パルプや磁気テープ、産業用フィルム等を巻き取るロールに回転ムラが発生すると、その品質に重大な影響を及ぼす事になります。そこで、巻取りロールの回転ムラと品質の相互関係を評価するために、巻取りロールの回転ムラ(回転変動率)を 分析します。
測定は、ライン速度計である RP-7400 ローラーエンコーダーを使用し、被測定物に直接ローラを接触させて被測定物のライン速度を検出し、ライン速度の変動を FV-1500 高速F/V変換器により演算、その出力を CF-9000Aシリーズ ポータブルFFTアナライザーに入力して、速度変動出力を周波数分析し、速度変動率を求めます。
機器構成
型名 | 品名 | 備考 | |
---|---|---|---|
1 |
CF-9000Aシリーズ | FFTアナライザー | 周波数分析し、タイミングベルトの速度変動成分を抽出します。 |
2 |
FV-1500 | 高速F/V変換器 | 入力信号の1パルス間の周期時間から周波数に換算し、入力信号の周波数に比例した電圧を出力します。 |
3 |
RP-7400-1200 P/R | ローラーエンコーダー | ラインを流れる被測定物に直接ローラを接触させてローラの回転を検出する事により、ライン速度または被測定物の長さを測定します。ローラの外周は 200 mm、それに対し1200 パルス出力します。 |
解説
RP-7400 ローラーエンコーダーのローラ外周は 200 mmであり、一回転当たりの出力パルス数は 1200 パルスです。 FV-1500 高速 F/V 変換器 を RP-7400 と組み合わせた場合、ローラ 1 回転 200 mm に対して 1200 回の回転変動を測定することができます。
また、 FV-1500 は、入力周波数のデジタル表示機能を持っています。 ゲート時間と速度、カウント値 (表示値)の関係は次式で求まります。
|
C : カウント値(表示値) T : ゲート時間 πD: 0.200 m R : 1200 P/R (1回転のパルス数) V :速度 m/min |
解析データ例
この分析データは、駆動源であるモーターの回転をタイミングベルトで減速させる下記仕様を持った巻き取りロールの回転変動を上記機器構成で測定・解析したデータです。
モーターの回転速度 | 200 r/min |
---|---|
巻き取りロールの回転速度 | 80 r/min |
タイミングベルトの歯数 | 67 |
ロール送り速度 | 20 m/min |
この分析データより次の値が読み取れます。
・タイミングベルトによる変動の現れる周波数 H は;
H = 80 r/min × 1/60 × 67 (タイミングベルト歯数) ≒ 90 (Hz)
タイミングベルトによる速度変動は約 90 Hz の成分として周波数分析データに現れます。
・90 Hz の電圧 約 50.7 mVより 20 m/min に対し変動率は約 0.051 %
・オーバーオールの値 90.8 mV より 20 m/min に対し総変動率は約 0.091 %
ポイント
最終更新日:2023/09/05