自動車用マフラーの音響透過損失 <CAEと実験解析>

自動車の排気系部品の一つであるマフラーがもつ重要な機能が消音特性です。一般的に、排気音には音圧レベルによる法的な規制があり、放射騒音を低減するために、マフラーの構造にさまざまな工夫が施されてきました。 マフラーの開発工程では、エンジンに組み付けたマフラーの実稼動時の音(音圧の周波数特性等)を、マフラーの消音性能評価に利用します。すなわち、試作後の実験によって初めて消音性能の評価が可能となります。他方、車両の設計開発期間短縮を推進するために、設計初期段階でのCAEによる消音特性の事前評価が求められてきました。

今回ご紹介するアプリケーション例は、マフラーの音響 CAE によって得られる伝達関数から、四端子法で音響透過損失特性の近似解を求めるものです。この方法によって、マフラーの初期設計段階において構造変更等を効率良く検討できるようになります。

なお、この CAE による解析結果は、実験結果と比較して良く一致しています。

 

CAE:Computer Aided Engineering の略
CAD データについてコンピュータを使用してシミュレーション(解析・評価)を行い、製品開発を支援すること。 あるいは、そのためのツールの総称。

四端子法を用いて透過損失を推定する際、推定対象とする系の音響特性が、式1に示す四端子行列で表されるとすると;


 

式1


四端子行列を式2に代入して、透過損失 TL(Transmission Loss)を算出することができます。

 

式2

 

ここで、は、それぞれ音源側と透過側の特性インピーダンス密度を、ZS、ZTはそれぞれ音源側と透過側の特性インピーダンスを表しています。マフラーのような複雑な系では、直接 K を求めることが出来ないため、上図に示す手順により、系の前後の音圧比から式1の四端子行列を推定し、式2より音響透過損失を計算しています。



当社では、CAE による予測と同様の実験計測解析を行うことが可能です。マフラー型音響管の伝達関数計測実験システムを次図に示します。一端をスピーカで音響加振し、管に取り付けた4本のマイクロホンで音響伝達関数を測定します。他端の境界条件を「1.完全反射」と「2.多層吸音材」の2パターンとして伝達関数をそれぞれ測定し、音響透過損失を計算します。

CAE では、管内の音響媒質(空気)に相当する有限要素モデルを作成し、スピーカ面に相当する節点に加振して伝達関数を求めます。 CAE ソフトには、汎用構造解析プログラムのスタンダードである MSC.Nastran の動解析を使用しています。


機器構成

詳細に関しましては当社営業員または当社音響振動コンサルティンググループまでお問い合わせ下さい。

測定データ例

この手法を2種の市販マフラー(A、B)に適用してみます。市販マフラーAについて、CAE または実験から得られた伝達関数を用いてそれぞれ音響透過損失を計算した結果を、次図に示します。 図より、CAE による音響透過損失予測が実験をよく再現していることがわかります。

市販マフラー:A

なお、次図に示す市販マフラーBの周波数 1 kHz 〜 1.5 KHz の帯域では、CAE と実験との相関が良くありませんが、これはマフラー径方向の音響モードに寄与する何らかの製品上の特性が、音響透過損失の不安定要因になっているものと推測されます。
(市販マフラーBは市販マフラーAとは異なりマフラー内部が隔壁によって三つのチャンバに分断された複雑な音響空間を構成して います。そのために、周波数 1 kHz 〜 1.5 KHz の間にマフラー径方向の音響モードが多数あります。)

市販マフラー:B

CAE または実験データから、四端子法によりマフラーの音響透過損失を求めることができます。
周波数 1 KHz 以下でのマフラーの音響透過損失について、CAE と実験計測との間で良好な相関があり、設計初期段階に CAE で構造の検討ができます。

小野測器では、本アプリケーションによる CAE 解析または実験計測を、音響・振動に精通したコンサルティンググループで承っております。

詳しくはこちらのページを参照下さい。

最終更新日:2006/09/19



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