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コーポレートガバナンス

Corporate Governance

多様なステークホルダーからの負託に応え、経営の透明性、客観性、効率性を維持し、かつ経営環境の変化に迅速に対応し得るコーポレートガバナンスの体制整備と運用に努めています。

基本的な考え方

当社は、「未知を拓き、未来を創る」をミッションとし、計測技術を活かした「はかる・わかる・つながる」という提供価値により、「人とテクノロジーのより良い関係を支え、サステナブルな社会の実現を加速させる」ことをビジョンに掲げています。

そのため、サステナビリティの基本方針を定め、安全・品質・環境・人権などへの対応に真摯に取り組むとともに、多様なステークホルダーからの負託に応え、経営の透明性、客観性、効率性を維持し、かつ経営環境の変化に迅速に対応し得るコーポレートガバナンスの体制を整備・運用し、中長期的な企業価値の向上と持続的な成長の実現を目指します。

コーポレートガバナンス体制

当社は、監査役会設置会社制を採用し、取締役会及び監査役会により、業務執行の監督及び監査を行っています。また、業務執行機能の強化及び経営効率の向上を目的として執行役員制度を導入しています。なお、当社は、役員の指名及び報酬に関する公正性・透明性・客観性を強化し、コーポレートガバナンスの充実を図るため、取締役会の任意の諮問機関として指名委員会及び報酬委員会を設置しています。

コーポレートガバナンスの体制の概要

コーポレートガバナンスの体制の概要

取締役会

取締役会は毎月1回以上定例で開催し、経営方針等の重要事項に関する意思決定、ならびに取締役会規則に定められている付議事項及び付議基準に該当する事項について審議するほか、各取締役の業務執行に関する報告を行い、取締役会による職務遂行の監督を行います。なお、社外取締役を複数名選任する体制とし、取締役会が担う経営の監督機能について一層の強化を図っています。

当事業年度は、中長期的な事業戦略及び次期中期経営計画、資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた分析及び検討、資本効率の向上及び資本政策、リスク管理に関する事項、サステナビリティへの対応、人的資本及びエンゲージメントに関する事項など、業務執行上の重要事項を議題としました。

また、内部統制・リスク管理に係る委員会は定期的に取締役会に報告を行うほか、内部統制担当取締役は、原則として四半期に一度、内部統制・リスク管理に係る運用状況について、取締役会に報告を行います。

監査役会

監査役会は、社外監査役3名で構成しています。監査計画に基づき、取締役会・経営会議などの重要会議には直接監査役が出席するほか、当社及び子会社の業務や財政状態等の調査を行い、経営の意思決定や業務執行に関して適切な監査が行われるようにしています。

監査役会における主な検討事項は、監査方針と監査計画の策定、監査結果と監査報告書の作成、会計監査人の評価と選解任及び監査報酬の同意に係る事項、当社グループのコーポレートガバナンスや内部統制システムの整備・運用状況等です。

指名委員会

取締役会の任意の諮問機関である指名委員会は、取締役の選解任、代表取締役ならびに役付取締役の選定・解職、執行役員の選解任ならびに役付執行役員の選定・解職等を答申しています。2024年度は10回開催しており、取締役の選解任案に関する事項、執行役員の選解任案に関する事項、後継者計画等に関する事項等を審議しました。

報酬委員会

取締役会の任意の諮問機関である報酬委員会は、取締役の報酬等の基本的な方針、取締役の報酬限度額、その他経営上の重要な報酬に関する事項等を答申しています。2024年度は8回開催しており、取締役の個別報酬の妥当性の検証、役員報酬制度改定後の制度運用状況の検証、翌期以降の役員報酬制度の改訂に向けた論点整理等を行いました。

経営会議

経営会議は業務執行取締役及び執行役員で構成され、原則として隔週開催し、取締役会付議事項に関する事前の詳細な検討、ならびに取締役会付議事項以外の業務執行に関する重要な事項の意思決定を行うほか、執行役員による業務執行の報告等を行っています。また、経営会議には社外取締役及び監査役も出席して意見の表明を行うことができることとしています。

