計測機器システム構成例・活用事例
くるま開発
エンジン振動からの回転計測
ディーゼルエンジンでは、コモンレール式や分配式等が増え、従来の燃料噴射管の収縮を利用した計測方法では計測しづらくなってきました。
ここでは、それに変わる方式として エンジン振動を利用して、エンジン回転を計測する方法をご紹介します。 この計測方法は、ピストンの動きに伴いエンジン全体が振動するレシプロエンジンにも有効です。
加速度検出器をエンジン筐体に取付、エンジン振動を検出し、その信号を FT-2500 アドバンストタコメータで、振動周波数成分を FFT 処理することにより、周期性のある複雑な信号を、基本(1次)周波数と整数倍の高次周波数とに分解し、基本周波数より、エンジン回転速度を計算します。

機器構成
型名 | 品名 | 備考 | |
---|---|---|---|
1 | NP-3331C | 加速度ピックアップ | フロート・簡易防水、使用温度範囲:−20 〜 +110 ℃ |
2 | FT-2500 | アドバンストタコメータ | 1024 点 FFT 演算方式 |
測定原理
FFT 処理とは、ある周期性を持った複雑な波形を基本(1次)周波数と、整数倍の高次周波数とに分解する処理のことです。(左図参照) これにより周波数の次数毎のパワースペクトラムが得られます。
FT-2500 はこの FFT の処理技術を応用した回転計となります。 これにより、下図のような加速度ピックアップからの複雑で微細な信号でも、FFT 処理することにより、その下のデータのようなパワースペクトラムが得られます。 この回転1次、もしくは、高次成分により、回転速度が求められます。
ポイント
- エンジンによって、横方向と縦方向とで振動の成分が違い、計測しやすい方向をもっている。エンジンによって、加速度センサーの取り付け位置の見極めをする必要がある。
- 完成車の場合、車体全体の共振、もしくは別の振動要因があるためエンジン回転に起因する振動成分のみを捉えることは難しいが、FT-2500 にはフィルターリング機能があり、この機能を使用して不要な振動成分をカットすることができる。この場合、フィルターの設定値は、予想される回転速度の1.8倍が目安となる。
(例) 予想回転速度:3000 r/min → フィルター(上限値): 5400 r/min
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最終更新日:2017/12/14