レーザードップラ振動計を使った液体中にある物体の振動計測

レーザードップラ振動計は、条件を整える事で、液体中にある振動物の計測も行う事が出来ます。

液体中で使用される機器には様々なものがあります。代表的な機器としては、半導体や機械部品を洗浄する超音波洗浄槽や魚群探知機です。超音波を液体中に放射・振動させ、その特性を様々な形で利用する製品ですが、こうした機器は、数十 kHz 〜 数 MHz で振動する超音波振動子を使用していますので、接触式の振動検出器で測る事は出来ません。また液体中での使用を前提にした機器ですので、空気中に出して測定すると、液体中と空気中では負荷が大きく違う為インピーダンスの不整合で正しい動作や特性を出す事が困難です。従って、こうした機器を設計・検証するためには機器を液体中に入れた実稼動状態での測定が求められますが、レーザードップラ振動計を適切な条件下で使用することで、これらの問題を解決しながら、高精度な振動計測を行うことが出来ます。

イラスト(レーザードップラ振動計を使った液体中にある物体の振動計測)

イラスト(レーザー入射部拡大図)


機器構成

  型名 品名 備考

1

LV-1800 レーザードップラ振動計  

2

LV-0160 20 MHz ワイドレンジユニット 最小 2 mm/s、 20 MHz まで対応可

3

LV-0030 大型マグネットスタンド 必要に応じて LV-0015 XY 軸微動ステージを装着
  4 DS-3000 データステーション 最大40kHzまたは100kHzまで。
  5   デジタルオシロスコープ 必要に応じて選択

解析データ例

高速デジタルオシロスコープ画面

画面データ(水中の超音波振動子の振動速度波形とドライブ信号波形)

 

水中の超音波振動子の振動速度波形(上 ch1)、下はドライブ信号
(各アベレージング処理後)

ポイント


  • 効率良くレーザー光を液体に入れる。⇒ 入光・受光する液面にガラス板を使用
    計測の可否は、液体中をレーザー光が透過し、対象物に照射、反射した光を十分に受光できる事で、それ が最低の条件となります。光は物体の入り口で最も反射、散乱を起こし減衰、液面で最もロスを生じます。この影響を避ける為に液面をガラス板等で平面にするのは大きな効果があります。

  • 可能なかぎり振動対象物を浅い位置に設置
    通常の水(水中)の場合を例にとっても、水自体が約 450 nm より長い波長の光線を透過し難い特性を持っています。青色の光線は透過しやすいが、赤色や赤外光は減衰してしまいます。 レーザードップラ振動計で使っている He-Ne (ヘリュウム・ネオン)レーザーの波長は約 633 nm の赤色光線で、水中で大きく減衰する特性を持っています。液体の性質によって透過分光特性は違いますが、むやみに液体中に長く光線を通すのは S/N比  悪化の原因となります。

 

なお、超音波洗浄槽洗浄液等の液面の振動周波数計測もレーザードップラ振動計で可能です。液面振動計測に際しての重要なポイントは次の2点です。

 


  • 液面の波(低周波)に注意
    液面を鏡面として扱い、センサーから照射したレーザー光を正反射で受光する事が重要です。この際、洗浄用に与えている超音波振動以外の低周波の揺れ(波)でレーザー光が斜めに反射すると検出が難しくなります。

  • 液面からの距離を小さく、レーザー光を液面に垂直照射
    液面を鏡面として扱いますから、液面にレーザー光を垂直に入射して正反射光をセンサーに戻します。また液面の細波はレーザー光散乱させます。この散乱光をセンサーに受光させる為に液面とセンサーの距離を短くします。

最終更新日:2016/06/08



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