部材の音響透過損失の測定手法として2室の残響室を用いる手法があります。この測定方法では、残響室間の開口部に測定サンプルを設置し、2室間の音圧レベル差と受音側残響室の吸音特性を補正する残響時間を測定して、音響透過損失を算出します。
部材の遮音性能は、音の入射角度によって変化します。残響室を利用することにより、測定サンプルに対してあらゆる方向から音が入射することになり、実際の使用状況に近い測定になります。
本例では、単層材料2種類(ガラス、アルミ板)と複層構造の中空パネルを測定した事例を示します。
測定システム
機器構成
型名 | 品名 | 備考 | |
---|---|---|---|
1 | DS-3000 | マルチチャンネルデータステーション | Max 32 ch |
2 | DS-0371 | 信号モジュール(メインユニット内に内蔵) | 1ch、 40 kHz |
3 | MI-1235 | 1/2インチ計測用マイクロホン | 10本、10 Hz〜20 kHz |
4 | MI-3111 | 同上用プリアンプ | 10ヶ |
5 | 遮音・吸音特性計測ソフトウェア | ||
6 | グラフィックイコライザ | ||
7 | パワーアンプ | ||
8 | スピーカ | 4台 | |
9 | パソコン |
測定データ例
単層材料では、高音域における遮音欠損として代表的な現象であるコインシデンス効果により透過損失の落ち込みが現れています。この現象は垂直入射では確認できない現象です。さらに、複層構造の中空パネルでは低音域において、共鳴透過現象による透過損失の落ち込みが現れています。このように、材料や構造による透過損失を把握することにより、効果的な騒音対策が行えます。
JIS A1416 では、試料の寸法を 10 〜 12m2 と規定しています。しかし、自動車を始めとする工業製品では、規格に適合する大きなサンプルを作成するのは困難な場合が多くあります。そこで、当社では比較的小さな開口(約1700 mm×800 mm) を用意しています。
応用例
車両で用いられる遮音パネル
建築部材
防音壁
小野測器では、本アプリケーションによる測定を、音響・振動に精通したコンサルティンググループで承っております。
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