取締役メッセージ

Message from the Directors

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中期経営計画 Challenge Stage IV では、「1. 成長戦略」「2. 業績伸長」「3. 構造改革」「4. 成長投資」の四つを重点施策として掲げています。それぞれを担当する取締役が戦略の意図と実行への思いを語ります。

デジタルと共創をキーに成長へつなげる
取締役 上席執行役員 特注・エンジニアリング領域担当 安地 隆浩

取締役 上席執行役員
特注・エンジニアリング領域担当

安地 隆浩

担当領域

中期経営計画 Challenge Stage IV 担当領域
取締役 上席執行役員 計測機器領域担当 塚越 照

取締役 上席執行役員
計測機器領域担当

塚越 照

計測の本質を追求(安地 隆浩)

小野測器のミッションは「未知を拓き、未来を創る」ですが、このミッションを果たすためには“測ること”を目的とするのではなく、お客様と同じ視点まで視座を高め、“なぜ測りたいのか”という根本まで理解した事業を展開していく必要があります。当社がエンジニアリング事業を進める理由もそこにあり、自らがユーザーの立場に立つことで本質が理解でき、そこで得たことを社内にフィードバックすることで、真の意味で社会に貢献できる製品開発が可能になります。そして、その経験や製品こそが当社の成長を促す動力となるのです。

現在、当社が主戦場としている自動車開発では、デジタルを活用するモデルベース開発(MBD)が進んでいます。当社はこれまで実測の領域で力を発揮してきましたが、今後はシミュレーションのフェーズでも貢献していくことを目指しています。そのため、当社自身もMBDに積極的に取り組み、その本質を理解した施策を推進したいと考えています。

また2024年は、実際にその過程を経た「クランプ型トルク計」の開発にも取り組みました。ユーザー視点で辿り着いたアイデアが具現化され、製品として販売を開始しています。まさに当社が長期戦略としている「モノ→コト→モノの循環による顧客価値の創出」を代表した取り組みともいえます。今後もこのような好循環を積極的に生み出し、成長につなげていきます。

他社との連携が急務(塚越 照)

中期経営計画Stage Ⅳの「1. 成長戦略」や「2. 業績伸長」を進めるためには、これまで当社に無い新しい取り組みへの挑戦や会社の仕組みを変えていくことが重要です。しかし当社だけでは限界があり、リソース不足が成長のネックとなりかねません。そこで、その手法の選択肢の一つとして「オープンイノベーション」に取り組みます。

一口に「オープンイノベーション」といってもさまざまな切り口が考えられます。例えば「1. 成長戦略」においては「モノ→コト→モノの循環」により成長を促進しますが、その過程で新事業への参入や新技術の獲得を行う場合は、他社のアイデアや経営資源を取り入れた方がより優れた成果を生み出せることもあります。また「2. 業績伸長」においては、新市場へ裾野を広げるために当社に無い販路の獲得が必要であり、そこでも他社との連携が重要な役割を果たします。この施策はあくまで促進役のため、各戦略担当と連携を取り、適切な切り口を見極めながら進めていきます。

また足元の課題解決だけでなく、他社のアイデアを当社の事業と組み合わせることで新たなイノベーションを創出することも重要です。さらに社内においても、各々が得意な領域を組織の壁を越えて協力し合えるクロスファンクションのような体制の構築にも取り組みたいと考えています。

世界のものづくりを支える企業に
取締役 上席執行役員 営業・マーケティング領域担当 小池 秀昭

取締役 上席執行役員
営業・マーケティング領域担当

小池 秀昭

担当領域

中期経営計画 Challenge Stage IV イメージ

グローバル市場への進出

当社はこれまで長きにわたり、国内産業を主要なマーケットとして事業活動を行ってきました。2024年までに実施したStage Ⅲにおいても、「2. 業績伸長」の施策として「アジア地域を中心とした海外市場の強化」を進めてきましたが、コロナ禍による活動の制約も長引き、現在も売上の約8割が国内向けとなっています。しかし、今後も業績を伸ばし持続的に成長していくためには、国内市場のみをターゲットとしていては目標とする姿に到達することはできません。今後は、グローバル市場全体をターゲットとした事業展開をより加速させ、多くの国・地域のものづくりに貢献していくことが不可欠です。

そこでStage Ⅳでは、「はかる力を世界につなげる」をテーマに計測機器セグメントの製品販売をグローバルに拡大することで、世界のものづくりを支える企業への転身に挑戦します。当社が生業としている計測機器は、産業界を下支えする役割を担っています。経済の発展を目指す地域において、品質と生産性向上の基盤となる計測技術・製品を提供することで、当社自身が成長するだけでなく、世界の産業を安全かつ安定的に支援する存在になりたいと考えています。また、その国でものづくりが発展するということは、雇用の維持・拡大にもつながります。現地の企業を支えるのはもちろんのこと、海外進出する企業をサポートすることによる現地雇用の拡大にも貢献できればと考えています。

