニタ
ビーム フォーミング 計算 | |
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対応マイクロホンプローブ | MI-5420A / MI-5420 / MI-6420 |
カラーマップ表示分割数 | 41×31(固定) |
可視化周波数帯域※7 | 120 mmプローブヘッド 500 Hz~4 kHz 60 mmプローブヘッド 1 kHz~8 kHz |
可視化周波数設定帯域 | 315 Hz~16 kHz(1/3オクターブバンド毎) |
フレームレート※8 | 20 fps以上 |
演算使用画角 | 水平78 °×垂直63 (° TYP値) |
演算使用画素数 | 1024×768 |
窓関数 | レクタンギュラ(固定) |
FFTモニタ | |
フレーム長 | 40 ms(2048点 固定) |
表示周波数帯域※9 | 250 Hz~20 kHz |
収録機能※10 | |
サンプリング周波数 | 51.2 kHz |
収録周波数レンジ | 20 kHz(固定) |
A/D変換 | 24 bit(固定) |
入力チャンネル数 | 最大 8 ch 音源可視化マイクロホン 1~4 ch 汎用入力 5~8 ch |
内部トリガ | スロープおよびレベル設定 プレトリガ2秒まで |
外部サンプリング | 回転速度の表示および収録 |
最大収録時間 | 600 秒 |
動画収録フレームレート | 25 fps |
収録ファイルフォーマット | bfmファイル(小野測器独自フォーマット) |
BF-0310 BFオフライン解析(オプション)※11
解析設定 | |
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カラーマップ表示分割数 | 33×25~161×121 |
フレーム長 | 40 ms(2048点 固定) |
窓関数 | レクタンギュラ / ハニング /フォース※13 |
可視化周波数帯域設定 | 1/3オクターブバンド毎 カスタム(任意周波数区間) |
出力機能 | AVI / BMP / CSV / O-Chart※12 |
付属品 | |
インストールマニュアル | インストール手順と説明書 |
BF-3200 / BF-0310 インストールCD |
BF-3200 / BF-0310ソフトウェアと カメラドライバのインストールCD |
DS-3200 インストールCD | DSシリーズのDSPを アップデートするためのCD |
※7 可視化周波数帯域の定義
・定義1 自由音場にて、音源とマイクロホンの距離が1 mのとき、音源中心から-6 dB減衰するまでの空間分解能が波長内か30 cm以内であること。
・定義2 ターゲットスコープサイズが、カメラ画角の1/3以上を確保できること。
・可視化周波数帯域範囲外でも、1/3オクターブバンドの中心周波数が315 Hz~16 kHzまでの解析は可能です。
※8 可視化周波数帯域内の場合です。
※9 ビームフォーミング可視化周波数帯域とは異なります。
※10 プレイモードにより、Ver1.3以降で収録されたbfmファイルの再生が可能です。
※11 Oscope Basic以上、および動画オプションが必要です。
※12 O-Chartへ出力する場合は別売のO-ChartVer3.6が必要です。
※13 フォースウインドウを利用してフレーム長を調整します。
ハードウェア | |
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メインユニット | DS-3200※14, ※15 |
インターフェイス | USB3.0 |
信号出力 | DS-0371 / DS-0372 |
リモコン | DS-0395 |
PC | |
OS | Microsoft® Windows® 7 Proffesional(64 bit版) Microsoft® Windows® 10 Pro(64 bit版) (.NET Framework3.5 Servie Pack1が インストールされていること) バージョンの詳細についてはソフトウェア環境【Windows】を参照ください |
CPU | Intel® CoreTM i7 同等以上 |
メモリ | 8 GB以上 |
ハードディスク | 空き容量16 GB以上 |
DirectX | DirectX 9.0c以降(BF-0310, OS-0281を使用する場合) |
CD or DVD-ROMドライブ | ソフトウェアインストール用 |
ディスプレイ | 1280×768以上表示可能なもの |
