

トップメッセージ
Message from the President
日本はもとより世界中の国々が豊かになることです


社内でワクワクすることが増えてきた
小野測器は、2025年で創業71年目を迎えました。私が当社で働き始めて、40年の節目を迎える年でもあります。
振り返れば、この40年で世界は目まぐるしく変化しました。私が社会人になりたての頃は、携帯電話はおろか、パソコンもこれほど普及していませんでした。それが今や、タイムマシンが登場する某有名SF映画のような世界が現実になろうとしています。空飛ぶクルマのようにまだ実用化されていない技術もありますが、夢だと思っていたことが、まさか本当に日常になるとは……。世界とは、こうして急速に変化していくのだと日々実感しています。
当社は2024年に企業理念を一新しました。私が掲げた使命は、「未知を拓き、未来を創る」。100年企業を目指してさらなる成長を遂げるためには、これからもあらゆる産業で「未知への挑戦」が続いていくと思います。お客様が実現したい目標に対して、私達も一緒になって解決策を考える、行動することがこれからも必要になってきます。そんなお客様(そして社会)に仲間として認めてもらえる企業。一緒に夢を実現しようと思ってもらえる企業でありたいと思っています。
また私は常日頃、従業員に対して「笑顔あふれる会社にしたい」と話しています。社内には色々な仕事がありますが、それが「面白い」「わくわくする」「やりがいがある」、そう感じることができるのが、ビジネスパーソンにとって最大のモチベーションだと思います。当社は、そのように前向きな従業員一人ひとりが活躍してくれたからこそ、71年目を迎えられたのだと思っています。
私が社長に就任して5年が経ちましたが、組織の垣根を取り払った技術系の「ラボ制」の導入などで、少しずつ会社が変わってきたと実感しています。日々、技術者の報告を聞いていると「面白そうだな」と感じる事案が増えてきて、心の底からワクワクしています。
素晴らしいお客様と才気あふれる従業員に恵まれている企業。それが、私にとって理想の「小野測器」です。


ともに未来を創る中期経営計画
当社は2025年に、新たな中期経営計画Challenge Stage Ⅳをスタートさせました。詳しくは中期経営計画のページをご覧いただきたいのですが、掲げたテーマは「はかるを極め わかるに挑み 世界につなげる」。100年企業を目指して持続的な成長を続けていく。その実現に向けて、従業員とともに未来を創るための計画です。
注目していただきたいポイントは二つあります。一つ目は「デジタル技術への対応」です。2023年に新規事業として、コト売りビジネスである電動車両の「ベンチマーキングレポート」の販売を開始しましたが、おかげさまでお客様にはご好評をいただいています。本ビジネスは新たな好循環も生み出しています。自分達で自分達の計測機器を使ってはかることで「こういう場所をはかりたいから、こんな製品が欲しい」という新たな「製品のシーズ」も生まれています。モノ→コト→モノの循環が生まれている、というわけです。
このサイクルを、当社が得意とする音響振動の分野で活用できるシミュレーションソフトの自社開発にもつなげていきたいと考えています。当社が長年培ってきたセンシング技術だけでなく、ソフトウエアにもこれまで以上に注力していくということです。シミュレーションソフトも同様に自分たちで使って、どんどん改良を加えていきます。今後は「センシングとソフトウエア」が、当社のポイントとなっていきます。
コロナ禍をターニングポイントとして、世界は大きく変化を遂げました。自動車産業でいえば、試作車レスのモデルベース開発(MBD)が進み、お客様の志向、働き方も大きく変化してきました。そこで当社はMBDをより推進するために、志を同じくするお客様と共創する場所として、愛知県豊田市に「中部リンケージセンター(仮称)」という新たな拠点の建設を予定しています。ただ、当社を取り巻く環境は日々変化しておりますので、より具体的なお話ができる段階になりましたら、改めて「新拠点で当社が実現したいこと」についてご紹介させていただきます。
二つ目のポイントは「海外市場の拡販」です。まず、2025年4月に発生したミャンマー大地震により被災された方々に心よりお見舞い申し上げます。当社のタイの拠点は一部に影響を受けましたが、被災された方の復興に少しでも貢献したいと考えています。
当社は現在アメリカ、中国、タイ、インドに現地法人を展開していますが、そこを軸に拡販を狙っていきます。当社が長年磨いてきた「計測機器」の技術力で、世界のものづくりを支えたいと考えています。


他社とは異なるSDGs施策を展開
当社は創業以来、自動車産業に支えられてここまでくることができました。今後は地球温暖化問題に端を発する持続可能なモビリティ社会に対応していくため、「動力源の電動化」を避けて通ることは難しいでしょう。しかし、いくつもの技術的なブレイクスルーが必要ではあるものの、そこで得られた知見は、航空機など他産業にも横展開できるはずです。当社にとってはとても挑戦しがいがある取り組みです。
そのような環境対応に関して、技術的なアプローチと並行して「カーボンオフセット」という側面からも注力しています。当社は2024年に「環境戦略推進室」を立ち上げ、この問題に積極的に取り組んでいます。「小野測器グリーンファクトリー活動」と銘打って、宇都宮テクニカル&プロダクトセンターを中心に国内全拠点でさまざまな改善策を行った結果、2024年はCO2排出量(Scope1、Scope2※)を2022年と比較して51%削減することができました。
また「全日本スーパーフォーミュラ選手権(以下SUPER FORMULA)」主催元の株式会社レースプロモーションとパートナーシップを締結し、当社が保有するJ-クレジットを使い、参戦車両の年間のCO2排出量を実質ゼロにする試みも行っています。長くお世話になっている自動車産業に少しでも貢献したいと考え、当社だけでなく自動車産業の花形であるモータースポーツでもSDGsに貢献させていただいています。
また、2024年に引き続き、若手レーシングドライバーのJuju(野田樹潤)選手のスポンサーも行っています。昨シーズンのSUPER FORMULAは、彼女にとって初挑戦の1年でした。今シーズンは新チームを立ち上げ参戦していますが、厳しい戦いを強いられている状況です。ぜひ結果にこだわり頑張ってほしいと思っています。私も「負けても負けても諦めない」という彼女の信念を胸に刻んでいます。
皆様が笑顔になれる企業を目指して
最後になりましたが、私の夢は、5年後、あるいは10年後、当社の製品を通じて、日本はもとより世界中の国々が豊かになっていることです。計測機器で安心、安全、豊かさを提供したい。従業員だけでなく、世界のユーザー、ステークホルダーの皆様が楽しく、笑顔であってほしいと切に願っています。
ここ数年で会社は着実に変わってきています。一人ひとりが過度なプレッシャーを感じるのではなく、良い緊張感をもって結果を導き出してほしいと思います。また他責ではなく、自らの意志で責任を持って仕事に取り組む姿勢を会社としても応援していきたいと考えています。私はそんな従業員と一丸となって飽くなき挑戦を重ね、「未知を拓く」ことで笑顔あふれる未来をつくっていきたいと思っています。
※Scope1:事業者自らによる温室効果ガスの直接排出(燃料の燃焼、工業プロセス)/Scope2:他社から供給された電気・熱・蒸気の使用に伴う間接排出