音と波の屈折(津波が岬で危険な理由)

音と波の屈折(津波が岬で危険な理由)

おとくん

夏休みに行った海辺のキャンプ場に、「岬は津波の波が集まって高くなるから危険なので、津波情報が出たときは、近づかないこと」って注意書きが書いてあったんだ。理由が書いてないから、皆なぜ岬が危険なのかなって言ってたんだ。

お父さん

波の屈折について、おとには、まだ教えてあげてなかったっけ?

おとくん

屈折? 光のレンズによる屈折は学校で習ったけど、波の屈折と津波が岬で高くなるのと何か関係があるの?

お父さん

ああ、関係あるんだよ。 じゃあ、いつも話している音の場合では屈折がどういうふうに起こるか説明しよう。

おとくん

音も屈折するの?

お父さん

そう。音の場合は、屈折現象を経験することはなかなか難しいんだけどね。
音は空気の中はもちろんだけど、水の中も伝わるのは、プールで泳いだりしたときに水中でも音が聞こえるから経験的に知っているよね。

おとくん

前に、おとうさんから、水の中で音が伝わる速さは、空気より数倍速いって聞いたよね。

お父さん

うん。そこがポイントなんだ。

おとくん

えっ?音の屈折と空気と水の中での音の速さの違いが関係あるの?

お父さん

そう。 音が空気から水に入るときや、水の中の音が空気中に出てくるときには、屈折現象が起きているんだけど、それは、媒質を伝搬する音の速さが違うから起きるんだ。

おとくん

ふーん。 良くわからないけど。

お父さん

図 (図1)を描いて説明するね。
まず、音が空気中から水面に入射して、そこで屈折して水の中を伝搬する場合を考えてみよう。
音は、音源(波源)に対して、波面が球面に広がる球面波なんだけど、音源が十分遠くにある場合や、波面の十分小さい部分で考えると、波面は平面(平面波)として考えられるんだ。
この図は、音が水面上の点Aに達してから、Aと同じ波面上にあった点Bが、水面上の点Cに達するまでの波の伝搬の様子を示している。 例えば、水の中の伝搬速度が空気中と同じなら、点Aは点Dに伝わり、屈折は起こらない。 実際は、水の中の音の伝搬速度は、空気中より速いから、点Bから点Cに進む間に長い距離を進むことになる。そして球面波として広がり、円と接線の関係があるので、図のように点Eに伝わることになるんだ。 」

おとくん

光の場合も同じなの?

お父さん

そうだね。よく棒を水の中に入れると、折れ曲がって見えるよね。 光も音も波だから、同じように屈折の現象が起きるんだ。

おとくん

ふーん。 屈折が媒質を伝わる波の速さの違いで生じるのはなんとなくわかったよ。 でも、津波が岬のところに波が集まって高くなるのと波の屈折はどう関係するの?

お父さん

そうだね。その前に同じ媒質の中でも例えば空気中でも気温が大きく違うと速度が変わるから屈折現象が起きるように、水の中で波が進む速度が変わると屈折が起きるんだ。

おとくん

水の中で波が進む速度が変わるって、どういうこと?

お父さん

津波の波が進むときの伝搬速度は、実は海底までの深さが影響するんだ。水深が浅いほど、津波の伝搬速度は遅くなるんだ。

おとくん

なんとなくわかってきた。岬と海の深さが関係しているんだね。

お父さん

地上の等高線と同じで、水面から海底まで同じ深さのところを結んだ線を等深線っていんだ。 岬の周辺の等深線を考えてみると、普通はこの図(図2)のように、舌状に張り出し形に合わせて等深線が引かれる地形だとすれば、横に引いた線Aの位置では岬の先端に近いとほど水深が浅いことになるだろう。 そこの波が進む速さは遅くなるから、屈折した波が集まることになるんだ。

図2

おとくん

なるほど良く分かったよ。 クラスの皆にも説明してあげよう。
・・・先生知っているかな!?

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