内部監査室及び内部統制部門

内部監査室は、取締役社長直轄の内部監査部門として設置しています。内部監査室は、社内業務に精通するとともに、J-SOX推進委員会等を通じて内部統制に関する知見を有する専任者を配置し、内部監査計画に基づき、当社及び当社子会社の内部監査を実施します。内部監査の実施結果は、取締役会及び常勤監査役に報告されるとともに、被監査部門に通知され、必要に応じて是正処置がとられます。

内部監査室は、監査役の円滑な職務遂行を支援し補佐するほか、会計監査人とも連携しています。

内部統制部門としては、コンプライアンス委員会、J-SOX推進委員会、リスク管理委員会を設置し、内部統制が有効に機能するための方針・計画の策定、委員を通じた情報の収集及び監視を行っています。

役員報酬

役員報酬制度は、コーポレートガバナンスにおける重要なテーマの一つです。

当社の役員報酬については、役員が継続的かつ中長期的な業績向上のために企業家精神を発揮し、経営方針(経営戦略)を実現し株主の期待に応えることに資するものとし、報酬の水準については、当社の発展を担う有為な人財を社内外を問わず確保できる水準を目標とし、定期的に外部の客観的データ、評価データ等を活用しながら、役位別に妥当な水準を設定することとしています。また、報酬の決定において、透明性・客観性を担保する適切なプロセスを経るため、報酬委員会が関与することとしています。

取締役報酬については、2023年3月17日開催の第69回定時株主総会の決議により、取締役の金銭報酬の限度額(年額)、及び対象取締役に対して譲渡制限付株式の付与のために支給する金銭報酬の総額を決定しました。

取締役及び執行役員の報酬は、基本報酬としての「固定報酬」、短期及び中期の会社業績ならびに担当する事業業績を反映する「業績連動報酬」、株主目線での経営や中長期的な企業価値の向上に対するインセンティブとしての「株式報酬」(譲渡制限付株式報酬)で構成しています。また、持続的な成長に向けた健全なインセンティブを機能させるため、役割に応じて、報酬構成の比率等を適切に設定しています。なお、社外取締役の金銭報酬については、その役割に応じた水準の「固定報酬」のみとし、「業績連動報酬」は支給いたしません。株式報酬については、当社における社外取締役による経営に対する助言機能(専門性に基づく助言等を通じた企業価値の向上)をふまえ、一定水準の株式報酬を支給することは妥当と判断し、社外取締役も株式報酬の支給対象としています。

  • ・固定報酬は、各取締役・執行役員の役位に応じて決定されます。
  • ・業績連動報酬における評価指標は、財務指標である連結受注高、連結売上高、連結営業利益と、非財務指標である中期経営計画のKPI等を合わせて用いています。財務指標については、それぞれに短期の業績目標と中期の成長目標を設定し、単年度の業績確保と共に中長期の成長を目指すこととしています。非財務指標については、中期経営計画における実施項目及びサステナビリティに関わる計画進捗等を評価することとしています。
  • ・非金銭報酬である株式報酬は、中長期的な企業価値向上を図るインセンティブを与えるとともに、株主の皆様との一層の価値共有を進めることを目的に、第70期より譲渡制限付株式制度を導入しました。当該譲渡制限付株式は、株主総会の決議によって定められた株式報酬限度額の枠内で、役位に応じて付与する旨を内規に定め、運用します。


監査役報酬の限度額は、2015年3月13日開催の第61回定時株主総会において、決議されています。監査役報酬は、他社水準を考慮しつつ役割に応じて設定することとし、監査役会において決定しています。なお、監査役の報酬については「固定報酬」のみとし、「業績連動報酬」ならびに「株式報酬」は支給しません。

配当政策

当社は、経営基盤の強化と将来の事業展開に備えるための内部留保充実を図るとともに、株主各位に対する利益還元を経営の重要政策の一つとして認識し、中期的な連結配当性向30%を目安として、継続的かつ安定的な配当を行うことを基本方針としています。

また、自己株式の取得については、資本効率の向上及び経営環境の変化に対応した機動的な資本政策の実施ならびに株主各位への一層の利益還元を行うことを基本とし、成長への投資や財務体質を勘案しつつ、1株当たりの株主価値とROEの向上を目的として機動的に実施することを方針としています。

