DS-2000 よくあるご質問
ここでは DS-0225 三次元音響インテンシティのデータを使い簡易的に音響パワーレベルを求める計算方法を説明します。なお、既にDS-0225 音響インテンシティ解析ソフトを使って、音源のある1面のトレースデータは作成されているものとします。本来は音源を囲んだ全面で計算するのですが、ここでは計算の方法を説明することに主眼を置き、ある1面の音響パワーレベルを求めることとします。DS-0225の測定手順は省略しています。 ここでの方法では、「1. 周波数範囲が狭い」、「2. マイクロホンが対面配列になっていない」、の理由で、ISO、JIS規格に準拠した測定にはなっていません。ISO、JIS規格に準拠した測定については次のカタログ等をご参照ください。
DS-0234音響パワー測定(SI法)システム
../products/keisoku/software/ds/ds0234.htm
音響パワーレベル測定システム(カタログpdf)
http://www.onosokki.co.jp/HP-WK/whats_new/catalogs/products/Spower_ds_2.pdf
■ 音響パワーレベルの計算式
音源を閉曲面で囲み、測定面となる仮想面を設定します。その1面をさらに分割し1点ずつ測定した DS-0225 音響インテンシティデータ(Ii)より音響パワーレベル(LW)は、次式で求めることができます。DS-0225 では、トレースデータを作成するとき周波数帯を設定しますので、計算された音響パワーはその周波数帯での音響パワーとなります。
ここで、
<Ii> | :測定面上の i 番目の面要素に対して垂直方向の音響インテンシティ成分 |
Si | :i 番目の面要素の面積 |
N | :面要素の数 |
P0 | :基準の音響パワー(= 10-12 W) |
下図は1面測定のイメージ図です。
■ 操作手順
トレースデータをEXCELに読み込む
1-1 データ収録後「トレース処理」ボタンをクリックし、トレース処理画面を開きます。
1-2 トレース画面で、上下限周波数を設定しトレースを実行すると、自動的にトレース
データのTXTファイルが作成されます。
下図はトレース5でトレース実行した様子を示します。
1-3 下図は、データ収録時のプロジェクト名のフォルダ内にトレースデータのTXTファイ
ル「TRC05.TXT」ができている様子を示します。
1-4 マイクロソフトEXCELでファイルを開きます。下図は「TRC05.TXT」を開いた様子を
示しています
トレースデータをEXCELに読み込む
EXCELに取り込んだトレースデータのZ軸を抜き出して計算した様子を下図に示します。 計算式中の Ii はZ軸のインテンシティ LIN 値(W/m2)を使います。 1測定点あたりの面積を Si = 0.1 m × 0.1 m = 0.01 m2 とすると、ある周波数帯(この例では、475 Hz ~ 797.5 Hz:(1-2)参照)の音響パワーレベルは LW =36.6 dB と求めることができます。 TXT データには Σ Ii の「AI - Z : TOTAL = 」の値がありますが、これは除外して計算します。 「Σ Ii * Si」の値は、Si がすべて同じなら「(AI - Z : TOTAL の値)× Si」と同じ値になります。
【計算上の注意】
Ii の値がマイナス値の場合は、マイナスの値(負の値)のままで「Ii * Si」、
「Σ Ii * Si」を計算します。
「Ii * Si」、「Σ Ii * Si」はその面積の音響パワーレベル(W:パワー)で、意味を持つ値となります。 よって「Σ Ii * Si/Po」は最後に計算しています。
「Ii * Si」、「Σ Ii * Si/Po」の値がマイナスの値(負の値)では、音源が違うところにあるということとなり、測定の見直しが必要です。またマイナス(負)のままでは対数計算でエラーになります。
■ 参考資料
音響インテンシティ法による音響パワーレベルの測定
../products/application/si_spower.htm