SoundPLAN®による予測結果と騒音測定結果の対応

建設工事騒音予測手法「ASJ CN-Model 2002」

環境騒音予測ソフトウェア「SoundPLAN®は、道路、鉄道、工場、大規模小売店舗等、様々な騒音源を対象とした騒音予測手法を導入し、環境アセスメントのための予測計算において成果をあげています。ここでは、SoundPLAN に導入された新しい建設工事騒音の予測手法「ASJ CN-Model 2002」による建設工事騒音の計算事例を通して、予測計算と実測結果が良い対応を示すこと、さらに予測結果の様々な表現を紹介いたします。

環境アセスメントにおける騒音予測では、主に実用的な方法として音の干渉性を考慮しない「幾何音響」的手法が用いられます。「ASJ CN-Model 2002」は幾何音響を前提に、実務的に用いられることを前提に作成された予測手法です。幾何音響による手法では一般的に、騒音源が発生する騒音の大きさを「音響パワーレベル」で与え、騒音が伝搬する際の減衰量を求め、予測・評価したいポイントにおいてどのくらいの音の大きさになるかを推定します。 ASJ CN-Model 2002 では、「建設機械」と「運搬車両」を対象に、障害物による減衰を求めるための計算手法を説明しています。騒音伝搬のイメージを図1に示します。

イラスト(騒音の伝搬経路のイメージ)

図1 騒音の伝搬経路のイメージ


騒音の実測結果と予測結果の対応

ここでは、弊社の新実験棟建設時における騒音の実測値と、SoundPLAN®によって計算された予測値との対応を示します。


1.建設工事騒音の実測

表1に示す内容で騒音の実測を行いました。測定時の機械、および騒音測定点の配置を図2に示します。騒音源はバックホウが 2台、測定点は建設現場の周囲3箇所とし、そのうちの西側防音壁の内側、および外側に騒音計を配置し、合計4点にて測定を行いました。 実測において、バックホウは移動しながら作業を行っていました。そこで、騒音源の位置を分析時に特定することができるよう、データレコーダのカウンタを見ながら、時間と位置について表に記録しながら測定を行いました。

 

作業内容 埋め戻し
稼動機械 バックホウ 2台
測定機器 騒音計:小野測器 LA-1250 ×2台、LA-220×1台、LA-5120×1台、データレコーダ:2台

表1 建設工事騒音の測定実施要領

 

イラスト(騒音源、および測定点の配置)

図2 騒音源、および測定点の配置

2.騒音の予測計算

ここでは2機のバックホウが同じ場所にある程度留まって作業している時間帯を選択し、その位置関係における実測値との対応を検討することとしました。 まず、騒音源の音響パワーレベルを定義する訳ですが、JIS A 8305:1998 「建設機械の騒音の音響パワーレベル測定方法」(ISO 4872:1978)で規定されている測定法による建設機械の音響パワーレベルを用いることができます。ただし、この測定法は実際の建設現場において測定されるものではないので、実際の使用状況によっては発生する音響パワーレベルの値が異なる場合が多くあります。そこで、実測値を基に、下記に示すような方法で音響パワーレベ ルを推定いたしました。

騒音源のパワーレベルを求めるために選択した位置関係を図3に示します。騒音源の音響パワーレベルは、騒音源の寸法が距離に対して十分小さければ、測定点における音圧レベルから距離を基に逆算して求めることが可能な場合が多くあります。そこで、バックホウ A が 測定点1から約 10 m の位置で約 3 分以上作業しており、なおかつバックホウ B が十分離れた位置にあり、その寄与を無視することができる時間帯を選択し、求めた実測値を用いて表2 に示すようにバックホウ1台当りの音響パワーレベルを推定しました。2台のバックホウは同様の作業を行い、その騒音の大きさは同程度であると仮定し、両者の音響パワーレベルを 95 dB(A) として入力しました。その他の計算条件として、対象とした現場は周囲を民家やビルに囲まれているため、反射音の影響を考慮することとし、第1回の反射を計算に含めました。

イラスト(バックホウAと測定点1の関係)

図3 バックホウAと測定点1の関係

測定点1における約3分間の等価騒音レベル 66.7 dB(A)
騒音源から距離 10m 離れた点における騒音の減衰量 28 dB

入力されたバックホウの音響パワーレベル 95 dB(A)

表2 測定点の音圧レベルから音響パワーレベルの推定

3.実測結果と予測計算結果との対応

予測値と実測値との対応を表3に示します。いずれの測定点においても 1 dB 以内の精度で非常によい対応を示しています。このように、音響パワーレベルを精度良く得ることができ、騒音源と計算点の位置関係を忠実に再現することができれば、SoundPLAN®は現実の騒音伝搬をよく再現することができることがわかります。特に測定点4は防音壁の裏側にあり、騒音源を見通すことができないポイントです。それにも関わらず実測結果によく対応していることから、実務的にも十分実用的であるといえます。その他に、水平面音圧分布を図4に、垂直断面音圧分布を3次元で表示した例を図5に示します。

 

測定点 予測値
[dB (A)]
実測値
[dB (A)]

[dB]
66.8 66.7 0.1
61.4 61.5 -0.1
63.7 64.2 -0.5
55.3 55.2 0.1

<測定点4は防音壁の裏側>

表3 予測値と実測値の比較:約 3 分間の LAeq

画面データ(水平面音圧レベル分布)

図4 水平面音圧レベル分布

画面データ(垂直断面音圧レベル分布の3次元表示)

図5 垂直断面音圧レベル分布の3次元表示

機器構成

  型名 品名 備考

1

SoundPLAN 工業騒音スタートキット
  • 点、線、面で様々な騒音源を設定することが可能
  • ISO 9613、大規模小売店舗から発生する騒音の予測計算手法、建設工事騒音の予測手法 ASJ CN-Model 2002 等
  • 特定ポイントの計算、および水平面音圧レベル分布の計算が可能
SY-0110
地形情報入力ソフト
SY-0123
工業騒音の伝搬計算ソフト
SY-0137
音圧レベル分布表示ソフト
SY-0145
DXF ファイル変換

2

SY-0133
垂直断面の音圧レベル分布表示ソフト
 

3

SY-0141
グラフィック高機能出力ツール
結果出力において様々なシンボルを用いることが可能

4

SY-0144
3次元表示ツール
 

ポイント
騒音源の音響パワーレベルの与え方が重要。カタログ等に記載された値を用いる場合、それがどのような状況で測定されたのかを把握し、適切な値を入力する。 計算対象敷地において騒音の伝搬に影響を及ぼす可能性がある反射物が存在する場合、反射回数を必要に応じて設定する。 計算対象敷地における障害物を正確に入力する。その際、騒音の伝搬に影響を及ぼす可能性がないと思われる障害物については簡略化してもよい。

小野測器では、本アプリケーションによる測定を、音響・振動に精通したコンサルティンググループで承っております。

詳しくはこちらのページを参照下さい。

最終更新日:2006/09/19



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