音響パワーレベルとは、音源から放射された単位時間あたりの音響エネルギー量で、この量を測定することにより、音源の騒音特性を判別することができます。 測定方法としては、音源の周りで平均音圧を測定して音響パワーレベルを推定する「音圧法による音響パワーレベル測定」と、音響インテンシティを測定する「音響インテンシティ法による音響パワーレベル測定」に大別でき、それぞれ ISO と JIS に測定法が規定されています。 特に音響インテンシティ法の場合、特別な施設を必要とせず、また、定常音であれば周囲の暗騒音の影響を受けないため、現場で実稼働中の機器や、計測ルームに入れることができないような大きな機器の音響パワーを計測するのに便利といえます。
「音響インテンシティ法」と「音圧法」のそれぞれ特長を比較すると、以下のようになります。 |
比較項目 |
音響インテンシティ法による音響パワーレベル測定 |
音圧法による音響パワーレベル測定 |
周波数範囲 |
50 Hz ~ 6.3 kHz |
100 Hz ~ 10 kHz |
測定物理量 |
音響インテンシティ |
音圧 |
対応ISO |
ISO 9614-1、2 |
ISO 3741 ~ 3746 |
対応JIS |
JIS Z 8736-1、2 |
JIS Z 8732 ~ 8734 |
測定環境 |
一般の環境 |
無響室、半無響室、残響室 |
長所 |
あるため、特別な遮音、防音設備が要らない。
通常は1セットの SI プローブで測定が可能。 |
多マイクロホンによる同時測定が可能。測定時間が短い。 |
短所 |
1つのプローブで多点、あるいは移動測定をおこなうため測定時間が長い。 |
暗騒音が大きいと測定不可であるため、無響室、残響室などの設備が必要。測定のためにトラバース装置等の特別な計測治具を設置する必要がある。 |
<音響パワーと音響パワーレベル> ある指定された面を単位時間に透過する音響エネルギーを音響パワーと言い、単位W(ワット)で表し ます。 音響パワーレベルとは、音響パワーをある基準値 P0 (音響パワーレベルの基準値:10 − 12 W)に対するレベルとして表した量を言い、dB(デシベル)で表現します。 或る地点で P (W)の音響パワーが測定されたとすると、パワーレベル LWは LW = 10 LOG 10 (P/P0) で表されます。 特長
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測定システムは、IEC 61043 のクラス1に適合しており、測定手法は ISO 9614-1 および 2(JIS Z 8736-1 および 2)に準拠しています。
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音響インテンシティ法による手法は、特別な音響測定設備のない工場内や運転現場での音響パワー測定が可能です。
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音圧感度とマイクロホン間位相差を補正できる専用校正器が用意されており、いつでも精度の高い測定が可能です。
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測定、解析ソフトウエアは、Windows ベースの統一された簡易な操作性を有しており、 習熟に時間がかかりません。
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システムには手元で操作できるリモートボックスが標準装備されています。
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測定、解析されたデータは一つのフォルダにまとめて収録されていますので、バックアップが 容易でかつ確実です。
システム構成例 ※ マイクロホンから DS-2000 へのケーブルは両端 BNC コネクターの同軸ケーブルを使用します。 ケーブル径、ケーブル長は各種選択可能です。
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型名 |
名称 |
数量 |
1 |
DS-2100 |
データステーションメインユニット |
1 |
2 |
DS-0285 |
SI プローブ入力ユニット(4 ch) |
1 |
3 |
DS-0271A |
1 ch 信号出力モジュール(DS-2100 内蔵) |
1 |
4 |
DS-0297 |
ONO-LINK II Card PC との I/F |
1 |
5 |
同ケーブル |
2 m |
1 |
6 |
PC |
PC の仕様については「仕様」(2)を参照してください |
1 |
7 |
DS-0234 |
音響インテンシティ法による音響パワーレベル測定ソフト |
1 |
8 |
MI-6410 |
一次元音響インテンシティ測定用プローブ |
1 |
9 |
MI-0600 |
同プローブ用音圧位相差校正器 |
1 |
10 |
MI-0601 |
同プローブ用防風スクリーン |
1 |
仕様 (1)解析ユニット仕様(構成1~5)
寸法 |
257(W)× 74(H)× 182(D)mm(B5 版ノート PCサイズ) |
重量 |
約 2.3 kg |
電源 |
DC 12V(AC 100 V 電源アダプター付属) |
消費電力 |
30 W 以下 |
入力端子 |
MI-6410 および MI-0600 を直接接続 |
リモートボックス |
標準付属 |
(2)ノートPC要求仕様(構成6)
CPU |
Pentium II 400 MHz 以上 |
メモリー |
128 MB 以上 |
HDD |
空き容量 4 GB 以上 |
I/F |
DS-2100 との接続用に PCMCIA TYPE II、もしくは PCI バスが必要
プロテクトキー用として USB コネクターまたはパラレルポートが必要 |
OS |
Windows 2000、XP、VISTA |
(3)音響インテンシティ法による音響パワーレベル測定ソフトウエア(構成7)
解析手法 |
クロススペクトル法 |
解析諸量 |
音響パワーレベル、AI、音圧それぞれのスペクトル |
測定周波数範囲 |
50 Hz ~ 8 kHz(1/3 オクターブ中心周波数) |
校正機能 |
音圧感度、マイクロホン間位相差 |
測定面 |
最大 10 面 |
測定結果 |
音響パワーレベルのグラフ表示、数値表示 |
(4)プローブシステム(構成8~10)
プローブ |
40 Hz ~ 1 kHz、400 Hz ~ 10 kHz をそれぞれカバー
全長 570 mm、重量 160 g、ケーブル長 5 m 標準 |
校正器 |
音圧感度補正および周波数応答関数による位相差補正に対応
寸法 34(W)× 39(H)× 118(D)mm、重量 320 g
出力音圧:90 dB(400 Hz)
周波数範囲:40 Hz ~ 10 kHz |
音響パワー測定の適用例
自動車産業 |
家電、OA機器産業 |
(1)エンジン単体の音響パワーレベル測定
(2)トランスミッション単体の音響パワーレベル測定 |
(1)FAX、コピー機、プリンタの音響パワーレベル測定
(2)FDD、HDD、CD-ROMの音響パワーレベル測定
(3)ファン、ファンモーターの音響パワーレベル測定
(4)コンプレッサの音響パワーレベル測定
(5)家庭用ボイラー、湯沸し器の音響パワーレベル測定 |
産業機械分野 |
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(1)一般工作機械の音響パワーレベル測定
(2)半導体製造装置の音響パワーレベル測定
(3)建築機械の音響パワーレベル測定
(4)医療機器の音響パワーレベル測定
(5)コジェネレータの音響パワーレベル測定 |
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*Windows® 2000,Windows® XP, Microsoft® Excel は、米国Microsoft Corporationの米国およびその他の国における登録商標または商標です。
*Pentium®は米国Intel Corporationの米国およびその他の国における登録商標です。
Revised: 2006/09/19
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