社外監査役メッセージ

計画の着実な実行と成果へのこだわり

2025年は新たに中期経営計画Challenge Stage Ⅳ(以下Stage Ⅳ)が始まり、会社としても成長軌道に乗せていくべき重要局面を迎えました。2024年まで実行した同Stage Ⅲはその位置付けどおり、コロナ禍以降の停滞局面を脱し、次の持続的な成長に向けた改革が着実に進んだ3年間であったと感じています。一方で、解決に至らなかった個別課題は未だ残されており、Stage Ⅳではその課題解決に引き続き取り組むとともに、計画の実行スピードを上げ、ステークホルダーが確実な成長を実感できる成果を上げることが不可欠です。

Stage Ⅳは、これまでの中期経営計画で培ってきた経験が存分に活かされ、社内の叡智が集結した完成度の高い戦略だと評価しています。

常勤監査役 金子 孝雄

常勤監査役

金子 孝雄

策定にあたり当社の強みや課題を社内役員が認識したことで、解決の方向性も明確化されました。この計画を着実に実行することができれば、持続的成長を生み出すことができると信じています。

また当社の役員には、戦略の実行状況を経営幹部の評価に反映させていくこと等を含め、経営陣一丸となった成果への強いこだわりが求められています。近年は、執行サイドへ権限を移譲したことで、取締役会が個別案件の審議から企業戦略の大きな方向性を議論する場へと役割を変えつつあります。監査役としても戦略の実行状況等に関するより深い議論を行っていけるよう、提言を続けていきます。

当社を取り巻く環境は依然として大きな変革期の渦中にありますが、変化をチャンスとする改革は着実に進行しています。成長のためには従業員自らの意志によるボトムアップ活動と経営戦略の実行の双方が不可欠ですが、これらを全社一丸で進めていくことができれば、新たな成長への道筋はより確かなものになると考えています。

外部の目線から見て言えることは、当社には、従業員の皆さんが感じている以上の良さがあるということです。Stage Ⅳはその良さ(強み)を活かす改革と取り組み方針が明確で、今後の成長への期待は大きいと感じています。成長に向けた重要な局面だからこそ、ガバナンス面の整備運用には十分留意するとともに、コーポレートガバナンスの向上促進に努め、従業員の皆さんをはじめとしたステークホルダーが今後も持続的成長を実感できる会社を皆さんと目指していきたいと思っています。

〈コラム〉

コーポレートガバナンスの強化とサステナビリティ

2015年6月に金融庁と東京証券取引所がコーポレートガバナンス・コードを策定し、上場企業への適用が開始されるようになりました。当社グループにおいてもこれを機に、コーポレートガバナンスの基本方針を策定し、従来から行われてきた企業統治の体系を整理するとともに、ガバナンスの強化に取り組んできました。

また、2023年度から有価証券報告書でのサステナビリティ情報の開示が義務化されることとなりました。当社でも従来より環境や人的資本への投資に係る活動は行われていましたが、これらを体系的に整理し、有価証券報告書と並行して統合報告書を発行する取り組みを行うこととしました。

2023年から2024年の2年間は、当社のサステナビリティに関するガバナンスを強化する期間でした。統合報告書の発行に係るプロセスとして、取締役社長及び執行役員全員が参加する経営会議において、サステナビリティを経営の重要課題と位置付けての企業理念(Mission、Vision、Value、Spirit)の再言語化、SWOT分析、マテリアリティの特定、戦略検討等を行いました。また、特にカーボンニュートラルの実現に向けた活動を加速するため、環境戦略推進室を2024年1月1日に新設しました。

環境戦略推進室は、カーボンニュートラル推進への対応に関する業務として、環境負荷低減に関する戦略の立案・目標設定・管理方法の構築、事業活動におけるCO2排出量の把握、従業員等に対するカーボンニュートラルの啓発等を行います。また、事業活動に対する社会からの要請を分析し、環境に関するリスクと機会を経営に報告することも担っています。

また、ISOマネジメントシステムのフレームを、事業活動において求められる社会的規範の実現のための活動として位置付けました。

このような過程を経て、取締役会による企業理念・サステナビリティ基本方針の決定、経営会議による戦略の立案、環境戦略推進室による目標設定と監視、ISOマネジメントシステムのフレームを活用したPDCAサイクルの展開がなされ、ガバナンスの体制が強化されました。

関連資料