これはウィンドウ補正の影響によるものです。通常、周波数スペクトルの任意の周波数成分の両側にウィンドウによる影響成分がありますが、オーバーオール値の計算時に、この影響を補正する一定の係数をかけています。周波数微積分時も同じ補正を行なっているため、この現象が発生します。
<参考例>
【図1】
0 Hzの隣の 6.25 Hzに振幅があると、0 Hz、12.5 Hzにも時間窓の影響により振幅値が現れます。
また 0 Hzに振幅があると、時間窓の影響で 12.5 Hzにも振幅値が現れます(ゆらぎや、回路の残留オフセットで発生します)
ハニング窓の場合は、全周波数データのパワー合計値を 1.5で除算することで、オーバーオール値を算出しています(ここでの係数“1.5”を「等価ノイズ帯域幅」といいます)
【図2】
積分処理した場合は 0 Hzの積分値が定義できないので、0 Hz成分は強制的に“0”にしています。このときに 6.25 Hzの漏れ分も 0にしてしまうので、1.5で除算したときに、オーバーオール値はピーク値よりも小さくなります。
積分では低い周波数成分の影響が大きく現れ、FFTアナライザの分解能よりも小さい周波数成分が不確定になります。積分結果に対しては、周波数帯域(概ね 3 Hz以上)を指定したパーシャルオーバーオールのご利用をお勧めいたします。