具体的な戦略としては、主に「販売網の拡大」と「地域に特化した商品提供の実現」を進めていきます。営業面での「販売網の拡大」では、グローバル拠点における現地代理店や現地パートナーとの関係性を強化し、広くローカルネットワークを構築することで、当社だけでは実現が難しい販路の拡大を目指します。また「地域に特化した商品提供の実現」では、市場を一括りにせず国や地域ごとの異なるニーズに寄り添い、その地域に特化した商品を開発・販売することで売上拡大につなげていきます。さらに人財育成の面でも、国内・海外問わず営業部門の視点のグローバル化を進めていきます。マーケットを国内・海外と分けて考えず、日本も含めた世界に通用する営業スキルを身に付けることを目指した営業研修等も積極的に行っていきたいと考えています。

しかし、これら戦略を推進するためには、新たな取り組みに割く時間や人財リソースを捻出しなければなりません。そこで、DXの活用による「稼ぐ仕組みの構築」も並行して進めます。デジタルデータの運用促進によりお客様へ提供する情報の価値向上を実現するとともに、DXの活用や営業プロセスの効率化により時間を創出し、その時間をグローバル販売の拡大やスキルアップに活用できる体制を整えていきます。

グローバル市場において、まだ当社の伸びしろは十分にあると考えています。Stage Ⅳでは、コロナ禍等でこれまで実行することのできなかった施策も具現化し、当社のありたい姿に向けて推進していきます。

非財務資本を成長に活かす
取締役 常務執行役員 総務・財務・内部統制担当 濵田 仁

取締役 常務執行役員
総務・財務・内部統制担当

濵田 仁

担当領域

中期経営計画 Challenge Stage IV イメージ

従業員も会社も成長する組織へ

当社では、中期経営計画としてStageごとにテーマや数値目標を定めていますが、会社が最終的に目指さなければならないのは、持続的な成長の先にある長期的な利益(長期利益)を確実に獲得していくことです。Stage Ⅳでは、その長期利益の獲得に必要な要素として「1. 成長戦略」と「2. 業績伸長」をメインの戦略として掲げていますが、それらを支え促進していくためには、人的資本を含むサステナビリティへの対応や経営体制の整備、成長投資を進めることが不可欠です。

2024年までに実施していたStage Ⅲでも3つの重点施策のうちの「3. 構造改革」で人的資本への投資を進めてきましたが、Stage Ⅳではこれらの領域がメインの重点戦略により密接に関わっていけるよう位置付けを変化させ、各戦略をより加速させる存在となれるよう取り組んでいきたいと考えています。

重点戦略を促進させるための投資戦略としては、「4. 成長投資」で掲げた設備等の固定資産への投資や開発投資を行うだけではなく、財務諸表では表せない非財務的な資本(知的資本・人的資本・社会的資本等)をどう成長に活かしていくか、にも重点的に取り組んでいきます。会社を成長させるための施策はその会社によってさまざまだと思いますが、当社では短期的な利益の獲得や財務指標の向上を評価の物差しとするのではなく、会社が長期的に成長し、それが結果として株価の向上や長期利益の獲得につながっていくことを重視し、それを達成するための仕組みづくりを行っていきます。

サステナビリティへの対応も、その一つです。近年、サステナビリティへの対応は会社の持続的な成長を支える重要な要素となっています。短期的にはコストに含まれる取り組みであっても、長期的に会社の成長につながると見込める施策には積極的に取り組んでいきます。また当社では2024年に、これまで継続的に取り組んできた内容を「サステナビリティ基本方針」として体系を整理し、方針として発表しました。当社の方向性を明確に定めたことにより、さらにサステナビリティへの対応を加速することができると考えています。

特に人的資本の面では、Stage Ⅲで導入したタレントマネジメントシステムの活用を促進し、人財の育成や組織開発を重点的に進めていきます。会社が持続的に成長するためには、従業員一人ひとりもともに成長する、その両輪で進んでいける組織であることが重要です。そこでこのタレントマネジメントシステムを活用することで、従業員個々が持つタレント(能力)を見える化し、その能力を最大限に発揮できる仕組みの構築に取り組みます。また、これまでも従業員が長く働きたいと思える会社になれるよう施策を進めてきましたが、引き続き働く環境や制度の整備も並行して進めていきます。

これら施策を着実に実行していくことで、従業員自身の成長と、組織としての会社の成長や長期的な利益が結びつき、その両方が実感できる会社になることを目指していきます。