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MBDへの取り組み

MBD Initiatives

若手社員が挑む新領域への挑戦

“開発のデジタル化やMBDに貢献したい”という一人の若手社員の情熱から始まったNVシミュレーターの開発。その挑戦は組織の垣根を超え、今では次代を担うプロジェクトとなりました。今回は、その中核メンバーに「今の想い」を聞きました

音・振動とシミュレーションの融合

これはどのようなものなのでしょうか。
松本

あたかも実際の道路を走っているかのように音と振動を再現することで、“人が走行中に音や振動をどう感じるか”をシミュレーター上で評価できるシステムです。実際のものづくりに役立てていただくため、体感できるだけでなく設計値に紐づけてモデル化できる仕組みの構築を目指しています

どんなきっかけで始められたのですか?
松本

自動車開発ではMBDが進んでおり、そこに何か貢献できることはないか、と考えたのが発端です。

  • コネクトラボ 係長 松本 拓也

    コネクトラボ
    係長

    松本 拓也

  • アイデア実現ラボ 係長 柏﨑 紘

    アイデア実現ラボ
    係長

    柏﨑 紘

  • アイデア実現ラボ 村木 亜未香

    アイデア実現ラボ
     

    村木 亜未香

調査や研究を行う中で、自動車業界における“人の感じ方にフォーカスした技術”に興味を持ちました。当社はシミュレーションを活用したテストベンチシステム(RC-S)と音・振動の計測技術の両方を持ち合わせているので、それらを体感が可能なシミュレーターシステムでつなぐ技術を構築できればMBDにもアプローチできるソリューションになると考えました。最初は一人で始めたので、とっかかりの部分は大変でしたね
  • コネクトラボ 係長 松本 拓也

    コネクトラボ
    係長

    松本 拓也

  • アイデア実現ラボ 係長 柏﨑 紘

    アイデア実現ラボ
    係長

    柏﨑 紘

  • アイデア実現ラボ 村木 亜未香

    アイデア実現ラボ
     

    村木 亜未香

最初は一人だったのですね。
松本
そうですね。最初は私だけで調査や研究を始め、そこに柏﨑さんが取り組まれていた音の収録再生に関する研究内容を掛け合わせてシステムを作り、新たに合流した村木さんにそのシステムを用いた感性評価や感性モデルづくりの検討を行っていただいています。お二人には本当に色々と助けてもらっています
柏﨑
私たちだけで進めているのではなく、社内の方からも『既存の技術でこれが使えるのでは?』とアドバイスを頂くこともあります
村木
以前、社内実験を行った時も多くの方が参加してくださって本当にありがたかったです
柏﨑
その時も色々なアドバイスをフィードバックしていただきましたね
村木
参加された方に既存技術の活用を提案していただき、実際に感性モデルに取り入れたこともあります
社員3名の写真
社内の賛同者が増え、色々な方の知恵が取り入れられているのですね。
松本
はい。何気ない雑談からつながることも多いですね。『面白そう』と前向きに話を聞いてくださる方が多く、嬉しい限りです

試行錯誤をしつつも常に前向きに

皆様の役割分担はあるのですか?
松本
今のところ明確に決めた役割はありません。自分の興味のあることであれば、括りは必要ないと思っています
積極的に色々なことに挑戦できる体制なのですね。
この取り組みで苦労されたことは?
松本
私は元々機械設計が担当で、シミュレーションや音・振動に関わったことがなかったので、最初は基礎的な知識がなく苦労しました。試行錯誤を繰り返し、失敗もありましたが先輩方に教えていただきながら学んでいきました。興味のあることにはポジティブに取り組める性格なので、学ぶこと自体は楽しかったです
柏﨑
私は通常業務として音・振動の受託測定を担当していますが、この取り組みは自動車がメインなので、『自動車の音や振動にはどういった問題があるか』『どの周波数帯域を扱っているか』等を勉強する必要がありました。そのため、通常業務の方でも自動車関連の測定を多く担当させていただき、今現在もこの取り組みと通常業務と相互にレベルアップしていけるよう勉強中です
村木
この取り組みに限ったことではないですが、私たちは自動車そのものを作ってはいないので『どういうシステムがお客様にとって嬉しいか』がなかなか想像できないこともあり、そこが個人的に難しいと感じています。ただ、当社の先輩方は自動車開発に長年寄り添ってこられているので、先輩方とコミュニケーションを取りながら理解を深め、お客様にとって最適なシステムづくりに貢献していきたいです
反対に、良かったことは何ですか?
村木
どう取り組めばいいのか悩むこともありますが、進めていくと『これか!』とパッと道が開ける瞬間があり、自分の知識の広がりを感じて嬉しいです
まさに「未知を拓く」瞬間ですね。
村木
そうですね。このシステムはまだこれから実用化に取り組む製品なので、実用化できた時のことを考えるのも楽しいです
柏﨑
私は収録データやモデルで生成したデータをシミュレーターに流している時が一番楽しいです。『リアルに再現できた』と感動する時もあれば『まだまだか』と思うこともあり、人間の知覚の面白さを実感しています
松本
同感です。私自身としては仲間ができ、三人で取り組めているのも楽しいです
最後に、今後の展望を教えてください。
松本
モデルを活用することで、個々に最適なパラメーターの設計をスピーディーに行えるシステムにしていきたいです。今後は自動車に限らずさまざまな業界で、個人にパーソナライズされた製品が求められていくと思います。自動車でもその人好みの車室内を作るという、そこにこの技術で貢献していけたらと思います
村木
感性価値は“付加”価値といわれますが、豊かな暮らしの実現においては重要なものだと思います。感性と物理を紐づけることは非常に難しいですが、その実現に向け、私たちのシステムが縁の下の力持ちになれると嬉しいです
柏﨑
お二人と考えが同じで驚きました。人間中心のデザインを支える技術として、私たちの生活を豊かにするものづくりをサポートできるといいなと考えています
社員3名の写真