家電・製造業

残響室法による音響パワーレベルの測定

音響パワーレベルは、音源全体が放射する音響的な総エネルギー値であり、音源の性状を表すとともに、周辺に対する音源の影響を予測する上で基本となる量になります。最近では家電製品、事務機器などからの発生騒音を表す量としても音響パワーレベルが用いられています。

機器の音響パワーレベルを求める方法には幾つかあり、残響室法による音響パワーレベルの測定も一つの方法です。
残響室を用いた音響パワーレベルの測定では;

  • 残響時間を用いて算出する方法(直接法)
  • 基準音源を用いる方法(比較法)

の2種類あります。 以下に残響室における直接法での音響パワーレベルの測定について解説します。


測定システム

イラスト(残響室法による音響パワーレベルの測定システム構成)

残響室における音響パワーレベルの測定

JIS Z 8734(ISO 3741)に基づき、残響室内に測定対象音源および、マイクロホンを6か所配置します。まずはじめに、測定対象物を動作させ、測定対象物とマイクロホンの位置が適正であるかの予備測定を行います。適正であるかは、各マイクロホン間の音圧レベル の標準偏差から判断します。測定位置が適正であれば、測定対象音源動作時の残響室内の平均音圧レベルを測定します。次に、測定対象音源を停止させ、スピーカを用いた残響時間の測定を行い、等価吸音面積を求めます。 これらの結果より音響パワーレベルを算出します。

 

測定対象音源の音響パワーレベルは次式より算出されます:

 

 

なお、残響室の等価吸音面積(上式の A )は次式より求めます。

 

写真(実際の測定風景)

残響室内設置例


機器構成

  型名 品名 備考
1 DS-5000
◆DS-5100 メインユニット
◆DS-0523 6ch 40 kHz 入力ユニット X 2
12ch
O-Solution ◆OS-5100 プラットフォーム
◆OS-0524 オクターブ解析機能
◆OS-0541 音圧法音響パワーレベル
◆OS-0542 放射音計測オプション
 
2 MI-1235 1/2インチ計測用マイクロホン 10本、10 Hz〜20 kHz
3 MI-3111 同上用プリアンプ 10本
4 MI-0311 延長ロッド 10本
5 MX-2020 マイクロホン延長ケーブル(20m) 10本
6   多点マイクロホントラバース装置  
7 O-Solution用PC  

測定データ例

データ(市販プリンタAのA特性音響パワーレベル)
< 市販プリンタ A の A 特性音響パワーレベル >

データ(市販プリンタBのA特性音響パワーレベル)
< 市販プリンタ B の A 特性音響パワーレベル >

グラフは、プリンタ A、B それぞれの音響パワーレベルを示します。プリンタ B の方が音響パワーレベルが大きい事がわかります。 また、レベルだけではなく周波数特性を比較するとプリンタ B には幾つかのピークが確認できます。この様にピークがあるという事はその周波数の音を発生する要因があるということです。  

例えば、モーターの様な回転体はその回転に起因した周波数の音を発生しますので、モーター回転数と周波数が一致した場合にはモーターが要因である可能性が考えられます。

この様に音響パワーレベルは ISO、JIS 等の規格への対応だけでなく、製品の騒音対策の定量的な目標値として設定したり、製品を組み合わせた場合の音響パワーレベルの増加を計算で予測できます。

 

応用例

  • パソコン、パソコン関連装置
  • コピー機、印刷機
  • 情報技術装置

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最終更新日:2025/06/07