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ささやきの回廊
 
おとくん
「 おとうさんは、ロンドンのセントポール寺院って行ったことある?」
 
おとうさん
「 あー、もうずいぶん前だけどね。 おとが聞きたいのは、ささやきの回廊の話かい? 」
 
おとくん
「 そうなんだ。 小さい声のささやきが、なぜ向かい側の距離が離れたところで聞こえるんだろうと思って。 」
 
おとうさん
「 それは、図に描いて説明したほうが早いな。
ロンドンのセントポール寺院の回廊は、ドームの下の部分で平面的に見ると円状になっているんだ。その円状の形がこの現象の要因なんだ。 」
 
おとくん
「 ドームの上の球状になっているところは関係ないの?」
 
おとうさん
「 平面的に見てきれいな円になっていることは大事な条件なんだ。 断面形状は、
図1この図(図1) (ここにカーソルを載せると絵が出ます)
のように鐘のような形だね。 もちろん、内側から見て凹曲面になっているから、音の焦点とか特有の現象は起こるんだけど、それは、音源と受音点の位置関係で限られた条件だけなんだ。 」
 
おとくん
「 なぜ、きれいな円だとささやきの回廊のような現象が起こるの? 」
 
おとうさん
「 ささやきの回廊の現象は、小さな声でささやいた音が、回廊の離れた場所でも、聞こえることだったね。 
図1この図(図2) (ここにカーソルを載せると絵が出ます)
を見てごらん。一つの反射経路しかなければ、距離が遠くなると、減衰が起こるから、離れた場所では聞こえない。 この円状の反射の特徴は、反射行路差が僅かな多くの反射の経路があって、ほぼ同じ時間で受音点に到達するから音波が重なって聞こえるんだ。 」
 
おとくん
「 細かく反射を繰り返し、その波が沢山重なるから、距離が遠くて減衰したとしても聞こえるということ? 」
 
おとうさん
「 そうだね。でも、こういう内側が凹曲面を含む空間は、このように面白い現象は起こすけど、音声の伝達が明瞭でなければならない講堂や、スムーズな音の減衰が望ましい音楽ホールでは、凹曲面を設計する場合は注意が必要なんだ。 」
 
おとくん
「 注意?」
 
おとうさん
「 ホールで、鳴き竜のように反射が繰り返させると、自然な響きが損なわれるだろ? だからそのような障害が起きないような形状の設計や内装材料の選択が必要なんだ。 」
 
おとくん
「 そういえば、日光の鳴き竜の天井も少しだけ凹曲面だって言ってたね。 」
 
おとうさん
「 ああ、“むくり” だね。そう、だから建築家がデザイン的に凹曲面にしたい場合は、形は尊重して、その面を吸音したり、大きな形は凹だけど、細かく 凸の反射壁で音を拡散する工夫をするのが一般的なんだ。 」
 
おとくん
「 ふーん。 ささやきの回廊、試してみたいなぁ。 どこか近くに円状の回廊みたいなのってないのかな。 」
 


関連情報
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