騒音計の AC out を DS-0221 の時間波形で観測したとき意味のある値、音圧(Pa)にするにはどうしたらよいか

例えば騒音計の CAL 信号 94dB を入力し、そのときのパワースペクトルが 94dB となるように単位校正機能で校正を行いますが、この後で時間波形を表示すると大きな値が表示されます。
演算機能を使って時間波形に 20×10-6 をかけることで、音圧 Pa 単位で表示することができます。

 

DS-0221 の単位校正の意味と演算方法を次に説明します。CF シリーズでも同じです。

 

時間軸波形(片振幅値)と実効値、音圧レベル dB と圧力(Pa)を対比して説明をお読みください。(音圧実効値をdB表示したものを音圧レベルといいます)
なお、説明のため特に実効値には小文字「r」を単位の後に添え字して記します。

 

(表記例)  
Vr:電圧実効値 V:瞬時電圧(片振幅値)
Par:圧力実効値 Pa:瞬時圧力(片振幅値)

 

(1) 騒音計 CAL信号

騒音計を 100dB レンジ、周波数重みをフラットに設定し、CAL ボタンを on したとき 94dB の信号が AC 端子から出力されます。この波形を図1に示します。 図1は DS-0221 単位校正機能で校正済みで、時間軸波形の軸は大変大きな値になっていますが、パワースペクトルは騒音計の 94dB の値に一致しています。この理由を順に説明します。

 

図1 上:時間波形、下:パワースペクトル(単位校正済み)

 

(2) 音圧レベル(dB)と圧力(Pa)

 

音圧レベルは次式で定義されています。

(1)

(1)式より 94(dBr) の音圧レベルは 1(Par) になります。ここで音圧レベル 94(dBr)、1(Par) は一般的に実効値がとられていることに注意します。騒音計の ACout 信号は音圧センサとして「圧力変化に比例した電圧信号」と考えることができます。絶対圧力の測定はできません。図1の時間波形は瞬時の圧力変化の波形を示していると考えます。

 

(3) パワースペクトル

パワースペクトルは、たとえばサンプル数 2048 点から求められた振幅実効値であらわされます(設定によっては片振幅値の表示が可能です)。

図2は単位校正前の電圧値のデータを示します。パワースペクトルは LIN 表示にして電圧で読めるようにしています。信号が正弦波なので時間波形の実効値はパワースペクトルの 1kHz の値を読んでもいいのですが、一般的にオーバーオールをみますから、図2からこのオーバーオールは「0.347Vr」と読み取れます。

今まで述べたことから次のことがわかります。この騒音計では「音圧レベルで 94dBr のとき圧力変化で 1Par になり、このとき電圧実効値は 0.347Vr になる」という音圧と圧力変化、電圧の関係があることがわかりました。

 

図2

 

(4) 時間軸波形と実効値

図2では時間波形の振幅(片振幅値)が 0.491V と読み取れます。パワースペクトルは 0.347Vr と実効値を表示しています。正弦波では実効値と片振幅値は √2 倍の関係があります。Cal 信号は正弦波ですから、0.491÷√2=0.347Vr となり 0.491V と 0.347Vr は同じことを意味していることがわかります。 逆に 1Par は 1.414Pa(片振幅値)となりますから、これより CAL 信号の振幅 0.4907V のとき 1.414Pa になることがわり、1÷0.347=1.414÷0.491=2.88(Pa/V)が電圧を圧力に換算する係数となります。

 

(4) DS-0221単位校正

(3)より 0.347Vr のとき 94dBr と表示されるように(1)式より係数をもとめますと、これは電圧実効値 A から音圧レベル B(dB)へ換算する係数 k(EU/V)となります。(1)式にあてはめると次式が得られます。

 

 

DS-0221 では定数(EU/V)の設定は1つしかできませんので、Po も定数ですから、K=k÷Po とおくと;

 
として係数 K 求めます。図3は物理単値として係数 K が自動設定された様子を示します。
【計算例】

 

図3

 

図3ではパワースペクトルは騒音計の dB 単位のスケールで表示されますが、時間波形は Pa 単位になっていません。Pa 単位にするには係数 k で換算する必要があります。

 

K は設定済みですから、時間波形に 20×10−6 を掛けると Pa 単位になります。これを演算機能で実行します(図4)。

 

◆操作

 

時間軸波形をクリックしてアクティブにします。

 

「解析 → 演算式」より 〔演算式設定〕ページを開きます。図4のように演算式を記述し「演算」をチェックし OK ボタンをクリックします。時間軸波形が演算式で計算されます。

 

「データ表示 → Y軸スケール」でスケール変更し見やすくします。

 

図4

 

図5は騒音計 CAL 94dB の信号を測定したものです。時間軸波形は Pa 単位で、パワースペクトは音圧レベル dB 単位で表示された様子を示します。

 

図5

補足

今までの説明は CAL 信号が 94dB でした。騒音計のレベルレンジを例えば 90dB にすると CAL は 84dB になります。この CAL 信号 84dB で校正するときでも、94dB を 84dB と置き換えて読むことでまったく同じです。パワースペクトルを 84dB と校正後、時間軸波形に 20×10−6 をかけることで時間軸波形を Pa 単位で表示することができます。

 

 


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