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34号 2004年7月22日発行

 小野測器                     2004年7月22日発行
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ONOSOKKI -- info channel                                      第34号
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********************7月のコンテンツ ******************************

▼お知らせ

 ○2004年秋季音響・振動技術セミナー参加者募集【受付開始】

▼身近な計測コラム第13回

 ○「オクターブ」

▼製品 サービス

 ○SV-5100 車速距離計(第5輪用)【新製品】
 ○ブレーキ性能試験用計測装置【新製品】
 ○走行性能試験用ツール【新製品】
 ○惰行試験用ツール【新製品】
 ○情報データ計測システム【新製品】

▼技術レポート

 ○「音質評価とは」【新規】

▼DXF/PDF外観図サービスページ

 ○MI-1531 計測用マイクロホン
 ○MI-3140 マイクロホンプリアンプ
 ○AGシリーズマイクロホン延長ケーブル
 ○DG-3060 ゲージセンサー用インタフェースボックス
 ○AAシリーズリニアゲージセンサー用アクセサリ
 ○STシリーズゲージスタンド

▼計測コラム

 振動解析 -7 「伝達関数よもやま話−3」

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   (お願い:リンクURLが複数行に渡る場合には繋げてください)

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◆◇◆お知らせ◆◇◆
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 ■2004年秋季音響・振動技術セミナー参加者募集受付開始

  皆様にご好評を頂いている音響・振動技術セミナーの秋季開催日程
  が決定し、20日よりホームページ上での参加者募集を開始いたし
  ました。秋季セミナーの会場は名古屋と大阪、参加費用は、税別
  お一人 \25,000です。この機会にぜひご参加をご検討ください。
  参加のお申し込みは、ホームページ上の募集要項(PDF)からオンラ
  インで簡単に行うことが出来ます。

  9月10日「FFTアナライザーの基礎と実習」(名古屋会場)
 10月15日「FFTアナライザーによる振動解析」(大阪会場)
 11月11日「騒音測定の基礎」(名古屋会場)

  https://www.onosokki.co.jp/HP-WK/seminar/seminar.htm

  募集を開始いたしますと、例年9月分が2週間後、10月分が3週間
  後、11月分が1ヶ月後に定員の20名に達しておりますので、お申
  し込みはお早めに。

 

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◆◇◆身近な計測コラム◆◇◆
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 ■第13回「オクターブ」

  騒音評価指標としての「騒音レベル」と「1/3オクターブ」の意味と
  違い、並びにそこからの使い分けを例を掲げながら分かり易く解説し
  ました。

  http://www.onosokki.co.jp/HP-WK/nakaniwa/nakaniwa.html#keisoku

 

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◆◇◆製品 サービス◆◇◆
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走行性能測定システムとして次の5製品を新規追加しました。

 ■SV-5100 車速距離計(第5輪用)【新製品】

  走行性能測定用第5輪を使用し、ブレーキ評価基準 MFDD(平均飽和減
  速度)、ABS 制動試験での減速度・距離・時間を演算・表示します。
  プリンタ内蔵、車のダッシュボード上に設置可能な小型・軽量タイプ。
  制動中に摩擦係数の異なる路面の境界線を通過した時点の速度表示が
  でき、「粘着係数の低下(上昇)に対する性能確認試験」などにも有効
  です。

  http://www.onosokki.co.jp/HP-WK/products/keisoku/vehicle/sv5100.html

 ■ブレーキ性能試験用計測装置【新製品】

  空間フィルタ式非接触速度センサーや第5輪等と組合せ実車でブレーキ
  試験を行うシステムです。収録データや収録条件を予め設定しておく
  ことで、目的に合った試験を効率的に行うことができます。
  収録したデータは、LV-0833 時系列データ処理ソフト (オプション)、
  または Excel等の市販ソフトで解析が可能です。

  http://www.onosokki.co.jp/HP-WK/products/keisoku/vehicle/braketest.html

 ■走行性能試験用ツール【新製品】

  空間フィルタ方式非接触速度センサーを使用し、惰行試験、発進加速試験
  や走行燃費試験等の走行性能試験を安価に精度良く簡単に行えます。
  試験結果は、USB接続計測ボックスを経由し、パソコンでリアルタイムに
  グラフ表示すると同時に、各試験モードにより速度・距離・時間・燃料
  消費量や加・減速度データを収録します。収録したデータは、Excel等の
  市販ソフトで解析が可能です。

