低回転から高トルクを出力するダイレクトドライブモーター
ネックとなるコギングトルクを解消し高精度な動作を実現

マイクロテック・ラボラトリー株式会社 様

企業紹介

マイクロテック・ラボラトリー株式会社

マイクロテック・ラボラトリー株式会社

マイクロテック・ラボラトリー株式会社社屋写真

「ダイレクトドライブモーター」を武器に挑戦を続けるモノづくり企業

神奈川県相模原市に本社を構える「マイクロテック・ラボラトリー株式会社」は1981年創業、高精度なロータリエンコーダーやモーターの製造、 販売を行うモノづくり企業です。当社はロータリエンコーダーのOEM品を供給していただくなど、30年来のお付き合いがあります。

同社は創業当時から件のロータリエンコーダーを開発、販売していましたが、2015年にそのロータリエンコーダーの技術をベースとしたダイレクトドライブモーター「μDDモータ」を開発し工業用モーター市場に参入。 本製品は発売後、半導体業界を始め手術用ロボット用モーターへの採用など、同社の売り上げの3割に及ぶ製品群へと成長を遂げています。

「μDDモータ」(写真左)と遠隔操作可能な手術用の鉗子(写真右)

「μDDモータ」(写真左)と遠隔操作可能な手術用の鉗子(写真右)

「当社は小野測器にロータリエンコーダーをカスタマイズ供給させていただいております。御社の要求にお応えすることで、我々も技術的な成長を遂げることができたと思います。現在展開しているμDDモータは、御社の計測機器を活用させていただいております」と、同社営業部の山崎 淳氏。

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課題

コギングトルクを限りなくゼロにする制御の実現

マイクロテック・ラボラトリー株式会社の「μDDモータ」は、ギアやプーリーで減速しなくても低回転から高いトルクを発生させることができるのが最大の特徴です。一般的なモーターと比較して3つのメリットがあります。まずは「設計工数の削減」。従来品のように高回転まで回してギアやプーリーを介し減速させてトルクを増幅させる方法だと、どうしても付帯部品が増える上に、高い設計精度が要求されます。
もう一つの利点として「組み立て工数の削減」が挙げられます。中空構造の「μDDモータ」は高い精度を持っているため、出力軸に直接連結できます。最後に「メンテナンス性の向上」。ギアの注油やプーリーの張り点検など、日常の保守点検の必要がありません。

ギアやプーリーを介さず、低回転から高トルクの出力が可能
ギアやプーリーを介さず、低回転から高トルクの出力が可能

まさにいいことづくめの「μDDモータ」。ですが、開発時にはコギングトルクを如何に減らせるかがネックとなりました。皆さまも模型用モーターの出力軸を手で回した経験があるかもしれませんが、シャフトを手で回すとスムーズに回らず、磁力による引っ掛かりを感じます。この引っ掛かりが強いと、たとえば「μDDモータ」を手術用ロボットアームに使用する場合、創部からのフィードバックを正確に再現することができなくなります。

解決策&成果

低回転から高トルクが検出可能なトルク検出器を導入しコギングトルクを精密に計測

マイクロテック・ラボラトリー株式会社には現在、当社のトルク検出器MTシリーズとトルクステーションTSシリーズを導入していただいています。具体的には、町田工場には2014年8月にトルク検出器MT-6222AとトルクステーションTS-7700。中町開発センターには2023年2月にトルク検出器MT-82M14、トルク検出器MT-84M25を導入していただきました。

「当社のμDDモータは、高トルクを実現するために、ギリギリまで永久磁石とコイルの間を詰めています。コギングトルクを完全に消すことは不可能なのですが、スキュー(※コイルの巻き線溝のある鉄芯を捩じること)を施すなどして、“軟着陸”させます。マグネットアナライザーという計測機器もありますが、モーターとして組み上げたときの試験しか行うことができません。コギングトルクの試験機が開発には必要でした」
と語るのは、同社代表取締役社長を務める野村優介氏。製品のトルク容量に合わせてトルク検出器MT-82M14とトルク検出器MT-6222Aを使い分けてコギングトルクを計測されているほか、できたばかりの試作品の性能評価にトルク検出器MT-84M25をご使用いただいているとのことです。

トルク検出器MT-82M14(写真左)とトルク検出器MT-84M25(右)。後者は共試体に合わせて治具を作成

トルク検出器MT-82M14(写真左)とトルク検出器MT-84M25(右)。後者は共試体に合わせて治具を作成


お客様の声

「トルク計測が小野測器様の製品で統一されていることで、非常に開発が行いやすいです」 と語るのは、開発を担当する技術部 主任技師の合田英樹氏。本校執筆のために町田の中町開発センターに訪れた際、新型DD-100が開発の佳境を迎えていました。
「御社のトルク検出器は開発に10年以上使用していますが、故障もなく稼働しています。使い勝手もいいですね。本社工場では、μDDモータを生産後、全数をトルク検出器MTシリーズでテストを行い性能確認後、出荷しています」

お客様の声

今後について

野村社長は「μDDモータは、今後も新しい業種へ売り込みをかけるところです。半導体業界や医療だけでなくヘルスケア関係など、まだまだ伸び代がある製品だと感じています。コギングトルクの低減に関しては大学や小野測器様のお力添えを得て、さらに研究開発を続けていきたいと考えています」。

野村優介代表取締役社長(写真中央)と、営業部の山崎 淳氏(写真右)、技術部の合田英樹氏(写真左)

野村優介代表取締役社長(写真中央)と、営業部の山崎 淳氏(写真右)、技術部の合田英樹氏(写真左)

導入ソリューション

多種多様なモーターに対応できるトルク検出器MTシリーズに、トルクステーションTSシリーズを組み合わせた計測システムです。本システムを使用することで、最高5.12 kHzサンプリング、精度±0.1 % FSの高い精度で、高応答なトルク計測が可能です。自動車、家電、モビリティ、発電、医療など幅広い分野においてお客様の課題解決に貢献しています。

トルク検出器MTシリーズ

トルクステーションPro TS-8700

トルク検出器 MTシリーズ

トルク検出器 MTシリーズ

最終更新日:2024/12/18