音の大きさはそれほど大きくないのに、「気になる音」は世の中に数多くあります。 例えば車の走行時に時折聞こえる、「カタカタ」「ビリビリ」といった内装品が発する音や、小型モーターの回転音に混じる、「ジー」という異音などが挙げられます。 「気になる」原因はいくつかありますが、時間的な変動が顕著な音は、その大きさ(レベル)がそれほど大きくなくても耳障りに感じることが多いのです。 変動音解析とは、レベルに左右されない時間変動の大きな成分のみを抽出できる解析です。これにより、従来のFFTや基本ラフネス、変動強度では検出の難しかった、様々な時間変動の特徴を定量化できるようになります。 その他、様々な音のデザイン(味付け)に対して、音の音色(高低)および時間変動周期の2軸で評価できるため、従来の技術よりもより深い解析が可能になります。









変動音解析事例の見方① 高い音でゆっくり変動している音


※音が再生されます。音量にご注意ください。





変動音解析事例の見方② 低い音で速く変動している音


※音が再生されます。音量にご注意ください。



変動音シミュレーター機能



シミュレーション前


※音が再生されます。音量にご注意ください。



シミュレーション後


※音が再生されます。音量にご注意ください。



変動音シミュレーターでは変動音解析結果を確認しながら、気になる変動成分を除去したり、聞き取りやすい変動成分を強調したりすることにより音を調整して評価することができます。従来のように変動成分除去のためにバンドリジェクトフィルタを用いてしまうと、変動音とともにその帯域の成分まで減衰させることになりますが、変動音シミュレーターでは周波数特性は、ほぼそのまま変動音だけを除去や強調、抽出することができます。



ここで、変動成分の除去を変動音シミュレーターと従来の手法であるバンドリジェクトフィルタそれぞれで行った場合の周波数特性を比較してみます。どちらの場合もカタカタ音は聞こえなくなりました。しかし、変動音シミュレーターを用いた場合は周波数特性が元の信号からほとんど変化しなかったのに対し、バンドリジェクトフィルタを用いた場合は該当する帯域の成分を減衰させて除去を行っているため周波数特性もかなり変化してしまっていることが分かります。





変動音解析事例 小型モータの異音

人が小型モータの動作音を聞いて、良否判定をしていた。これを数値的な判断ができるように周波数分析を行ったが、うまく判別する事ができなかった。変動音に着目した変動音解析を実行する事で良品/不良品の違いを明確にできた。




型名 品名 数量
OS-5100 プラットフォーム 1
OS-0522 FFT解析機能 1
OS-0526 変動音解析機能 1

※音を収録する機器(高機能騒音計、FFTアナライザーなど)が必要です



良品
クリアな音
(異音なし)


不良品1
異音あり
(濁った音が少々混じる)


不良品2
異音あり
(濁った音が混じる)




変動音解析事例 T/Mギア歯打ち音(ガラ音:Ratting Noise)


※音が再生されます。音量にご注意ください。

ギアの歯打ち音の音色は、800 Hz帯域に成分を持ちますが、FFT解析では暗騒音レベルにガラ音が埋もれてしまうため、特徴量を見出すことはできません。「変動音解析」では、音の音色として800 Hz帯域(縦軸)、変動周期として20 Hz帯域(横軸)の升目の値が増大。音の大きさだけではその特徴量がまったく抽出できない音に対しても表現が可能です。




型名 品名 数量
OS-5100 プラットフォーム 1
OS-0522 FFT解析機能 1
OS-0526 変動音解析機能 1

※音を収録する機器(高機能騒音計、FFTアナライザーなど)が必要です