  http://www.onosokki.co.jp/HP-WK/products/keisoku/vehicle/runningperforamnce.html

 ■惰行試験用ツール【新製品】

  非接触速度センサーと風向風速計を使用し、相対風速・相対風向を計測し
  ながら、気温・大気圧等で惰行データを補正し、SAE J2263法に対応した
  惰行試験を行い、走行抵抗値を求めます。計測データは収録用パソコンに
  数値及びグラフ表示するとともに、プリンタへの出力が可能です。

  http://www.onosokki.co.jp/HP-WK/products/keisoku/vehicle/coastdown.html

 ■情報データ計測システム【新製品】

  渋滞緩和・高速道路安全・排出ガス実態・燃費実態・高齢者運転挙動・
  夜間運転等の交通環境調査をするために情報データロガーを搭載した
  車両の需要が増えています。本情報計測システムは、自動車が道路上を
  走行するときの道路状況による燃費や、排出ガス等の実態を観測するこ
  とを目的とし、時間的・空間的に連続して各種計測データ・車窓画像
  データ、及びGPSによる位置情報を一括して同期収集するための装置を
  搭載しています。

  http://www.onosokki.co.jp/HP-WK/products/keisoku/vehicle/zda2017.html

 

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◆◇◆技術レポート◆◇◆
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■「音質評価とは」

  自動車をはじめ、家電製品や事務機器では基本性能の追求と同時に使用
  時の音に関わる快適性が大きくクローズアップされるようになってきま
  した。従来、こうした機器の音評価には音圧レベルや音響パワー等の物
  理量が使用されておりましたが、最終的な騒音の判断は人間の聴覚にゆ
  だねられることから、評価にあたっては物理量と関係づけられた心理音
  響評価量が用いられるようになってきました。
  心理音響評価量は、人間が聞いた時にどう感じるかを定量化したもので、
  音質評価量からどのようにしたらその音質を改善できるかを知る手がか
  りが得やすくなっています。心理音響技術を使用して、機器の設計へと
  フィードバックして いく手法が、音響設計と呼ばれる方法です。

  http://www.onosokki.co.jp/HP-WK/c_support/newreport/soundquality/index.htm

  ◆技術レポートトップページはこちらから;

   http://www.onosokki.co.jp/HP-WK/c_support/newreport/index.htm

 

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◆◇◆DXF/PDF外観図サービスページ◆◇◆
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■音響振動関連製品に以下外観図を追加

  -MI-1531 計測用マイクロホン
  -MI-3140 マイクロホンプリアンプ
  -AGシリーズマイクロホン延長ケーブル
   (AG-3301/3302/3303/3304、AG-2010/2030)

  http://www.onosokki.co.jp/HP-WK/c_support/outerview/sv_products.htm

■リニアゲージ関連製品に以下外観図を追加

  -DG-3060 ゲージセンサー用インタフェースボックス

  -AAシリーズリニアゲージセンサー用アクセサリ
   ◇AA-3300取付金具 ◇AA-4100/4101&AA-843/854/975防塵ゴム
   ◇AA-812/813/816レリーズ ◇AA-844/845延長スピンドル、
   ◇AA-968裏カバー     ◇AA-969フィンガーリフト、
   ◇AA-971リフトレバー   ◇AA-972レリーズリフタ)

  -STシリーズゲージスタンド
   ◇ST-022/044B/005

  http://www.onosokki.co.jp/HP-WK/c_support/outerview/gage.htm

 <外観図トップページ>
  http://www.onosokki.co.jp/HP-WK/c_support/outerview/overallview.htm

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◆◇◆計測コラム◆◇◆
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  振動解析 -7 「伝達関数よもやま話−3」

