フィールドバランシング(一面一条件)

回転機械の異常原因としては、アンバランスによることが最も多いといわれています。そのためバランス修正作業は不可欠ですが、従来のベクトル図の作成による方法ではベクトル計算や作図に時間がかかり、現場で行うことは大変でした。ここにご紹介するフィールドバランシング装置は面倒な計算を内部で演算し結 果表示するため、短時間に誰でも容易にバランス修正作業が行え、作業効率アップに役立ちます。

回転アンバランスが生じると回転1次の振動が大きくなります。またアンバランスが生じたまま回転速度を変化させると共振を起こします。ここでは最も基本的な1面1条件の修正方法について紹介します。 なお、ここで使用している CF-3600 ポータブルFFTアナライザは2ch入力による2面2条件のフィールドバランシングを行う能力を持っています。

 

イラスト(システム構成)


フィールドバランシング(1面1条件)原理

フィールドバランシングの基本的な考え方は下図のようになります。今、回転平面上のAポイントにFというアンバランスが生じているとします。修正ポイントはAから180°対向したCポイントにFと同量の修正錘を付ければ良い事になります。

Cポイントを求める為にBポイントに試し錘Tを設定します。すると初期アンバランスがF+Tにθ分ずれる事になります。ためし錘を付けたBポイントからθずらしたCポイントが修正位置となります。修正錘はT×F/Tで求まります。

イラスト(1面1条件でのフィールドバランシング原理)

 

機器構成

  型名 品名 備考

1

DS-3000シリーズ ESUFEEL(4ch FFTセット) ◆DS-3204 4chメインユニット
◆DS-0321 FFT解析機能
◆DS-0350 レコーディング機能
◆USB3.0 ケーブル(2 m)
  DS-0227A フィールドバランシングソフトウェア   

2

NP-3000 シリーズ 加速度ピックアップ  

3

HT-5500 ディジタルハンドタコメータ MP-981 磁電式回転検出器、LG-9200 光電式回転検出器でも可

 

測定手順

1. イニシャルテスト

初期振動の振幅と位相を測定します。この時の位相は回転パルスを位相の同期点(0°)としたフーリエスペクトル上から求めます。 ただし初期位相は回転パルスで同期をかけただけなので、ピックアップの取り付け位置と回転検出器の位置が同期していないので、初期位相の180°対向したポイントが修正位置とはなりません。

 

画面データ(イニシャルテスト)

 

※この計測例では加速度ピックアップで信号を入力し、回転1次が 25.4 Hz (1525.7 r/min)、振動加速度 2.1E-6 となります。

2. トライアルテスト

試し錘の重さと位置を設定します。この時の試し錘の位置は任意に設定できますが、初期位相を参考に取り付けます。またこの位置を0°としてかまいません。トライアルテストの結果表示される位相は試し錘を付けるときに基準としたポイントが0°となります。従って試し錘の位置を0°とした場合、以後このポイントが基準となります。

 

イラスト(試し錘の取付位置と角度の関係)

 

画面データ(トライアルテスト)

3. バランシング計算

修正錘と位置を計算します。CF-3650 の場合、角度は時計方向に対し、反対方向へ角度を刻みます。

 

画面データ(バランシング計算)

試し錘位置 0 度から 250.19 度が修正錘取付位置であり、その時の修正錘は 1.9177 g と演算されます。ただし、この測定例では錘の取付位置を構造上16分割しております ので、修正ポイントは上記のように分割して表示されます。なお、ここでは錘の種類が限られているので、1.6 g を 11番の位置に取付けています 。

4. コンファームテスト(確認試験)

修正錘を上記3での結果の位置に付けて確認試験を行い、初期アンバランスの振幅と比較します。確認試験で表示される位相および残留振動の位相はトライアルテストの時に設定した位相が基準となります。また 計算ボタンを押すと残留振動の修正錘の重さは影響係数から算出します。

画面データ(コンファームテスト)

ポイント

  • 加速度センサを用いる場合、回転周波数によって、振動速度 or 振動変位に変換します。
  • 分割数は修正面の構造によって決定します。例えば、n 枚のタービンブレードのバランシングを修正する場合、分割数は n/360 と設定します。
  • 試し錘の取付位置は任意です。ただし、試し錘を取り付けたことにより、振動が極端に大きくなる場合には、至急機器を停止し、取付位置を変更します。
  • 試し錘の質量は構造物の重量によって任意に設定しますが、これも上記同様、試し錘を取り付けたことにより、振動が極端に大きくなる場合には、至急機器を停止し、試し錘質量を変更します。

最終更新日:2014/07/07



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