一般的に排気音には音圧レベルによる法的な規制があり、放射騒音を低減するためにサイレンサの構造は様々な工夫が施されています。
マフラーの開発工程では、エンジンに組み付けたサイレンサの実稼動時の音(音圧の周波数特性等)を、マフラーの消音性能評価に利用しています。すなわち、試作後の実験によって初めて消音性能の評価が可能となります。
他方、車両の設計開発期間短縮を推進するために、設計初期段階での CAE による消音特性の事前評価が行われています。
本例では、マフラーの音響 CAE によって得られる音響透過損失と、4 端子法(4
マイクロホン法)での音響透過損失特性との比較を行った事例を紹介します。この方法によって、マフラーの初期設計段階において構造変更等を効率良く検討できるようになります。
測定システム
機器構成
測定データ例
市販マフラー A、B ともに周波数 1 kHz
以下の音響透過損失については、CAE と測定結果との間で良好な相関があることが分かります。市販マフラー B の周波数 1
kHz 〜 1.5 kHz の帯域では、CAE
と実験との相関が良くありませんが、これはマフラー径方向の音響モードに寄与する何らかの製品上の特性が、音響透過損失の不安定要因になっているものと推測されます。(市販マフラー
B は、市販マフラー A
とは異なり、マフラー内部が隔壁によって三つのチャンバに分断された複雑な音響空間を構成しています。そのために、周波数 1
kHz 〜 1.5 kHz の間にマフラー径方向の音響モードが多数あります。)
< 市販マフラーAの音響透過損失 >
< 市販マフラーBの音響透過損失 >
本例は、入力側と出力側の管径が同じ構造のマフラーでの測定結果ですが、入力側と出力側の管径が異なっている場合でも測定可能です。 |
応用例
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自動車用エアクリーナ
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レゾネータ
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遮音性能を持たせた多孔質材
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Revised: 2014/07/07
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