平均律と倍音

平均律と倍音

おとくん

今日音楽の時間に平均律のこと習ったんだ。この間お父さんが,オクターブのこと教えてくれたでしょ。だから、先生の話,とても分かりやすかったよ。今は,平均律って言うと1オクターブを12等分する12平均律を指すそうだけど,現在のような12平均律になるまでにはいろんな平均律が造られてたんだって。360平均律まであったらしいよ。

お父さん

へぇ,それは初めて聞いたよ。360平均律っていうと,半音の間に,30も音があるってことだよね。それで音楽ができるのかな。12平均律は、オクターブを整数等分し、その一つを最小単位の音程として成立させた等分平均律なんだ。ある音楽を、鍵盤の上で半音上や半音下にずらしても、ギターのカポタストをしても、同じ音楽が演奏できるのは、音と音との周波数の比率が、そのまま保たれているからなんだ。

おとくん

つまり、12平均律では、移調だとか転調ができるから、楽器を作る上からも演奏面からもとても有利なんだね。先生は、純正律のことも教えてくれたよ。純正律ではあらゆる音程の音が,周波数が簡単な整数比になっているんだよね。だから,その和音は,調和して聞こえるんでしょ。平均律の和音が,どことなく濁っているように聴こえるって,先生は言ってたけど,僕にはよくわからない。

お父さん

純正律の音程の周波数が簡単な整数比になっているのは,12平均律のように人間が楽器を作る上で便利なように創造したものではなく,自然界の法則なんだ。人間が聞いて“心地良い”と感じる 2 つの音の組み合わせは周波数が単純な整数比となっている。これらの響き合う音の組み合わせは“音色”に重要な影響を与える「倍音」と密接な関係にあるんだよ。

おとくん

倍音?

お父さん

ギター弦のちょうど真ん中の12フレットのところを軽く触れた状態で弦を弾くと、ツーンと純粋な音が出るだろう。

おとくん

ハーモニックス奏法だよね。ギター習い始めたから、知ってるよ。でもなぜそんな音がでるんだろう。

お父さん

ハーモニックスで音を出している時にギターの弦を観察してごらん。よく見ると、ギターの弦は、特殊なゆれ方をしているんだ。真ん中の指を触れたところが、指を離した後も止まったままで、まったく振動していない。そして、その左右は2つの山を作って振動しているんだ。12フレットでハーモニックス音を出したとき、普通に開放弦を弾いて出る音のオクターブ上の音が出てくる。12フレットは、弦の長さのちょうど半分で、2倍音でオクターブ高い音になるんだよ。

おとくん

じゃ、弦の長さが 1/ 3のところでハーモニックス音を出すと、3オクターブ上の音がでるの?

お父さん

それは、間違い。考えてごらん。オクターブは、周波数が倍、倍になるということだったよね。 500Hz の1オクターブ上は 1000Hz 、さらにもう1オクターブ上は 2000Hz   ・・  って。 1/3 の7フレットところを触れば3倍音が出るんだ。それは,開放弦の音と完全5度の関係になるんだよ。また、 1/4 の5フレットなら4倍音となる。これは、2オクターブ上の音になる。

おとくん

完全5度?

お父さん

1:2の関係がオクターブで,1をドとすると,2は,1オクターブ上のド,1:3 の場合の3は,完全5度上のソに相当するんだ。このように,音の周波数が単純な整数倍になっていることで,和音が美しく響くんだよ。 ギターの5弦の開放はA(ラ)の音だよね。5弦開放をポーンと弾いた場合,110Hzの音が出る。だけど,実際には,110Hzの音だけではなくて,110Hzの2倍,3倍,4倍・・・といった基音に対して整数倍の周波数の音が同時に出ているんだ。この倍音は,楽器だけじゃなくて,人の声にも,車の音にも、自然界の音にはすべてに含まれているんだ

おとくん

倍音がどう含まれているかで,音は違って聞こえるの?

お父さん

そうだね,音それぞれが持つ固有の音色ということだね。普通,倍音が多く含まれる音は固くて明るい印象の音になって,逆に倍音成分の少ない音は,丸くてこもった感じの音になると言われてるんだ。倍音がまったく含まれない基音のみの音はサイン波と呼ばれ,オシロスコープで見るサインのグラフの波形になっているんだよ。自然界では、1つの音源から発せられる複合音の中で、一つの倍音成分だけが強調されることは、ほとんどないそうなんだ。だから、ある空間の中で、強調された倍音があると、人間の聴覚は、別の音源から出た音として分離して解釈するようなんだ。それがカクテルパーティ現象を説明する一つの要因なんだよ。

おとくん

カクテルパーティ現象?

お父さん

そのテーマは次また話してあげるね。

平均律というのは下のドから上のドまでを均一に 12 個の音に振り分けた音律です。
したがって, X の 12 乗 =2 となる X がその比率となります。

その X は, X=1.059463094 ・・・となります。年率 6% の利子がつくと 12 年で元金の約 2 倍になると考えれば解りやすいと思います。下記に純正律の比率と比較してみます。
例えば,ミの音は,純正律では,基音ドの 1.25 倍に対し,平均律では,ほぼ 1.26 になり,約 0.8 %の違いがあります。
平均律の和音の響きの濁り(?)は,そこに起因したものです。

 

純正律
 
平均律
(基音) 1
 
(基音) 1
9/8 = 1.125
  Xの2乗= 1.122462047
5/4 = 1.25
  Xの4乗= 1.259921048
ファ4/3 = 1.333
  Xの5乗= 1.334839851
3/2 = 1.5
  Xの7乗= 1.498307073
5/3 = 1.666
  Xの9乗= 1.681792825
15/8 = 1.875
  Xの11乗= 1.887748618
' 2
  Xの12乗= 2

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