USBポート※16 | USB 3.0×2(カメラ、DS-3200) USB 2.0以上×1(ライセンスキー)※17 |
ソフトウェア | BF-0310を使用する場合、 Oscope ver 2.10以上がインストール済みであること |
※14 BF-3200は最大8chの対応です。10ch以上のユニットでも8chまでを使用して動作可能です。
ただし、100 kHzユニット、フレームリンク機能には対応していません。
※15 BF-3200はDS-2000シリーズ、DS-3100には対応していません。(BF-3100は対応していました)
※16 USBハブは使用不可です。
※17 BF-3200はライセンスキー不要で起動します。BF-0310はOscopeを使用するのでライセンスキーが
必要です。
*Windows® XP, Windows® 7 は、米国Microsoft Corporationの米国およびその他の国における登録商標または商標です。
*Intel、インテル、Intel ロゴ、Intel Core、Core Inside は、アメリカ合衆国および/またはその他の国における Intel Corporation の商標です。
構成例(フルシステム)
型名 | 品名 | 価格 |
---|---|---|
MI-5420A | 音源可視化マイクロホンプローブ*1 |
(税込 ) |
BF-3200 | BFモニタ | (税込 ) |
BF-0310 | BFオフライン解析 |
(税込 ) |
DS-3204、DS-0371 | データステーション(4 ch)、信号出力オプション |
(税込 ) |
OS-2720 | Oscope FFT解析パック | (税込 ) |
OS-0281*2 | Oscope 動画再生 オプション |
(税込 ) |
OS-0261*3 | IIRフィルタ オプション |
(税込 ) |
構成例 BFモニタのみ
型名 | 品名 | 価格 |
---|---|---|
MI-5420A | 音源可視化マイクロホンプローブ*1 |
(税込 ) |
BF-3200 | BFモニタ | (税込 ) |
DS-3204、DS-0371 | データステーション(4 ch)、信号出力オプション |
(税込 ) |
※1 マイクロホンプローブヘッド2種(120 mm, 60 mm)、カメラ、カメラ・マイクロホン専用集合ケーブル3 mを含みます
※2 動画再生オプションは必須です
※3 BFモニタのBPF機能と同等の機能をオフライン解析で実施する場合は必要です
DS-3000シリーズ データステーションは、PCベースの高性能・高機能FFTアナライザーです。今までに培われた高速な演算処理能力、高い信頼性、使い勝手の良い操作性を継承しつつ、さらに演算処理速度の高速化を進め、リアルタイム解析能力を従来機種(DS-2000シリーズ)の2倍以上に高めました。
音響・振動計測を得意とする 40 kHzユニットと超音波領域の計測や周波数特性の計測を得意とする 100 kHzユニットの2種類をラインナップしました。
これにより、これまで計測の難しかった微細な信号を多チャンネル同時に、広帯域な周波数レンジで計測することができます。
データステーション DS-3000 シリーズ
Oscope は、エクセルで扱えない長い時系列データを自由自在に編集、解析するソフトウェアです。
BF-3200で録画したデータに加え、各社レコーダの独自データや汎用フォーマットの CSV、WAVE ファイルなどが扱えます。動画再生機能、FFT解析機能、変動音解析機能、様々なフィルタ機能に加え、音質評価機能もあります。
Oscope 2 時系列データ解析ツール
例:MB-2200M10を使った多点同時測定
上図は49本のMB-2200M10を使用した音圧分布の測定例です。超小型で軽量なマイクロホンなので取りつけた状態でドアを開閉してもセンサーを落とすことなく多点同時測定を行うことができます。 ラッチにあたった瞬間から音が減衰するまでの音源位置の変化を時間軸ベースで見ることができます。
複数本のマイクロホンを並べ、直接音圧を測定することで MI-5420Aでは対応していない500 Hz帯域以下の音圧マップを取得することができます。 定常音の場合、マイクロホンを移動しながら収録することで、マイクロホン数本で音圧マップの描画が可能ですが測定時間がかかります。また過渡音の場合、位相を揃える必要があるため測定箇所分のマイクロホンと入力チャンネル数が必要となります。こうした際、軽量かつ超小型のマイクロホンMB-2200M10が有効です。
最終更新日:2024/02/20