MATLABを使った音響インテンシティを用いた
車室内音場の可視化
製品開発における音響・振動問題に対するシミュレーションの重要性は、開発期間短縮などの要求から、ますます増大しています。シミュレーションの精度を上げるためには、精度の良いモデルが必要となります。このため、精度の良いモデルを作成するために、高精度の実験データを効率よく収集する必要性が高まってきています。
ここでは、MATLAB 計測・解析システムを使用して、自動車の車室内の音の流れを可視化したデータ例です。音響インテンシティプローブを用い、各計測点毎6個のクロススペクトルを計測し、MATLAB で計測データの処理および可視化を行っています。この例では、計測点が約 1000 点、約 80000 データを MATLAB で処理しています。 DS-2000“MATLAB 対応”アダプターソフトウェアをサイバネット社の Data Acquisition Toolbox と組み合わせ、MATLAB から直接 DS-2000 計測ユニットで処理された時間軸波形、パワースペクトル、フーリエスペクトルなどの瞬時および平均化処理後のデータを収録し、MATLAB の高機能なデータ処理(グラフ化)機能を使い3次元マップなどのグラフを作成し、音の流れを可視化しています。
左図の赤い枠で囲われた部位、運転席・助手席周りで発生する音のエネルギーの流れを可視化したデータです。なお、音のエネルギーは下図にあるように壁面からの反射の影響を受けます。
(1) 対策前後のデータ比較例
左図は音圧レベルで計測した対策前と対策後のデータです。音圧レベルだけではそれほど大きな影響を見て取ることは出来ません。
これに対して、次のインテンシティ計測データでは、対策前後で大きく変化していることが観てとれます。音のエネルギーの大きさばかりか、その拡散の度合いに大きな影響が表れていることが非常に良く捉えられています。
(2) 音の流れの解析例
コンタマップ & ベクトルマップ画面
コンタマップ:ある1平面内の音の大きい部分を探すことができます。
ベクトルマップ:ある1平面内の音の流れをつかむことができます。
コーンプロット
車のドア部分の音の流れを示しています。左右ともドアの内面に沿って後方に流れていることが分かります。
また、上方は、ルーフに沿ってリアシートの背もたれに音が吸い込まれ、下方は、フロントシートの座面に音が吸い込まれています。
最終更新日:2006/03/20