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近隣騒音

近隣騒音

おとくん 「 最近、学校の運動場のスピーカの音に対して、近隣の人から苦情があったらしいんだ。 」

お父さん
 「 お父さんも前の運動会のとき、スピーカからの音は気になっていたんだ。 特に音楽が適切なボリュームで再生されてないことがあって、これでは近隣の住宅に迷惑がかかるんじゃないかなあって。 」


おとくん 「 でも、いつも運動会やっているわけではないし、小学校や中学校の運動会は、地域のイベントでもあるんだから・・・。 」

お父さん
 「 こういう音の問題は、両方が満足する解決案というのはなかなか無いのが通常なんだ。 」


おとくん 「 では、どうすれば問題が収まるの? 」

お父さん 「 まず、迷惑をかけている側が、技術的な手段で解決できれば一番いいよね。 今回の場合は、適切なボリュームを決めて、それ以上音が大きくならないようにすることが最初にすべきことじゃないかな。 それに、これは学校の建設時や、音響設備が新設されるときに十分考慮されることだけど、スピーカの配置と向きを最適にする。 また、そういう設備がしっかりメンテナンスされていることも大事だね。 設備が老朽化して、スピーカの音が割れていないかとか。 スピーカの向きが変わっていないかとかね。 」


おとくん 「 そういえば、運動会の全体体操の時の音楽が少し ”バリバリ” 鳴ってたような気がする。 」


お父さん 「 設備の問題もあるかもしれないけど、使う音源そのものの音質が悪かったりする場合もあるよね。 また、音源の音のレベルがまちまちだと、ボリューム設定も難しいし、その辺は事前に十分に確認しておくことが必要だね。 」


おとくん 「 技術的な問題をちゃんと手当てしても、苦情がなくならない場合はどうすればいいの?」


お父さん 「 ここからが、難しいところなんだ。 まず、技術的に対処したことで、改善されたことを住民の人に理解してもらわなければいけないね。 そういう対策を施したという事実で、苦情を言う側の心理はかなり緩和されると思うよ。 もし、苦情があった時に、おとが言うように、「地域のイベントだから・・・」というふうに現状を受け入れてもらおうとすると、問題がこじれていく可能性が大きいんだ。 まず、迷惑をかけている側が、現状を把握して、第1段階として打てる手を打つことが肝心だね。 」


おとくん 「 そうか。 騒音を出している方から、まず対策のアクションを起こさないといけないということだね。 」


お父さん 「 それでも苦情が収まらない場合は、妥協点を見出さないといけない。 両方がその妥協点に歩み寄るということだね。 スピーカの音を抑えても、拡声として機能する最低限のレベルを見極めて、それを騒音として受ける側にも理解してもらうことだろうね。 学校の騒音とは違うけど、3年ほど前に、噴水で遊ぶ子供の声がうるさいと近所の住人が訴えて、裁判所は子供の遊び声が環境基準を超えているとの事で噴水の使用差し止めの決定をしたんだ。 」


おとくん 「 へえー、そんなことがあったんだね? 」

お父さん 「 この裁判で話題になったのは、「子供の遊び声が果たして騒音か」ということだった。 当たり前のことなんだけど、音の特徴として、一旦音が発生すると、ある範囲の空間に音は伝搬していく。 そこに、様々な人が生活している場合、人の感覚には幅があるから、気になる人は、とても気になるし、一方で全然気にならない人もいる。 音のレベルだけでなくて、その音の時間的な特性 (突発的なのか緩やかに変動するか) でも受けて側の印象は違うし、そのような物理的に数値として捉えられる音以前に、むしろその音の心理的な影響の方が問題なんだ。 音源 (子供の声、楽器を練習する音、航空機騒音・・・) によって、その音を受け取る側の心理や経験、価値観までもが影響してくるから、数値だけで計れないのが難しいところなんだ。 」


おとくん 「 その裁判の場合は、数値以外の心理的な面は考慮されたの? 」


お父さん 「 騒音の場合は、問題となった騒音を再現させて正確な測定を行うことが難しいことや、今言ったような数値だけでは問題が解決しないこともあって、「受忍限度」という影響を受ける側が社会生活上、受忍すべき程度のことかどうかで判断されるんだ。 このケースも受忍限度を超えると判断されたんだろうね。 」


おとくん 「 でも、公園で子供が大声で遊ぶことはよくあることなのにね。 」 


お父さん 「 そうだね。 裁判の判決の経緯については、お父さんも詳しく知らないけど、確かこの裁判の後、公園の作り方に問題が発展していったんじゃないかな。 」


おとくん 「 公園の計画自体に騒音の問題が起こる可能性があったの? 」 


お父さん 「 さっき言ったように、音は音源の周囲に伝搬していくから、何か新しい施設や建物を作る時は、必ず騒音源として想定されるものの音のレベルを推定して、周囲に生活環境があれば、そこへの影響を環境基準やほかの騒音の目安になる数値を下回るように、設計されなければいけいない。 このケースがどうだっかわからないけど、音環境設計という視点とともに、施設や建物の設計思想や意図についても、事業者から住民へ丁寧で明解な説明がなされなければならないんだ。 でも、今欠けているのは、音のレベルだけでなく、音源の意味的要素が心理面にどう影響を与えるかといった視点だと思うんだ。 数値化されないために設計と言う行為に反映されにくし、まだまだ研究をしないといけない分野だと思うけどね。 」


おとくん 「 新しい施設が出来るときは、それを建設するときの騒音は問題になるけど、使われ始めたときどうなるかという考えが及ばないんじゃないかな。 」 


お父さん 「 確かにそうなんだ。 設計図面にも表せないからね。 今は、人々の騒音に対する意識も高いし、事業者・施工者側も1999年に施行された環境影響評価法に従って、ある程度の規模の公共工事にたいしては、事前のアセスメントが義務づけられているから、このような問題は少なくなってきてはいると思うけどね。 」


おとくん 「 前に総合学習でやったイヤークリーニングとか、お父さんが教えてくれたサウンドウォークとか、小さい頃からもう少し音に対して意識する経験があればいいと思うな。 」 


お父さん 「 そうだね。 音響のことを研究している大学の先生が主導して、音響教育という領域が最近盛んになっているんだ。 急には難しいけど、そういう地道な努力を継続して、一般の人にも広く音に対する知識と意識が広まるといいね。 」

 



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