角度軸信号計測ソフトウェア ExAngle

Angle Based Measurement & Analysis Software

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角度軸信号計測ソフトウェア ExAngle

これまで長年にわたり販売してきた燃焼解析専用機器のコンセプトを刷新した、新製品の角度軸信号計測ソフトウエア ExAngle。今回は、企画・開発担当者と、ExAngleの販売を中心となって担当する営業に、大幅な方向転換に秘められたその想いを話してもらいました

燃焼解析 “専用” の看板を下ろす決断

ExAngleとはどんな製品ですか?
池田

本製品は、前身の燃焼解析機器の後継機でありながら、さまざまな回転体の計測に貢献できるシステムです。燃焼解析とは、主にレシプロエンジンと呼ばれるピストンの往復運動によって動力を発生させる機構を持つエンジンの性能評価を行う手法のことです。燃焼解析によりエンジンの燃焼状態を把握し、改善につなげることができます。自動車をはじめ、二輪や農機・建機、発電機器、船舶等、幅広い分野で活躍しています

前身の燃焼解析専用機器からコンセプトを刷新されたのですね。
池田

そうですね。これまで販売してきた製品は燃焼解析“専用”機器でしたが、本製品ではその看板を下ろし、エンジンに限定しないあらゆる回転体を対象とする汎用的な計測機器としました。長年積み重ねてきた燃焼解析の機能も再整理したうえで搭載していますが、あくまで製品機能の一つでありその機能に特化しているわけではありません。このようなコンセプトで開発したことで、エンジン以外の開発現場や、高速で回転する対象の挙動解析等を行う基礎研究領域にも活躍の場が広がるようになりました

  • 営業本部 マーケティングブロック 計測商品グループ 係長 上原 光裕

    営業本部
    マーケティングブロック
    計測商品グループ
    係長

    上原

  • ソフト技術ラボ リーダー 池田 太一

    ソフト技術ラボ
    リーダー

    池田

  • 営業本部 営業統括ブロック 中部営業所 営業課長 清水 栄一

    営業本部
    営業統括ブロック
    中部営業所
    営業課長

    清水

方向性の転換には、どのような背景があったのでしょうか。
上原

開発を検討していた当時、日本政府が2050年のカーボンニュートラルを宣言したことで世の中が大きく変化しました。自動車業界には電動化の波が押し寄せ、エンジンをメインターゲットとする燃焼解析には逆風が吹き始めていました。しかし一方で、電動化を実現するためにはクリアすべき課題も多く、そう簡単にはエンジンから脱却できないという考えもありました。そんな流れの中、お客様の開発現場では何が必要で、私たちは何をしなければならないのかを改めて開発チームと話し合いました

池田

検討を進めた結果、私たちは電動化に注力しつつも並行してエンジン開発も進めなければならないお客様に向け、より効率良く簡単に燃焼解析ができる製品を開発したいと考えました。同時に、もし今後エンジンが無くなったとしてもその設備を他のシステムとして有効に活用していただける製品が良いだろうと考え、その実現のために燃焼解析“専用”というメインの看板を下ろす決断をしました

角度軸信号計測ソフトウェア ExAngle

角度軸信号計測ソフトウェア ExAngleの写真

40年以上続けてきた燃焼解析専用器を刷新。燃焼解析用の解析技術は踏襲しつつ、内燃機関の計測に限らない、あらゆる回転体を対象とした計測・解析を可能にする高速サンプルの汎用計測器である

直感的に使える道具のような存在

そのような方向転換も含め、お客様の反応はいかがですか。
清水

私は自動車業界をメインに営業を担当しているため燃焼解析を行われているお客様が多いのですが、従来よりソフトウエアの使い勝手が向上し担当のお客様からは好評を頂いています。設定が簡単に行えるようになったことで、計測時に起きがちな設定ミスも防げるのではないでしょうか。また設定画面にイラストを付けたことで項目の定義をマニュアル上で確認する手間も無くなりました。本製品は専用機器では無くなったものの、前身の製品に比べると初めて燃焼解析に取り組まれるお客様でも扱いやすい製品になったと思います。私自身、燃焼解析の販売を担当する営業ではありながらも日々製品知識の習得に苦労しているところですが、本製品の登場で燃焼解析へのハードルがかなり下がりました

池田

そう言ってもらえて嬉しいです。ソフトウエアは機能や階層が多いためどうしても操作が難しくなってしまいがちなのですが、本製品は直感的に、意識しなくとも自然と使える“道具”にしよう、とこだわっています。この点には妥協せずかなり熟考して作り込んだので、操作性を評価してもらえて開発チームの苦労も報われます。初めての人でも使いやすく、かつ要所要所は変わらない仕様になっているので、既存製品を使い込んでいるベテランの方でも使いやすい製品にできたと思います

先ほど仰っていた「より効率良く簡単に」というコンセプトの通りですね。
上原

私も初見からマニュアルを見ずに使うことができました。既存製品を使われているお客様からもお褒めの言葉を頂き、嬉しく思います。最近は開発を始めた当時の電動化一本の流れから変化しつつありますが、そういった動力が多様化している現状においてもさまざまなお客様のお役に立てる製品を発売でき、良かったです

池田

本当にそう思います。開発当初の社内では、縮小予想のエンジンを対象とする機能の開発に後ろ向きな意見もあり、意図を説明して賛同を得るのに苦労することもありました。ただ、実際にお客様の元に納品に伺い良い反応を頂くと、諦めずに開発を進めてきて良かったと感じます

【燃焼解析システム~ExAngleの歴史(一部抜粋)】

最後に、今後の展望を教えてください。
上原

本製品をリリースしたことで活躍できる幅が広がったので、まずは色々なお客様に紹介し、お客様が抱えるお困りごとや要望を一つでも多く解決することができたらと思います。また既存市場だけにこだわらず、今後成長が期待できる市場があればそこに本製品がどう貢献していけるかを考え、次につなげていきたいです

清水

お客様の求めているところの一つに、他の機器とのつながりやすさがあると思います。既に通信機能等は搭載されていますが、今後ますますニーズは増えていくと予想されるので、そこも重視しながらブラッシュアップを続けていってほしいです。また私自身も本製品を活用してより知識を深め、市場ニーズをいち早く拾って開発にフィードバックできる営業になりたいです

池田

現状エンジンにはさらなる性能向上が求められている反面、お客様の現場では電動化との両立で大規模な設備投資や人員確保が難しいことも多く、性能評価や試験、その後の解析やレポート作成にはますます自動化や無人化が求められていくと思います。今後は本製品の機能を向上させるだけでなく、関連製品としてそういった現場の課題に貢献できる製品の開発も視野に入れて製品づくりに取り組んでいきたいです。また、本製品の開発を若手社員も含むチームで進めたことで、貪欲に次の新機能を追い求められる若手も育ってきています。彼らの今後の活躍にも、ぜひ期待していてほしいです