 (6)伝達関数とボード線図

 伝達関数はある伝達系の入力と出力の関係をあらわします。
 伝達関数=出力信号/入力信号 として、伝達関数を周波数ごとの振幅比
 と周波数ごとの位相差(入力信号を基準にして)の一対であらわす方法
 がボード線図です。インパルスハンマと加速度センサーで打撃試験をする
 場合は、入力信号はインパルスハンマの力信号(単位 N)、出力信号は加
 速度センサーの加速度信号(単位 m/s2)、打撃した点と加速度センサーを取
 り付けた測定点間が伝達系となります。出力/入力である振幅比
 (加速度/力)は、力を1N で加振したとき加振された測定点の加速度の
 大きさを表しますから、任意の大きさの力が加わったときどのような大
 きさの加速度になるか予測するには、その力の大きさを伝達関数に掛け
 るだけで求めることができでます。このようなことから周波数応答関数
 (伝達関数)はフィルター特性(関数)と考えると理解しやすいでしょ
 う。ここでの注意点は力の波形も加速度の波形もフーリエ変換できます
 から周期関数、簡単に考えるとある周波数の sin 波と考えることです。
 例えば測定されたボード線図より 10 Hz の振幅比が 0.8(m/s2/N)とする
 と、大きさ 2N で正弦波 10 Hz の力がかかった場合の加速度は 0.8×2=1.6
 (m/s2)となります。このようなことから周波数軸で表現されるボード
 線図は良く利用されます。

 (7)周波数応答関数と伝達関数

 周波数応答関数と伝達関数を混同して使用しましたが、一般的にFFTアナ
 ライザで測定されるものは周波数応答関数 FRF(Frequency Response
 Function)と呼ばれ、

  FRF=入出力のクロススペクトル÷入力のパワースペクトル
  (または出力のパワースペクトル÷出入力のクロススペクトル)

 で求められています。
 伝達関数(Transfer Function)は測定対象のインパルスレスポンスの
 ラプラス変換で定義されますが、実用的には両者はほとんど同じ意味で
 用いられています。
 さてFFTアナライザーで求める周波数応答関数は、入力信号が力でそ
 の応答である変位、速度、加速度のうち、どれを取って表現するかによ
 り表1のような名称が定められています。

  ◆表1はこちら

   http://www.onosokki.co.jp/HP-WK/eMM_back/04_07_22add.htm

 (8)動質量、動剛性の意味

 これらの周波数応答関数はそれぞれどのような意味を表しているのでし
 ょうか。動質量=力/加速度 の物理的な次元を考えてみましょう。

 力(N)= 質量(kg)× 加速度(m/s2)ですから

      力/加速度 = 質量(kg)

 になります。
 同様に動剛性の力/変位は、力=バネ定数×変位ですからバネ定数
 (剛性)になります。
 周波数応答関数は周波数特性であり、質量を M、剛性を K とすると

   周波数=1/(2π)・√(K/M)   ・・・(1)
            (K/M )はルート中を示す

 ですから周波数応答関数は質量の変化、剛性の変化と見ることができま
 す。

 この質量の変化、剛性の変化についてもう少し考えていきましょう。
 体験的に振動しているものに振れると振動の大きさが下がるところと、
 下がらないところがあります。これは振動的には変化しやすい腹のとこ
 ろと変化しにくい節のところと考えられ、実際それぞれの位置で振動測
 定を行うと変化しやすいところでは振動は大きく、変化しにくいところ
 では振動は小さいことが観測されます。そのときの腹、節の点の周波数
 応答関数は図1のようになります。

  ◆図1はこちら

   http://www.onosokki.co.jp/HP-WK/eMM_back/04_07_22add.htm

 図の内容を周波数応答関数的な見方をすると、Y 軸は比率ですから上述の
 様に力が一定と考え、腹の部分は加速度が大きくよって周波数 f1 におけ
 る質量は小さく動きやすい個所、節においては質量が大きく動きにくい
 個所になります。質量が大きいほど、手で触って加わる質量(付加質量)
 の影響が少ないことは、測定対象を支持する点を節にとることの理由で
 す。腹の部分に触ると、わずかな付加質量で全体の質量が変わり、共振
 周波数 f1 が低い方向へ変化します。測定対象が軽い物では加速度センサー
 はできるだけ軽量のもの、場合によっては非接触式の変位計やレーザード
 ップラ振動計を使う理由がここにあります。重たいものを動かそうとし
 たら大きな力がいることでも感覚的にわかりますよね。

