家電・製造業

半無響室における事務機器の音響パワーレベル測定

機械等から放射される音の大きさは、機械との距離や設置環境によって異なってしまうため、定量的な評価が困難な場合があります。そこで、放射音の定量的な評価量として音響パワーレベルが用いられます。

音響パワーとは機械が単位時間に放射する総エネルギー値を示しており、距離や環境の影響を受けずに評価できるので、様々な機械の個別規格に適応され、製品の評価に用いられています。測定はJIS Z8733 に示される様に、半自由空間にマイクロホンを 10点ないし9点設置します。

マイクロホントラバース装置等の測定環境が整っていると、比較的短時間で音響パワーレベルを測定できるとともに、設置精度が測定者の技量を問わないため測定誤差の低減にも繋がります。

本例では、2種類のプリンタについてマイクロホンで測定した平均音圧レベルから音響パワーレベルを算出した事例を紹介します。

写真(マイクロホントラバース装置を使用したプリンタの音響パワーレベル測定)
マイクロホントラバース装置を使用した音響パワーレベル測定

音圧法音響パワーレベル / 放射音計測 はこちらをご確認ください。
O-Solution DS-5000 音響パワーレベル計測システム


測定システム

イラスト(測定システム構成図)

機器構成

  型名 品名 備考
1 DS-5000
◆DS-5100 メインユニット
◆DS-0523 6ch 40 kHz 入力ユニット X 2
12ch
O-Solution ◆OS-5100 プラットフォーム
◆OS-0524 オクターブ解析機能
◆OS-0541 音圧法音響パワーレベル
◆OS-0542 放射音計測オプション
 
2 MI-1235 1/2インチ計測用マイクロホン 10本、10 Hz〜20 kHz
3 MI-3111 同上用プリアンプ 10本
4 MI-0311 延長ロッド 10本
5 MX-2020 マイクロホン延長ケーブル(20m) 10本
6   多点マイクロホントラバース装置  
7 O-Solution用PC  

測定データ例

データ(市販プリンタAのA特性音響パワーレベル)
< 市販プリンタ A の A 特性音響パワーレベル >

データ(市販プリンタBのA特性音響パワーレベル)
< 市販プリンタ B の A 特性音響パワーレベル >

グラフは、プリンタ A、B それぞれの音響パワーレベルを示します。プリンタ B の方が音響パワーレベルが大きい事がわかります。 また、レベルだけではなく周波数特性を比較するとプリンタ B には幾つかのピークが確認できます。この様にピークがあるという事はその周波数の音を発生する要因があるということです。  

例えば、モーターの様な回転体はその回転に起因した周波数の音を発生しますので、モーター回転数と周波数が一致した場合にはモーターが要因である可能性が考えられます。

この様に音響パワーレベルは ISO、JIS 等の規格への対応だけでなく、製品の騒音対策の定量的な目標値として設定したり、製品を組み合わせた場合の音響パワーレベルの増加を計算で予測できます。

 

応用例

  • パソコン、パソコン関連装置
  • コピー機、印刷機
  • 情報技術装置

自社の設備や測定ツールを利用した、自動車の評価試験や音響・振動試験(出張測定含む)をお引き受けします。
また、お客様の困り事や課題に対するコンサルティングもお引き受けします。 課題設定から、現象把握、効果確認まで、お客様の解決プロセスをご支援します。

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最終更新日:2025/06/07