そこが、もう一つの鳴き竜のなぞだね。音が繰り返し聞こえてエコーのようになる理屈は、さっき説明したとおりだけど、もとの音と変わった音に聴こえるには別の理由があるんだ。まず、人間は、継続時間が短い音(パチッという音:パルスという)で連続して聴こえてくる場合、1つの音と音との間隔が、50 ms (0.05 秒) より短くなると音が分離して聴こえず、1つの音として聴こえるんだ。逆に音と音の間隔が 50 ms より長くなると、分離して聴こえる。元の音波がパルスの場合はフラッターエコーといって、パタパタとした音になる。
おとくん
音は、1秒間に約 340 m 進むんだよね。だから 0.05 秒ということは、2つの音が17 m 離れたところから届くと分離して聴こえるけど、それ以下だと一つの音になってしまうということなの?
お父さん
正確に言うと、おとが聴いているポイントを受音点とする。その受音点に到達する2つの音に時間差が 50 ms 、距離差にして 17 m を境に、2つに聴こえたり、一塊で聴こえたりするということなんだ。だから、日光の鳴き竜は、反射経路の長さからすれば、一つ一つの反射音は分離して聴こえてないはずだね。(※注1)
連続的な音の場合のサンプルがあるから聴いてごらん。
これは、単一周波数(純音という) 1000 Hz の音に周期的な時間変動を与えていて、ゆっくり変動している場合から徐々にすばやく変動させた場合の音のサンプルなんだ。 連続的な音でも、やはりその周期が 50 ms (20 Hz) を超えると、その周期を捉えることができるようになるんだ。