モーターのコギングトルク測定

家電製品や自動車など、私たちの身の回りの様々な製品・機械には駆動源としてモーターが組み込まれています。モーターは、製品・機械の重要構成部品として、製品・機械の性能向上のために高性能化 ・高効率化や、小型・軽量化 がはかられると同時に、環境面や快適性の面からの低振動・低騒音化が求められて来ています。


しかしながら、現在使用されているほとんどのモーターにはトルクむらと呼ばれる問題があり、これが高効率化を妨げると共に、振動・騒音を発生させる原因となっています。 そして、この問題の発生要因の一つとしてコギングトルクと呼ばれる現象ががあります。コギングトルクとは、モーターの構成部品である鉄心と永久磁石の作用によって、電流が流れていないときでもコツコツとした抵抗として感じられるものです。 このコギングトルクを減らすことによって、モーター出力の効率化と騒音・振動の低減を図ることが出来るため近年モーター性能を計る重要なファクターとして注目されています。

 

ここでは、コギングトルクを測定するために、TS-8700 トルクステーション Pro を使用し、モータートルク検出器 MT-82シリーズ に測定したいモーターの軸を接続し、検出器内部のギヤドモーターで軸を 極低速回転させながら測定を行います。検出器内部のギヤドモーターは、0.5  〜 5  r/min (一部機種は 2 ~ 15 r/min)の間で一定回転の制御が指定できるため、安定した再現性の高い測定を行うことが可能となります。

 

 

イラスト(モーターのコギングトルク測定システム構成)

検出器部分(被測定モーター)拡大図

 

イラスト(対象モーター取付部分の拡大)

 

イラスト(測定の流れ)


機器構成

  型名 品名 備考
1 TS-8700 トルクステーション Pro  
2 MT-82シリーズ トルク検出器 MT-82M*:0 ~ 2 mN・m 用から 0 ~ 20 N・m 用まで13機種
MT-82T*:0 ~ 50 mN・m 用から 0 ~ 20 N・m 用まで9機種
3 /X1(オプション) 小容量用 XYZ 小容量用XYZステージです
4 /V1(オプション)  小容量用VブロックA Φ30~60 XYZステージ(/X1)で供試体を取り付ける場合のVブロックです。カップリングは別途必要となります。
5 /B1(オプション)  小容量用XYZ用ベース XYZステージ(/X1)+Vブロック(/V1)で供試体を取り付ける場合のベースです。

解析データ例

画面データ(1回転分のコギングトルク波形)

● 3 r/min で回転させたときのデータ。1回転分のデータを表示しています。(3 r/min ⇒ 20 秒で 1回転)
● 波形そのものはモーターによって異なります。
0 to peak の幅で評価する方法と、peak to peak で評価する方法の2通りの方法があります。

ポイント

  • 軸受けロスのため、ゼロ点を中心とした波形にはならないことに注意。
  • 芯ずれが大きいとグラフ全体が1回転1周期のうねりを生じます。この様な場合、再度芯だしを行い再測定するか、芯だし時間短縮のために直近のピーク値で評価するなどで対策します。
  • どのくらいの制御回転速度(r/min)で測定するかは、被測定モーター並びにお客様のこれまでの実績値に合わせて設定します。基準値はありませんが、実績としては 1 r/min が多いようです。なお、設定制御回転速度により結果データに差が現れることがありますが、これは、早く回すとピークがなまるためです。ただし、低回転ですので、早く回すことによりロスが増えるほどではありません。

最終更新日:2021/10/25



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