レーザードップラー振動計による
ボールボンディング用
ワイヤボンダ超音波振動測定
ワイヤボンダとは、ICやLSIの核となるシリコンチップとリードフレーム間に導通させるためのワイヤを接続する装置です。現在、ワイヤボンディングにおいは超音波を利用する方式が一般的であり、超音波振動の印加状態がボンディングの品質を左右する重要なパラメーター の一つとしてクローズアップされてきています。
安定したボンディングを行うためには、キャピラリ先端での振動振幅を安定させる必要があり、このため、ツール先端の振動をダイレクトに測定するニーズが年々増大してきています。
ここでは、レーザードップラー振動計を用いて、キャピラリの振動状態(微小変位)を高精度に測定する方法をご紹介します。
ワイヤボンダに使用される超音波機構部は、次図のように、振動源となるボルト締めランジュバン型振動子と振動振幅を増大させる金属ホーン、圧着子であるツール(あるいはキャピラリ)から構成され、印加する振動周波数としては、一般的に 60 kHz 前後から最近では 100 kHz 以上のものもあります。
レーザードップラー振動計を用いて、キャピラリの振動状態(微小変位)を測定する際、レーザー光をボンディングに追従して当てることが難しいため、ワイヤボンダが連続してボンディング動作をしている状況下(オートボンディング)での測定はできません。
1回だけ単発的にボンディングできる機能(マニュアルボンディング ・ステップモード)を使用することで、ボンディングの瞬間でのツールの挙動を測定します。
機器構成
型名 | 品名 | 備考 | |
---|---|---|---|
1 |
LV-1800 | レーザードップラー振動計 | |
2 | LV-0030 | 大型マグネットスタンド | |
3 | LV-0015 | XY 軸微動ステージ | |
4 | LV-0016 | Z 軸微動ステージ | |
5 |
LV-0018A | スチールプレート | 着磁性の鉄板 |
6 | LV-0301 | 90°反射ミラー | リードフレームの測定時に使用 |
7 | デジタルオシロスコープ | もしくは、同等の高速ストレージオシロ |
測定データ例
長時間使用したワイヤボンダでは、振動子やホーンに疲労が蓄積され、初期状態と違った振動をはじめることがあります。このため、新しい振動子やホーンに取り替えた際、その使用初期においてホーン先端での振動値を記録しておくと、その後のホーン先端の振動値の変化で振動子やホーンのメンテナンスを定量的に行うことができます。
とくに、駆動信号側の強度の増減に対して実際のホーン先端や キャピラリの振動振幅が比例して増減するかどうか測定しておくことは、その後のメンテナンスに有用なデータを提供するものといえます。
レーザードップラー振動計は、分解能が測定距離に依存しないため高分解能で数値化がしやすく、ボンディン グ作用点の近傍での測定となるため測定データの変化率も大きく、差異が出 やすいという優位点があります。とくに振動子や金属ホーンに問題があった場合のトラブルでは、初期 データがあれば比較的簡単に判別可能となります。
上:キャピラリーの振動速度波形
下:US(超音波)の元信号
下の各波形:10μs/divのズーム波形
FFTによる周波数解析データ
上:キャピラリーの振動速度波形
下:US(超音波)の元信号
下の各波形:10μs/divのズーム波形
FFTによる周波数解析データ
ポイント
最終更新日:2021/01/11