メールマガジンバックナンバー

メールマガジン66号補足

■円運動をしている球体の影の時間経過

 

図1

■初期位相のあるcos波

 

 

FFTアナライザーはA、Bを求めている。そして
A、BよりK、θを計算し表示している。

図2

■実数、虚数、フーリエスペクトルMAG表示、位相、パワースペクトルの関係

図3

任意の振幅で100Hzのcos波を入力し適当なレベルでトリガーをかけて測定しました。cos波なのでわかりやすくするため片振幅(0-P)表示としています。また、位相のX軸は拡大しみやすくしています。

測定データを読み取ると次のようになります。

左上:TIME波形(ピーク値) 0.876V
左下:パワースペクトル(0-P表示) -1.14dBV
中上:リニア表示のパワースペクトル(0-P表示) 0.877
中下:位相 65.7deg
右上:実部(0-P表示) 0.361V
右下:虚部(0-P表示) 0.799V

このデータから、今回の話に沿ってデータの関連をみていきますと、次のようになります。

FFT(高速フーリエ変換)で求まるのは図3右上、右下のデータA、Bです。

A(実部)=0.350V、B(虚部)=0.804V

これより入力波形の振幅K、初期位相θは;

この値は図3の中上、中下データに表示されています。TIME波形は;

であることになります。パワースペクトルは;

 

<補足説明> 

実部、虚部について

実部、虚部は複素関数にでてくる用語です。オイラーの公式は;

オイラーの公式は指数関数も包含しているため複素指数関数といわれます。複素指数関数はcosとsinが複素数を表すjで合体されて、cosとsinを同時に扱えて便利な記号です。jのつかない数Aは【実数】、jの付いた数jBは【虚数】といいます。また、jのつかない項Aを【実部】、jの付いた項Bを【虚部】といいます。FFTアナライザーの場合、実部はcosの項、虚部はsinの項と理解してしまっていいでしょう。

さて、式(2)に相当する複素関数式は;

式(6)、式(7)は複素平面(ガウス平面:X軸は実部、Y軸は虚部)では実に対して対称の関係になり【共役複素数】といわれています。 下図4は式(6)(7)を複素平面(ガウス平面)で表わしたものです

 

 

図4

 

式(2)と式(6)(7)を比べてみましょう。極性±を無視するとどちらもA、B、K、θの関係は同じ関係にあることがわかります。FFT(高速フーリエ変換)の演算は複素数の計算になりますが、cosの項A、sinの項Bを求めていると思えば、FFTアナライザーを理解したようなものです。