時間軸波形のピークとスペクトルのピークが一致しないのは何故か?

FFTアナライザーでは同じ信号を表示しても、時間領域(時間軸波形)と周波数領域(パワースペクトル)では表示しているものが違うため両波形のピークは一致しません。この意味を次に説明します。


下図の左側は上から順に振幅が 1 V の 100 Hz と 110 Hz の正弦波とそれを合成した時間波形を拡大した波形です。それぞれ式で表すと次の様になります。

 

 

又、右図は上側に左図と同じ時間波形を、下側にそれぞれの波形のパワースペクトルを表示しています。 Y 軸のスケールを同じにしていますので、比較すると波形とその振幅の大きさの違いがわかると思います。

 

カーソルの位置の値を読み取ると、合成波形の時間軸波形ピークは 1.994 V、パワースペクトルは 100 Hz と 110 Hz の2つに現れ、どちらも 1 Vo-p となっています。パワースペクトルは 100 Hz、110 Hz それぞれの正弦波の振幅を表しています。つまりパワースペクトルは時間波形の周波数成分とその振幅を表示していると解釈できます。逆に、パワースペクトルで表された周波数とその振幅を sin 波とし、その各 sin 波を合成すると時間波形になるといえます。このことはフーリエ変換(周波数領域)、逆フーリエ変換(時間領域)として知られています。繰り返しになりますが、FFT アナライザーでは同じ信号を時間領域では信号電圧の時間経過を表示し、周波数領域では時間領域の波形を構成する sin 波成分の周波数とその振幅を表示しています。よって、最大振幅値を知りたい場合は時間軸波形(時間領域)を、周波数成分を知りたい場合はパワースペクトル(周波数領域)を見ることになります。

 

 

パワースペクトルは位相情報を持たないことから位相についての説明は割愛します。なお、sin 波の合成には sin 波の位相が大きく関係し、同じ周波数・振幅でも、位相が違えば時間波形はまったく違ったものになります。詳しくは次の資料を参考ください。

 

 



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