音の大きさ

音の大きさ

おとくん

ちょっと面白い事に気がついたんだけど。

お父さん

何かさっきからテレビの音を大きくしたり小さくしたりしていたね。 そのことかい?

おとくん

うん。 ヘッドホンをしていて、少しずつ音のヴォリュームを上げていくと高音の音はあまり変わらないのに、低音の音が聴きやすくなって、逆に小さくすると低音が聴きにくくなるんだ。 ヘッドホンの問題かな?と思って、テレビでも試してみたんだけど、同じだった。

お父さん

それは面白いことに気がついたね。 おとが感じた音の大きさの変わり方は、正しい感覚だよ。

おとくん

やっぱり、そうなんだ。 大きい音のほうが、低い音が大きく聴こえるということなんだね。

お父さん

以前、騒音レベル *の話をしたこと、おぼえてる?

おとくん

なんとなく。 人の音の大きさに関する感覚って、周波数によって違ってて、それを補正したのが騒音レベルだよね。

お父さん

そうだね。 この間は、その程度にしか説明してなかったと思うから、今日は、もう少し丁寧に説明してあげよう。 おとが言うように、人間の聴覚は、同じ音圧レベルでも、周波数によって異なる大きさに聴こえるようにできている。

おとくん

確か低い音の方が、人は鈍感なんだよね。つまり、大きい音を出さないと、高い音と同じ大きさに聴こえないということだよね。

お父さん

そう。 このグラフを見てごらん。 これは 純音の等ラウドネス曲線 といって、様々な周波数の音が感覚的に同じ大きさに聞こえる音圧レベルを結んで作られる 周波数特性 なんだ。

 

音の大きさのレベル

おとくん

赤と青の線があるけれど、赤い方を見ればいいんだよね?

お父さん

うん。 数年前に、膨大な実験を行った結果を反映して規格が変わったんだ。 1000 Hz の音が基準で、例えば、40 phon *1 のラインでみると、 1000 Hz の音圧レベルは 40 dB なのに対して、125 Hz は 60 dB 、63 Hz は、73 dB ぐらいになっているのがわかるだろ。

おとくん

ということは、1000 Hz で 40 dB の音と同じ大きさに聴くためには、125 Hz では、それより 20 dB 大きな音圧レベルで、 63 Hz では、33 dB 程度大きな音圧レベルで聴かないといけないということなんだね。

お父さん

そうだね。 ただ、おとが気がついたポイントは、音の大きさを変えたときに高い音と低い音の大きさのバランスが変わったように感じたことだよね。

おとくん

うん。 だから、このグラフでは、40 phon のラインと、例えば・・・80 phon のラインを比べてみればいいんだね。

お父さん

80 phon のラインでは、 1000 Hz の音圧レベルは 80 dB 、125 Hz は、 90 dB の音圧レベルで同じ大きさになる。 40 phon のときのこの差が 20 dB だったから、 10 dB の違いがあるわけだね。

おとくん

逆に 1000 Hz より周波数が高い音の場合は、音の大きさにはあまり影響されていないんだね。 大きな音にした時に特に低音域が大きくなった感じがしたのは、こういことだったんだね。

お父さん

そうだね。 騒音レベルのA特性という周波数重みつき特性は、日常的な騒音として最もありうる音のレベルとして 40 dB の音を代表として考え、40 phon の純音の等ラウドネス特性のほぼ逆特性を用いて、聴感を補正した騒音の評価値として1930年代から長年使われたてきたんだよ。 *2

おとくん

そんなに長い間使われているんだ?

お父さん

そうだね。 それだけ、優れた評価値ということが言えるね。 これだけ複雑な音の大きさについての感覚を1つの数値で表現できるのは素晴らしいことだからね。

おとくん

でも、40 dB の音が基準になっているから、それより小さな音や大きな音の場合の騒音レベルは、音の大きさの感覚とずれるということだよね。

お父さん

その通りだね。それだけではなくて、音の大きさは、ずいぶん前に話をしたマスキングという効果とも関係しているんだ。

おとくん

そうだったね。それは、また、今度詳しく聞きたいなあ。

*騒音レベル: A特性音圧レベル

*1 phon (ラウドネスレベル)定常音について、正常な聴力を持つ人が、その音と同じ大きさに聞こえると判断した1 kHz の純音の音圧レベルの値を、“音の大きさのレベル” 

*2 A特性の周波数特性は、1930年代に米国ベル研究所のフレッチャー氏とマンソン氏によって求めらた 40 phon の純音の等ラウドネス曲線 を元に定義され、以後、変更されていない

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