

自動計測制御システム FAMS-R6
Automatic Measurement Control System
自動計測制御システム FAMS-R6
自動計測制御システム FAMSシリーズの次世代製品として2023年にリリースされたFAMS-R6。今回はその企画担当者と開発担当者2名に集まってもらい、複数の部署をまたがる社内有数の大規模プロジェクトとなった開発の裏側に迫りました
性能向上や開発期間の短縮に貢献
FAMS-R6を含むFAMSシリーズは、自動車を中心とした各種製品の計測や試験を行うシステムです。自動車を購入する際、燃費や排出ガスといったカタログの数値を基準に検討することがあると思いますが、そういったあらゆる性能を計測して数値化したり、試験条件に沿って製品の挙動を制御する役割を担っています。当社では1984年から販売を開始し、FAMS-R6が6世代目の製品です。FAMSシリーズは自動車業界を中心に、世界10カ国以上で製品の性能向上や開発期間の短縮に貢献しています
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試験機技術ラボ
係長島崎
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営業本部
マーケティングブロック
特注商品グループ
リーダー井上
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ソフト技術ラボ
リーダー岩田
メインのマーケットは自動車業界ですが、農機・建機業界、船舶業界等でも多数活躍しています。FAMSシリーズは共通のプラットフォームをベースにさまざまな機能の追加が可能なので、その業界や製品によって必要な機能をカスタマイズして搭載することができます
これまでは内燃機関(エンジン)向けが中心でしたが、近年はHEVやBEV等の台頭によりモーターの計測に対応する機能追加のニーズも増えてきています。ご購入いただいた後でも機能追加ができるので、既存の内燃機関専用設備を活かし、モーターにも対応する仕様にバージョンアップすることも可能です
前機種よりユニットを集約したことでより筐体がコンパクトになり、ユニット間の通信が無くなったことで処理速度も高速化しています。またお客様の使いやすさを重視し、UIにもかなり力を入れました。1クリックでも動作を減らすことができるよう手順の無駄を省いて操作時間を短縮し、画面配置や視認性に関してはスマートフォンなどを使い慣れているデジタルネイティブな若手世代の意見も存分に取り入れました。そのため、新人さんや経験の浅い若手社員でも扱いやすい製品にできたのではないでしょうか
従来品と操作性が変わっているため、従来品を使い込んでくださったお客様には最初は使いにくいと感じる方もいらっしゃるかもしれません。ただ実際には確実に操作性が向上しているので、これから慣れていただくにつれてどんどんメリットを感じてもらえると思います
そうですね。また私としてはブランディングも重視していたので、デザインチームとも連携し、“小野測器のFAMSブランド”を体現できるデザインに仕上げています。さらに従来品と比べ導入しやすい価格帯の製品として機能を最適化したFAMS-R6 Liteをラインアップに追加したことで、より多くのお客様のお役に立てるよう工夫しています
自動計測制御システム FAMS-R6

各種機器の制御・リアルタイム計測・データ収集・警報監視・自動運転など、テストベンチ試験に必要な機能を持ち、さまざまな計測機器やシミュレーションツールなどとつながる自動計測制御システム
大規模プロジェクトの経験を糧に
私はこれまで計測機器セグメントの製品開発に長く従事していたため、FAMSシリーズのような特注試験装置を担当するのは今回が初めてでした。本製品の開発が始動する際、『自身の開発経験を活かすことができれば』と手を挙げましたが、製品知識も少なく関係者とのつながりも一から築いていったので、その点は苦労したところです。ただ、若手メンバーに開発の流れや試験の目的について教えながら一緒に取り組むことができたので、技術伝承や人財育成の良い機会になりました
企画担当としては、開発の規模が大きく複数の組織にまたがっていたので、社内のさまざまな調整をしながら指揮を取るのが大変でした。また実現したい仕様と技術的課題やかけられる予算・期間といったさまざまな要素を天秤にかけながら判断していく必要があり、規模が大きい分そういった優先順位を付けることにも苦労しました

【FAMSシリーズの歴史】

先ほども触れましたが、個人的にはこれまでの経験を活かし若手育成に貢献できたことが嬉しいです。今後、また次世代製品の開発を行う際は、若手メンバーには今回の経験を糧にお客様のニーズに応えられるものづくりをしていってもらえたらと思います
開発の規模が大きかった分、今まで関わりの少なかった色々な部署の方とのつながりができたのが良かったです。また製品をリリース後はお客様からお褒めの言葉を頂くことも多く、嬉しい限りです
私も皆さんと同じく、これだけ大規模の開発を何年もかけて担当できたのが非常に良い財産になりました。また最初のコンセプトづくりの段階から企画部門と一緒に経験させていただき、これまでは既に存在している製品の改造等を担当することが多かったので、新規の製品開発に携われてとても面白かったです
製品としてのベースのプラットフォームは完成しましたが、まだ高みを目指したブラッシュアップは必要だと考えています。今後も引き続き、お客様に嬉しさを提供できる機能の追加や向上に取り組んでいきたいです
長年取り組んできた当社だからこそ気付くことができる小さなお困りごともあると思います。そこを製品に反映させて、『当社にしか作れない製品』にしていけると良いですね
そうですね。今後も開発は続いていくので、今回培った知見をメンバーと共有しながら進めていけたらと思います
私自身は開発担当からお客様の現場を担当する部隊に移ったので、まずは実際のお客様の現場を学び、次の開発では目標をしっかりと定めメンバーを引っ張っていける存在になりたいです