 さて、付加質量がある場合の周波数は m:付加質量、共振周波数 f2 と
 すると式 (1)より

   f2=1/(2π)・√(K/(M+m)    ・・・(2)

 になります。(8)項で述べたように M+m=力/加速度は振動モードの形と
 その周波数 f2 によって決まる動的な物理的定数とみなすことができます。
 f2 をいろいろな周波数として考えると、これは重さを秤で測るような静
 的な質量とは異なり、振動解析上の動的質量と呼んでいます。
 同様に K=力/変位も動的剛性(動剛性)と呼ばれます。

 (9)機械インピーダンス

 質量、バネ定数のほかにもう1つの振動要素として減衰があります。
 力/速度(N/ms−2)は減衰を表します。機械系の要素は電気系の要素
 とそれぞれ

        電圧 V=起振力 F、
        電流 I=速度 u、
        抵抗 R=減衰 R、
     コンデンサ C=(1/バネ定数) C、
   インダクタンス L=質量 m

 と対応して考えることができます。
 インピーダンス(R、C、L)=V/Iは力/速度ですから力/速度は機械イ
 ンピーダンスとよばれ、(9)項と同様に動的な減衰を表しています。
 減衰は構造内部の内部減衰と粘性減衰などの外部減衰との合成です。こ
 の減衰量は損失係数測定などとして試験して求めていますが基本的に温
 度や計測条件によって変化する性質があり、測定にはこのことに留意す
 る必要があります。

 (10)振動モード

 振動モードがどのようになっているか調べるには、加振点を1箇所定め、
 測定対象の形状を表すように測定点を複数設定し周波数応答関数の測定
 を行います。これは周波数応答関数の測定で加振力に対する応答(変位、
 速度、加速度)は測定点での分散された質量とバネ定数の測定を行ってい
 るといいなおすことができます。よって、一般的な構造物の振動は連続体
 の振動を各測定点における集中質量・バネ定数のモデル作成のためのデー
 タ収集を行っていることとなります。
 実際は測定されない点も多くあり無限質点系モデルである測定対象を有限
 の測定点でモデル化をおこなうことになり、モデル誤差として内在されて
 いることに注意する必要があります。
 ボード線図から簡易的に 10 Hz の振動モードを描くには、各加速度測定点の
 位置を X 軸に取ります。各測定点の 10 Hz の位相差、振幅比を読取り、位相
 差の極性が+では Y 軸の+方向へ、位相差の極性が−では Y 軸の−方向へ、
 振幅比の大きさ分の座標点にマークを付していきます。マーク点を線でつ
 なぐと 10 Hz の振動モードを描くことができます。

                          (by sawa)

バックナンバーはこちら:

   http://www.onosokki.co.jp/HP-WK/eMM_back/backcontents.htm

 

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編集後記

 新潟・福井地方の豪雨災害お見舞い申し上げます。
 早く復旧されますことを願っています。改めて水の力、自然の力の大き
 さを認識させられます。少し集中雨が降ると舗装道路は急流に変わり、
 歩くのに困るのですが、側溝に排水するばかりでなく保水に配慮した水
 サイクルシステムが必要と感じられる方も多いと思います。
 一方では猛暑、30℃を超える日が続いています。ビル、車、エアコン、
 道路あちこちから熱風を感じる一方、木陰に入ると涼を感じます。
 ビルでは屋上ガーデンで保水吸熱能力を高める取り組みがなされていま
 す。昔は水田も多く30℃を越える日はそう多くはなかったように思うの
 ですが、熱発生を抑えるよい方法は無いものでしょうか。自然の流れに
 沿ったサイクルを考えた取り組みがあちこちで始まればいいな。熱闘甲
 子園、熱闘オリンピック、この夏は暑ーい、いったい体感温度は何度?

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  発行(株)小野測器 http://www.onosokki.co.jp/
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        編集責任者   野田 幸治

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