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パスカルとデシベル

おとくん 「今日学校で、校庭に流れる放送の音が近所に住んでいる人から“うるさい”って苦情がでたらしいんだ。騒音レベルが60dBだったんだって。お父さんが、前に残響時間の説明してくれたときに60dBって云ってたでしょ?そのときは何となく解ってたつもりなんだけど、同じ60dBでも、意味が違うのかなぁって、なんだかよくわからなくなったんだ。」

お父さん 「そうか、おとには、デシベルがどういう単位か説明してなかったね。じゃ、最初に戻って、音がなぜ発生して、そのエネルギーをどういう単位で扱うのかを教えてあげよう。」

おとくん 「おとうさん、だいぶ前に、音は空気の振動って教えてくれたよね。」

お父さん
 「そうだね。もう少し厳密に言うと、空気の圧力の平均を大気圧というんだけど、その大気圧より圧力が高い部分と、低い部分ができて、それが波として伝わるのが“音”なんだ。机を叩くを音が出るだろう、これは机の振動が、空気を振動させて、大気圧の高い部分と低い部分を発生させるんだ。」


おとくん 「でも、なぜ、空気が振動するのか、よくわかんないなぁ。」

お父さん
 「おとは、理科の授業でバネ秤の実験をやったことがあるだろう。バネ秤におもりをつるした状態を考えてごらん。おもりを引っ張って離せば、バネとおもりは上下に振動するよね。振動するためには、バネとおもりが必要なんだ。例えば、ギターの弦の場合は、弦を弾いて元に戻ろうとする性質が“バネ”で、弦自身の重さが、質量つまり“おもり”に相当することはわかるだろう?」

おとくん 「物体の振動に、バネとおもりが必要なことはわかるけど、空気もバネとおもりで振動するの?」

お父さん 「そうだよ、ボールを押さえると反発して元のかたちに戻ろうとするだろう。空気もバネの性質を持っているんだ。それに、空気には重さがある。風船が浮くのは、中につめた水素やヘリウムが空気より軽いからなんだよ。」

おとくん 「なるほど、そうか。団扇で扇ぐと、抵抗を感じるのも、空気の重さのためなのかなぁ。」

お父さん 「そのとおり、空気は“バネ”と“質量”の性質を持っているから、振動することができる。そして、空気の中を音は伝わっていくんだ。」

おとくん 「でも、振動すると、なぜ音が伝わるのか、まだピンとこないな。」

お父さん 「机を叩いて机が振動すると、その周辺の空気が押されたと考えてごらん。そうすると、押された空気が密集して、まわりより圧力の高い部分ができるんだ。その部分は、となりの空気を押して、押された空気は圧力が高くなって、またその隣の空気を押す・・という具合に、ドミノ倒しのように、繰り返されて、音が伝わるんだ。」

おとくん 「やっとわかったよ。音が空気の振動だということが。」

お父さん 「こうして、音が伝わるときには、圧力の高い部分と低い部分ができるだろう。この圧力の変化量を“音圧”っていうんだよ。単位はパスカル(Pa)っていうんだよ。」

おとくん 「音の単位ってデシベルじゃないの。これまでお父さんが教えてくれたのはデシベルだったよね。」

お父さん 「デシベルは、音のレベルを2から3桁という便利な桁数で音圧を取り扱えるようにするための単位なんだよ。音圧の基準は、20マイクロパスカル (uPa)に決められていて、これは人間が聞き取れる最小の音の音圧と大体同じなんだ。1気圧が約10万パスカルだから、1気圧の100億分の2という小さな変化ということになる。」

おとくん 「それがどうして2から3桁の数字で表すことができるようになるの?」

お父さん 「最小の音の20マイクロパスカルは、100万分の20パスカルという意味で、耳をつんざくような大音量は20パスカルぐらいかな。そうすると、パスカルで表現すると、音圧で100万倍の範囲を扱うことになり、かなり不便なんだ。おとは高校の数学で習うと思うけど、デシベルは、対数を使って表現するんだよ。ある音の音圧Pと基準の音圧の比の2乗の対数をとって表現したものは音圧レベルなんだ。」.....下式参照 *1

おとくん 「なんだかよくわかんないけど、100万の範囲を2から3桁にして表現した便利な単位が音圧レベルなんだね。」

お父さん 「この式だと、音圧で10倍は、音圧レベルで20dB、音圧で100万倍が、音圧レベルで120dBということなんだよ。大きな音である120dBは圧力で見ると20パスカルだから、これは1気圧の10万分の20程度で、大きな音と言っても微小な空気の振動だということがわかるだろう。」

おとくん 「なんとなくね。残響時間の60dBと、騒音レベルの60dBは?」

お父さん 「残響時間の60dBは、相対的な量で、例えば、ある空間に音が鳴っていて、その音圧レベルが100dBだったとするだろう。その音を止めても、空間の中の壁や天井で反射する音が残っていて、だんだん音が消えていく。その消えていく過程で、60dB(音圧で千分の1)減衰するまでに要する時間だから、この場合は、空間の音圧レベルが40dBになるまでの時間を残響時間っていうんだ。騒音レベルは、人間の聴覚が、低い音に鈍感で、2kHzぐらいの高い音に敏感なので、その周波数補正をした結果の音圧レベルを騒音レベルっていうんだけど、それが60dBA(*2)だったということだね。騒音レベルについては、今度また説明してあげるね。」

     *1   10*Log10(P/0.0002)^2 dB
     *2   周波数の重み付けををA特性といい、単位をdBAで表わします。



関連情報
「音とそのセンサについて」
「騒音計について」
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